パン、パスタ、ラーメン…毎日食べてない? 「原因不明のお腹の不調」を調べた研究結果

朝はパン、昼はパスタ、夜はラーメン。さらに、おやつにクッキーやケーキ。一日を振り返ってみると、小麦を使った食品を何度も口にしていることは珍しくない。その一方で、「病院へ行くほどではないけれど、お腹が張る」「食後に不快感が残る」「便秘や下痢を繰り返す」といった、原因のはっきりしないお腹の不調を感じることはないだろうか。

そんな身近な食生活と腹部症状の関係について、興味深い研究結果が発表された。ミツカングループのZENB JAPANと藤田医科大学による研究では、日常的に小麦加工食品を多く食べている人が、小麦を避けて黄えんどう豆由来の食品に置き換える生活を4週間続けたところ、腹部症状などに変化が確認されたという。研究成果は学術誌「European Journal of Nutrition」に掲載されている。

グルテンフリーという言葉はすっかり身近になったが、「小麦を食べると調子が悪い」のはアレルギーのある人だけなのか。まずは、今回の研究が注目した「NCGS」から整理しておこう。

小麦アレルギーではないのに不調?「NCGS」とは

「小麦を食べると体調が悪くなる」と聞けば、小麦アレルギーを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、小麦アレルギーでも、自己免疫疾患であるセリアック病でもないのに、グルテンを含む食品を摂ることで腹痛や吐き気、腹部膨満感、下痢、便秘などの症状が現れることがある。「NCGS(非セリアックグルテン過敏症)」と呼ばれる状態だ。

ただし、NCGSには確立された診断方法がなく、小麦アレルギーやセリアック病などを除外したうえで判断される。症状だけを見て「自分もNCGSかも」と判断できるものではない。

では、普段から小麦を多く食べている人が、実際に小麦を控えるとどうなるのか。

4週間、小麦を避けたら? お腹に不調があった人の約80%で変化

今回の試験に参加したのは、普段から小麦加工食品を週14食以上、平均すると1日2食以上食べている18~64歳の健康な成人30人。4週間、小麦を含む食品を避ける代わりに、黄えんどう豆を主原料とするパスタ、パン、クラッカー、ご飯などを取り入れてもらい、腹部症状やQOL、腸内フローラなどの変化を調べた。

では、実際に4週間続けるとどうなったのか。試験開始時にお腹の不調を自覚していた15人のうち、約80%で腹部膨満感の改善が確認された。さらに、「腹痛または不快感」「残便感」「急な便意」「硬い便」でも有意な改善がみられた。QOLについても、「精神的側面」「全体的健康感」「社会生活機能」「心の健康」の4項目で改善が確認されたという。

ただし、この「約80%」は参加者30人全員の8割という意味ではない。試験開始時に腹部症状があった15人について、NCGSの診断基準を参考に、「腹部膨満感のスコアが試験前より30%以上低下した人」を調べたところ、その割合が約80%だったという結果だ。

今回の研究について、藤田医科大学 医学部教授・総合アレルギーセンター センター長の矢上晶子氏は、小麦を日常的に多く摂取し、腹部不調を感じている人が、小麦を控えて黄えんどう豆由来食品に置き換えることで、体調や腹部症状の改善が確認されたと説明している。また、炎症や免疫に関わるサイトカイン、腸内細菌数にも変化が認められたとしている。

一方で、今回の試験は30人を対象とした非ランダム化臨床試験である。小麦を控えれば誰でも同じようにお腹の調子がよくなる、と受け取るのは早い。

症状の強さ(0~10)の平均値の推移

p値<0.05で有意に改善、p値<0.01で有意に改善傾向とした。

グルテンフリーなら何を食べても同じ?

今回の研究でもう一つ注目したいのが、小麦を単純に「抜いた」わけではないことだ。代わりに使われたのが黄えんどう豆だった。日本では主食としてあまりなじみがないが、黄えんどう豆は小麦粉に比べて食物繊維などの栄養素を多く含み、糖質が低いという特徴がある。

実は、グルテンフリーなら何を食べても同じ、というわけではない。グルテンフリー食では、食品の選び方によって食物繊維の摂取量が減り、腸内フローラへ影響する可能性が指摘されている。小麦を減らすのであれば、その代わりに何を食べるかも考える必要がある。

今回の試験では、小麦食品を黄えんどう豆由来食品に置き換えた際の腸内細菌についても調べられた。なお、試験ではZENBの黄えんどう豆を原料とするパスタやパン、クラッカーなどが使用されている。

「グルテンフリーだから健康にいい」と一括りにするのではなく、何を減らし、代わりに何を食べるのか。今回の研究を見るうえでは、こちらも重要なポイントだ。

「なんとなく不調」なら、食べたものを振り返ってみる

ここまで読むと、「それなら小麦をやめてみよう」と考える人もいるかもしれない。ただ、今回の研究だけで、小麦がすべての腹部不調の原因だとは言えない。対象者も30人と小規模で、小麦の摂取量を減らすだけではなく、黄えんどう豆由来食品への置き換えを同時に行っている。また、腹痛や膨満感、下痢、便秘などが続く場合には別の病気が隠れている可能性もある。自己判断で長期間の食事制限をするより、必要に応じて医療機関へ相談したい。

一方で、朝はパン、昼はパスタ、夜はラーメンという日が珍しくないなら、自分が一日にどれくらい小麦食品を食べているのか、一度振り返ってみてもいいだろう。

小麦を避ければ誰でも調子がよくなる、という研究ではない。ただ、毎日のように食べているものと、なんとなく続いている体調不良。その二つを結びつけて考えたことがなかった人にとって、今回の研究は食生活を振り返るきっかけにはなる。

「最近、お腹の調子がいまひとつ」と感じているなら、まずは数日、何を食べた日にどんな不調があったのか記録してみる。普段は意識していなかった食事と体調の関係に気づくきっかけになるかもしれない。

知りたい、黄えんどう豆のこと(ZENB公式通販):https://zenb.jp/pages/yellowpea

【論文情報】
タイトル:Effects of reduced gluten intake through the inclusion of yellow pea-based products on abdominal symptoms in habitual wheat consumers: a non-randomized clinical trial
掲載誌:European Journal of Nutrition
論文URL:https://link.springer.com/article/10.1007/s00394-026-04097-2

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