宇宙を歩くような履き心地――アシックス新フラッグシップ「MOON AMBLE」が仕掛ける”歩きたくなる”設計
2026年9月15日、アシックス商事は、「MOON AMBLE LAUNCH EVENT」を開催した。ASICS Walking(アシックスウォーキング)が打ち出す新たなフラッグシップモデル「MOON AMBLE」(ムーンアンブル)3品番の発表会で、テーマは”歩きやすい”から”歩きたくなる”へ。
特別ゲストに女優・歌手のすみれさんを迎え、実際にステージ上で歩いてもらいながら、その履き心地と「歩くこと」の価値が語られた。

アシックスが”ウォーキング”に本気を出す理由
登壇した廣田康人CEOは、まずアシックスがウォーキングに力を入れる理由から語り始めた。
「アシックスは創業以来、スポーツを通じて人々の心と身体の健康に貢献することを大切にしてきました。今、我々はその価値を競技やトレーニングだけではなく、より多くの人々の日常生活で広げていきたいと考えています。そこで私が大きな可能性を感じている領域の一つがウォーキングです」
アシックスは1983年からウォーキングに取り組み、40年以上にわたって人の足や歩行を研究してきた実績がある。その蓄積をもとに、約1年前、開発チームに一つの指示が出された。
「これまでの延長線ではない新しいウォーキングシューズをつくろう。単にもっと軽くする、もっと柔らかくするということではない。”歩きやすい”のさらに先にある、自然ともっと”歩きたくなる”ような体験を作れないか」
この問いから生まれたのがMOON AMBLEだ。
廣田氏は「MOON AMBLEは一つの新商品を発売するためだけの取り組みではない」と強調する。ここで得られた研究や技術、考え方をウォーキングカテゴリー全体へ広げ、日本だけでなくグローバルでウォーキング事業を成長させていく計画だという。

「感覚を工学にする」開発チームが辿り着いた「3つのWow」
経営からのダイレクションを受け止めたのが、アシックススポーツ工学研究所(ISS)だ。所長の竹村周平氏は、最初に向き合った問いをこう振り返る。
「歩きたくなるという人の気持ちに、科学がどこまで踏み込めるのか」
これまでISSは競技用シューズなどで、より速く走る、より素早く動くといった明確な目的から人の動きを分析し、機能を導き出してきた。しかし今回は、歩きやすさや疲れにくさだけでなく、「もう少し歩いてみたい」「またこのシューズを履いて出かけたい」という感覚そのものを研究対象にしたため、ISSにとっても新しい挑戦だったという。
「人を起点に問いを立てる。人の動きだけではなく、感覚まで科学的に捉える。これは我々ISSが最も大切にしているヒューマンセントリックサイエンスそのものです」(竹村氏)

この抽象的なテーマを商品開発に落とし込むために設定されたのが、開発責任者の市川将氏が語る「3つのWow」だ。
●手に取った瞬間のWow:見た瞬間、触れた瞬間に履いてみたいと感じること
●履いた瞬間のWow:足を入れた瞬間の心地よさやクッション感
●歩いた瞬間のWow:一歩を踏み出した瞬間にこれまでにない反発感を覚え、自然ともっと歩いてみたいと感じること
「定量的な人の動きと定性的な人の感覚、その両方から”歩きたくなる”を設計する。これが今回のMOON AMBLEの開発アプローチです」と市川氏は説明する。
その答えを具体的な商品に落とし込んだのが商品担当の野々川舞氏だ。特にこだわったのはソールだという。
独自配合素材「HOP FOAM」は、異なる硬さのフォーム材を二層構造で配置し、弾むようなクッション感と歩行時の安定性を両立。かかとの着地時に起きやすい内外側への倒れ込みも抑制する。さらに前足部には、歩行時の重心移動の軌跡を研究して配置した「WALK POD SYSTEM(ウォークポッドシステム)」を搭載し、一歩一歩をスムーズにつなぎながら前へ進みたくなるバウンス感を生み出す。つま先部分にもカーブを設け、スムーズな足運びを後押しする。
「MOON AMBLEでは、単に柔らかいソールを作ったのではありません。安定して着地し、スムーズに体重移動し、最後に気持ちよく前へ進む。この一連の歩行動作そのものを研究し、ソール構造に落とし込みました」(野々川氏)
デザイン面では、ソールの高い反発性を直線的な造形で視覚的に表現しつつ、アシックスがレザーシューズで培ってきた素材使いを取り入れ、スポーティーな機能と日常で履ける上質さを両立させた。カラーにはオレンジやグリーンをアクセントに使い、MOON AMBLEが持つ「弾むエネルギー」を表現しているという。
「一生歩けます、楽しい!」――すみれさんがステージで実演、その場で出た第一声
発表の後半、すみれさんがゲストとして登壇。トークセッションの中で、実際にMOON AMBLEを履いてステージ上のウォーキングマシンを歩く一幕があった。
普段の歩く速さで、ゆっくりとスタート。「私、結構早歩きなほうかもしれないです」と笑いながら歩き切ったすみれさんの第一声はこうだった。
「本当に軽い感じもしますし、前に進む感じがしてるのかな。すごく歩きたくなる感じがありますし、本当に気持ちいいです。柔らかいし、中のクッションも下のクッションも全部がBouncy(弾むよう)な感じ。さすがMOON AMBLEって感じです!」
そして続けたのが、印象的なひと言だった。
「宇宙を歩いてる感じ」
トークセッションの終盤、再び会場を歩いた際には「一生歩けます。楽しい!」ともこぼした。狙い通りの反発感や前進感を、身をもって体現してみせた瞬間だった。

