【Web3って、結局なんなの?#5 資産運用編】DeFiって?技術的な特徴と新たな潮流 ―― 眠れる資産が目を覚ます「新しいお金の育て方」
みんなの銀行 CXOオフィスの市原です(広報を担当しています)。
Web3やブロックチェーン技術の発展に伴い、従来の金融システムを大きく変える「DeFi(分散型金融)」や「資産のトークン化(RWA)」が注目を集めています。これらは私たちの資産運用をどのように変えるのでしょうか。みんなの銀行のWeb3.0開発グループの田口さんとの対話を通じて、分かりやすく解説します。
はじめに
生徒(広報 市原):前回(#4 決済・送金編)は、国内外で注目が集まる「ステーブルコイン」について学びました。特に、2023年6月の法改正で、日本でも銀行などが発行・仲介できるようになったというお話は、銀行員として非常に興味深かったです。
ただ、その際に「ステーブルコインには、銀行預金と違って利息がつかない」という点が、個人的に少し引っかかっていまして……。せっかくデジタルなお金に替えるのに、資産として「育てる」という観点では、少し物足りないのかな、と感じていました。
ですが、連載(#4 決済・送金編)の最後で「DeFi(分散型金融)を使えば、利回りが得られる」という、希望の光が見えるような一言もありましたよね! 今日はぜひ、そのあたりから詳しくお伺いしたいです。
AI先生(Web3.0開発グループ マネージングディレクター田口):まさにおっしゃる通り、ステーブルコイン単体では資産は増えませんが、Web3の世界には「DeFi」という、既存の金融とは全く異なる仕組みで利回りを得る方法が存在します。
しかし今日は、その話も含めつつ、もっと大きな、資産運用の“常識”そのものを根底から変えてしまう可能性についてお話ししたいと思います。
テーマは「新しいお金の育て方」。その中心にあるのが「資産のトークン化(RWA:Real World Asset|現実資産)」というキーワードです。
投資のハードルが劇的に下がる!? 資産のトークン化革命
生徒:資産のトークン化……! まさに今日お聞きしたかったテーマです。少し前に、「ナスダックが株式のトークン化決済のパイロット運用をSECに承認された」というニュースや、「スペースXの株がブロックチェーン上で取引できるようになる」という記事を読みました。
AI先生:お、チェックしてますね! 特に後者のニュース、スペースXは2026年6月12日にアメリカのナスダック市場に上場して大きな話題になりましたが、USの規制に準拠した形で、現物の株を裏付け資産としてパブリックブロックチェーン上で流通させる試みも始まっています。
これにより、特定の条件下ではありますが、24時間365日、ブロックチェーン上でいつでも取引できるようになるのです。まさに、伝統的な金融がWeb3の世界に足を踏み入れた象徴的な出来事と言えるでしょう。
生徒:世界を代表する証券取引所や株価指数、そして実際の株がいよいよブロックチェーンの世界に足を踏み入れたのかと興奮したのですが……。正直なところ、今でも私たちはスマホアプリで簡単に株を買えますし、「トークン化」されると、具体的に何が、どのように便利になるのか、まだ明確なイメージが湧いていないんです。
AI先生:なるほど、その疑問はもっともです。実は、トークン化されることで、従来のスマホでの株取引とは全く異なる「3つの大きな変革」が起こるんです。
それは、①小口化、②24時間・ボーダレス、③即時決済・自動化。順番に見ていきましょう。まずは「小口化」についてです。
①小口化
生徒:小口化……ですか。日本でも少しずつ気軽に株を買えるサービスが増えてきていますが、そことの違いは何でしょうか?
