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芸人をしながら小説を書いていたペナルティ・ヒデがデビュー

芸人をしながら小説を書いていたペナルティ・ヒデがデビュー
 心からやりがいを感じられる仕事や、どうしてもやりたいことを見つけることは簡単ではなく、誰にでもできることでもない。

 お笑いコンビ・ペナルティのヒデこと、中川秀樹さんが構想4年、執筆4年を費やして完成させたデビュー作『四季折々 アタシと志木の物語』(竹書房から上・下巻とも7月31日に発売)の主人公・松本恭子もやりたいことが見つけられず、何となく過ぎ去る毎日を送っている一人だ。

 恭子は明確な目的なく、とりあえず上京して2年。やりたいことが見つからぬままフリーター生活を続けていたが、偶然見かけた社員募集の広告がきっかけで、志木護という風変わりな男の会社「四季」でアシスタントとして働くことになる。
 会社とはいえ「四季」には志木一人しかいない。そして、その業務内容は彼いわく「簡単に言えば便利屋なんだけど、ウチの最大の売りはお年寄りの夢や願いを叶えるってところ」。
 この曖昧な説明をいぶかしがる恭子だったが、働き始めて一か月がたった頃、「四季」の事務所に一人の老人が訪れ、志木と恭子にある依頼を持ちかける。

 「ハンバーガーを食わしてくれる店に(中略)一緒に行ってほしい」

 金田藤吉郎と名乗るその老人の依頼は拍子抜けするほど単純なものだったが、そこには仕事にかまけて妻の異変に気づかないまま死なせてしまった老人の、悔やんでも悔やみきれない自責の念があった。
 そして、老人が他でもない志木に“一緒に”ハンバーガーショップに来てほしいと願うのには、志木が持つ“ある特殊な能力”への期待が込められていた。そして、その能力は、老人が半生を語り終え、ハンバーガーショップに志木と共に足を踏み入れた時に明らかになる。

 この作品では春夏秋冬それぞれの季節ごとに4つのエピソードがつづられ、それぞれの依頼人である老人たちの人生が語られる。
 長く生きていれば、誰にでもある後悔。
 依頼人をその感情と和解させ、明日を生きる活力に変えることこそが「四季」の仕事であり、恭子は次第にこの仕事にやりがいを感じるようになっていく。

 主人公である恭子の変化はもちろんだが、「四季」で打ち明けられる老人たちの人生は、それだけでもドラマを孕んでおり、大きな読みどころだ。懸命に生き抜いてもなお、思い残したことを抱える彼らの告白が、若い恭子にどのように響いたのかは想像に難くない。
 そして、作中で流れる季節の描写も物語のいいアクセントとなっており、著者の描写力と構成力が確かなものであることがうかがえる。
 ただの“タレント本”だと甘く見てはいけない。
 中川さんのデビュー作に心を動かされる人は多いはずだ。

 中川さんは、本書の刊行を記念して8月2日(金)紀伊國屋書店新宿本店8Fイベントスペースにてサイン会を開催予定。作品と併せてこちらも要チェックだ。

■中川秀樹さんサイン会情報
(http://www.kinokuniya.co.jp/contents/pc/store/Shinjuku-Main-Store/20130721100000.html)
(新刊JP編集部)



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