毎日1万歩、旅先でも――すみれさんの”歩く”哲学
トークセッションでは、野々川氏を交えながら、MOON AMBLEのデザイン性やすみれさん自身のライフスタイルにも話が及んだ。
まずスタイリングについて。「どんなファッションにも合います。スーツのようなパンツスタイルでカチッとした感じでも、靴で抜け感を作ってオシャレに見せられる」と話した。野々川氏も「機能性は十分に持ちつつ、日常の中で使えるデザイン性も持っているシューズ」だと応じた。
歩くことは、すみれさん自身の日常にも深く根づいている。毎日1万歩ほどを目安に、朝は30分から1時間ほど歩くのが習慣だ。4歳の息子の送り迎えで一緒に歩くこともあれば、夜にひとりで歩くこともあるという。
「気分転換にもなりますし、考え事をしたり、ちょっと頭を冷やす。イライラした時とか、お仕事がうまくいかなかった時とか、そういう時にはちょっとだけ歩いて、空気を吸って、外の自然に触れて、マイナスイオンを感じて。やっぱり精神的にもいいんだなってすごい思いました」(すみれさん)
ASICSが掲げる「健全な身体に健全な精神があれかし」という理念にも触れ、「そのフレーズもすごい大事にしています」と話した。
旅先でも、あえて歩くようにしているという。「いろいろな景色やスポットを見るためには、ウォーキングが一番いい。車や電車に乗っちゃうとしっかり街並みを見れなかったりする」と、すみれさん。最近では旅先のクロアチアを歩いて周り、「歩いて街を見たら本当にいろんな発見があった」とも語った。

4歳の息子を追いかける母のフットワーク、父へのプレゼント選び
フォトセッション後には、すみれさんを囲んでの取材も行われた。
MOON AMBLEの軽さは、4歳の息子を追いかける日々にも重宝しそうだ。「デパートで買い物に行っても、興味を示したものに走って行っちゃったり、電車やエレベーターにシュッと入ってしまう危なっかしさがあったりするので、本当に毎日心臓が止まりそうです」と苦笑い。「いつも準備万端じゃないとダメって感じで、プライベートでは8、9割はスニーカー。最近はクロックスも多いかな」と語る。
靴自体の軽さについても、「こんなに軽い靴は今までになかった」と実感を語り、「ディズニーに行くならこれしか履かない」とも。長距離を歩くテーマパークのような場面での使用イメージが具体的に語られた。
父親である石田純一さんへのおすすめを聞かれると、天然皮革(スウェード)を採用したモデルを挙げた。「すごくオシャレで高級感があり、ファッションがちゃんと締まる感じ。あまり服や靴をプレゼントしないんですけど、足元はちゃんとしてほしいのでプレゼントしたい」と語った後に、「靴下とセットでプレゼントしようかな」と石田純一さんの”素足に革靴”というスタイルをいじり、報道陣を笑わせる一幕も。すみれさんの天真爛漫さがうかがえる印象的なシーンだった。
「歩きやすい」の先にあるもの
MOON AMBLEは2026年9月16日発売、価格は税込25,300円~40,700円。アシックスウォーキングオンラインストアやアシックスウォーキング直営店、一部の百貨店で順次販売される。オレンジやグリーンをアクセントにしたカラー展開で、歩行科学に基づく独自のソール技術「HOP FOAM」と「WALK POD SYSTEM(ウォークポッドシステム)」を搭載する。
“歩きやすい”だけでなく”もっと歩きたくなる”体験を目指したというこのシューズを、すみれさん自身が身をもって証明してみせた発表会だった。
「宇宙を歩いている感じ」「一生歩けます」――その言葉は、アシックスが1年をかけて追い求めた”3つのWow”が、確かに一足の靴として形になったことを物語っている。
テレビ番組のリサーチャーによる情報サイト。 テレビ番組におけるネタ探しのプロが蓄積された知識とリサーチノウハウを武器に、芸能、雑学、海外、国内ご当地、動物など多岐に渡るジャンルをテレビ番組リサーチャー目線で発信しています。
ウェブサイト: http://www.nicheee.com/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。
