3500円から7500円に! 42年ぶりに引き上げられた食事補助の所得税非課税上限額と初の業界団体設立の背景とは?

2026年4月に、企業が従業員に支給する食事補助の所得税非課税上限額が、月額3500円から7500円へ引き上げられた。これは42年ぶりの引き上げとなり、これを契機として、企業による食事補助の新規導入や補助額の増額が進んでいるという。

こうした状況下で、食事補助の価値向上と認知拡大を目指すため業界団体「一般社団法人食事補助推進協会(MBAJ)」が、2026年9月10日に設立。10月15日には、設立の背景や今後の展望を語るメディア向けラウンドテーブルが実施された。

「一般社団法人食事補助推進協会(MBAJ)」の会長を務める、株式会社エデンレッドジャパン代表取締役社長の天野総太郎氏は、食事補助を取り巻く3つの社会変化として、物価の上昇・人手不足の深刻化・人的資本経営の広がりを挙げる。さまざまな社会情勢が渦巻く昨今、健康的に生きていく上で毎日行う必要がある食事を経済的事情から「キャンセル」している若者も話題だ。

天野氏は「食は人への投資となる」と述べた。従来は大企業による社食が中心だった食事補助は、エデンレッドジャパンも展開する食事券方式に移り変わり、人材への戦略的投資という要因もあり、中小企業を中心に広まっているという。

食事補助の所得税非課税上限額が引き上げられたことも契機となり、普段は同業界で競合となる株式会社エデンレッドジャパン・Gigi(ジジ)株式会社・株式会社ネオマルスが手を取り合い、食事補助業界の未来のために「一般社団法人食事補助推進協会(MBAJ)」が設立されたとのこと。

今後の活動として、認知向上のための情報発信、非課税の仕組みを広く理解してもらうためのオンライントレーニングによる教育の拡大、食事補助の社会的意義についての政策提言という3点を主に挙げており、直近ではガイドラインの公開などを通じて食事補助が人への投資や社会インフラの一部として確立されることを目指していくという。

ラウンドテーブルで行われたクロストークには、天野氏のほか、副会長を務める今井了介氏(Gigi株式会社代表取締役)と岡田百代氏(株式会社ネオマルス常務取締役)が登壇。食事補助についてそれぞれの立場や経験を踏まえて語られた。

全国展開のチェーン店をはじめとする飲食店を社員食堂として使える食事補助サービス「社食ごちめし」を手がけるGigi株式会社の今井氏は「大前提として福利厚生にはさまざまな種類があるなかで従業員のご家族に関係するものが多いですが、食事補助はダイレクトに働いている方に関わっています。毎日働きながら食事を通じて、仕事に対するモチベーションや所属する会社へのエンゲージメントにつながっていくものなのです」と食事補助について語る。

大分県を中心に展開する「まちなか社員食堂 GoSmart」を手がける株式会社ネオマルスの岡田氏は、地方ならではの視点でこう語る。「地方での実態として、大企業以外は社員食堂を設置できておらず、そもそも大企業の数が少ないです。中小企業のなかで社員食堂を作るための設備投資はハードルが高いなか、地方では外食のコストも高くなっており、食事補助は身近な福利厚生となっています」とのこと。

天野氏も「これからの経営戦略のコアには人材があると思っており、優秀な人材の定着や生産性アップという課題解決に対して、もっとも効果的な福利厚生が食事補助であると考えています。食料品の物価高騰による生活苦が広まっていくなかで、企業が社員の日々の生活に歩み寄っていくことで会社から守られているという安心感につながり、そこからエンゲージメントにつながっていくことはもちろん、食べるということはすべてにおける活力となり、よりよい仕事をする上で重要な役割を担っていると思っています」と食事補助の重要性について述べていた。

食事補助の所得税非課税上限額は月額7500円に引き上げられたとはいえ、イタリアやフランスといった諸外国ではその上限は月額2万4000円を超えており、まだまだ金額としては低い現状が課題となっている。日々の生活に不可欠な食事という要素を通じて、企業の人材定着等に活用する福利厚生として、食事補助の認知が今後どのように広がっていくのか、注目したい。

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