コーヒーは「何で飲むか」でもこんなに変わる。コーヒーショップ店主が2種類のワイングラスで試してみた
シラクマ
コーヒー器具・デザイン雑貨・ガジェットなどを中心にレビュー。使い心地の良さと佇まいを大切にしていて、機能とデザインが結びついた、ミニマルで美しいものに惹かれます。京都で文章を書いたり編集したりしながら、スペシャルティコーヒーショップ「ネオキ」を運営しています。
コーヒーをおいしく楽しむうえで、意外と侮れないのがカップ選び。
素材やサイズ、飲み口の形によって香りや味の感じ方が変わり、いつものコーヒーでも違った表情を楽しめるんですよね。
そこで最近気になっていたのが、「ワイングラスでコーヒーを飲む」こと。
浅煎りのスペシャルティコーヒーを扱うお店でも、ワイングラスで提供される機会が増えていて、「普通のカップとどれだけ変わるんだろう」と気になっていました。
せっかくなら形の違いも比べてみようと、今回は2種類のワイングラスを購入して飲み比べてみました。
「ボルドー」と「ブルゴーニュ」の2種類を用意
今回選んだのは、スロヴァキアのグラスメーカー「ロナ(RONA)」のワイングラス。
ワイングラスについて調べてみると、形も価格も本当にさまざま。
そのなかでも比較的手頃で、形状の違いもわかりやすい「ボルドー」と「ブルゴーニュ」の2種類を購入しました。
ロナ(RONA)「ボルドー ソムリエ」 2,174円(税込)
「ボルドー」は背が高く、ボウルから飲み口にかけて緩やかにすぼまった形状をしています。
名前のとおり、コクや渋みのあるボルドーワインなどに合わせてつくられたタイプです。
ロナ(RONA)「ブルゴーニュ ソムリエ」 2,558円(税込)
一方の「ブルゴーニュ」は、ボルドーより背が低く、ボウル部分が横に大きく膨らんでいるのが特徴。
香りが華やかで、酸味のあるブルゴーニュワインなどに合わせて使われる形状です。
こうして並べてみると、それぞれで形が大きく異なることがわかります。
酸味や甘み、渋みなどの感じ方は舌の部位によって異なるため、ワインがグラスのカーブによって舌へどのように運ばれるかはとても大切。香りもボウルの形状や大きさが左右します。
この違いがコーヒーの味にも表れるのでしょうか。
ワイングラスに変えるだけで、香りの感じ方が変わった
今回は違いを比較するため、コロンビア産のコーヒー豆を2種類用意しました。
ひとつは、ブラッドオレンジのような明るくクリアな酸味が特徴のウォッシュド。もうひとつは、ストロベリーを思わせる華やかな香りが特徴のインフューズドです。
さらに、それぞれをホットとアイスを用意して飲み比べてみました。
まず、ワイングラスに共通して感じたのが、普段使っているマグカップよりも、香りの存在感がぐっと増すこと。
鼻まで覆うような大きなボウルの中に香りが広がるので、口をつけた瞬間からふわっと香りを感じられます。
グラスを軽く回すことでコーヒーと空気の触れる面が増え、香りが徐々に開いていくのもワイングラスならでは。
香りまで含めて繊細なフレーバーを楽しむ浅煎りのコーヒーと相性がいいといわれるのも、飲んでみると納得でした。
ボルドーは、全体がきれいにまとまる
飲み比べてみて、個人的に好みだったのは「ボルドー」。
酸味や香りなど、どれかひとつの要素が強く前に出るというよりも、全体がきれいにまとまっているように感じました。
ウォッシュドでもインフューズドでも、酸の輪郭が少しやわらぎ、そのぶん甘さを感じ取りやすくなるのも特徴的。
ホットでもアイスでも同じような傾向があり、全体のバランスを楽しみたいときにはボルドーがしっくりきました。
ブルゴーニュは、香りも酸もグッと鮮やかに
対して「ブルゴーニュ」は、それぞれのフレーバーがよりはっきりと感じられるのが特徴。
特にわかりやすかったのが、香りと酸味です。
ウォッシュドではブラッドオレンジのような酸がキリッと鮮やかに。ストロベリーのインフューズドでは、果実を思わせる華やかな香りがより前に出てきました。
ボルドーが全体をひとつにまとめてくれるとしたら、ブルゴーニュはそれぞれのフレーバーの輪郭をくっきり見せてくれるような感覚です。
豆のプロセスやホット・アイスといった条件を変えても同じような傾向を感じられたのは、おもしろい発見でした。
抽出後でも味の感じ方は変えられる
今回飲み比べてみておもしろかったのが、まったく同じコーヒーでも、グラスを変えるだけで味の感じ方がここまで変わること。
たとえば、抽出してみて「もう少しフレーバーをはっきり感じたいな」と思ったときには、ブルゴーニュに注いでみる。反対に、全体をやわらかくまとめて楽しみたいならボルドーを選ぶ。
そんなふうに、飲むグラスによって味の感じ方を調整するという楽しみ方もできそうです。
(※編集部注:薄く繊細なワイングラスは熱や温度差に弱いため、淹れたてのコーヒーは少し冷ましてから優しく注いでください)
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