AI先生:目指す方向性は近いですが、トークン化はそれをさらに民主化し、自由度を高めます。
現在のサービスは特定の証券会社の中だけで完結していますが、トークン化の凄いところは、技術的に0.01株のような超小口取引が簡単になるだけでなく、ウォレットを通じて個人間でダイレクトに、ランチ代の代わりに1,000円分のスペースXの株(デジタル証券)を送り合う、といった驚くほど柔軟な取引すら視野に入っている点です。
また、株式だけでなく「不動産」や「美術品」「高級時計」といった、本来なら一般の人が手を出せないような巨大な資産まで、細かく分割できる点にあります。
生徒:不動産や美術品を分割、ですか?
AI先生:例えば、都心の一等地にある10億円のビルがあったとします。普通は買えませんよね。
生徒:買えません……。
AI先生:でも、この10億円のビルの価値をブロックチェーン上で1,000万個のトークンに分割すれば、「1口=100円」から購入できるようになります。
わずか100円分であっても、ビルの所有権(の一部)を持ち、ビルの「共同オーナー」としての権利(投資口)を持ち、そこから生まれる賃料収入の分配をスマートに受け取ることができる。これがトークン化による「小口化」のパワーです。
生徒:100円でビルのオーナー……!? なんだか投資というより、もっと身近な感覚ですね。自分が「いいな」と思ったものを気軽に応援できるというか……。それって、まるで「推し活」みたいに参加できる、ということでしょうか?
AI先生:面白い視点ですね! まさに「応援する」という感覚は、これからの金融のひとつの本質を突いた表現かもしれません。
これまでは「儲かるか、儲からないか」という利回りだけを追いかける投資が主でした。しかしこれからは、自分が心から共感する理念を持つ企業や、応援したいクリエイター、貢献したい社会活動に対し、まるで「推し活」のように100円から仲間として参加し、その成長を一緒に喜ぶことができます。
資産運用は、単なる数字の増減(残高)を追うゲームから、共感や応援といった「行動」そのものに価値が生まれる世界へと変わっていくのです。
ただし、これはあくまで「投資」でもあるため、(推し活と違って)元本が減ってしまうリスクも背中合わせです。プロジェクトの成長を応援する楽しさと、自分の資産を賢く守る自己責任のルール。その両方をバランスよく持って楽しむことが、これからの大人の付き合い方ですね。
②24時間・ボーダレス
AI先生:現在の株取引は、基本的には平日の昼間(証券取引所が空いている時間)しか取引できません。また、海外の株や資産を買おうとすると、高い為替手数料がかかったり、手続きが非常に面倒だったりしますよね。
生徒:たしかに、平日の昼間は仕事中で、なかなか相場を見ることはできないですよね。
AI先生:ブロックチェーンは地球規模で稼働し続けているインフラです。その仕組み上、トークン化された資産は、土日祝日や深夜であっても、24時間365日いつでもリアルタイムで売買が可能です。
もっとも、現時点では法的な制約などから取引が限られる部分もありますが、将来的には規制緩和が進み、あらゆる取引がいつでも行えるようになることが期待されています。また、技術的には国境という概念もないため、世界中の資産を自由にやり取りできるポテンシャルを秘めています。
ただし、実際に国境を越えて金融商品を購入する際には、各国の法規制が適用されるため、現時点では認可されたサービスを経由する必要があります。
将来的には、こうした法的なハードルをクリアした国際的なサービスが整備されることで、日本でもスマホから海外の株式や不動産のトークンを、同じウォレットから瞬時に購入できる時代が来ると考えられています。
生徒:平日の昼間に縛られず、自分のライフスタイルに合わせて夜間や土日に投資ができるようになるんですね。まさに「デジタルネイティブ」な投資スタイルですね。最後の「即時決済・自動化」はどういうことでしょうか?
③即時決済・自動化
AI先生:3つ目の「即時決済・自動化」は、一見地味に聞こえるかもしれませんが、実は金融やビジネスのインフラを根本からひっくり返す、最も破壊力のある変革なんです。
従来の取引では、株や不動産を買っても、実際の権利移転やお金の決済(着金)が完了するまでに数日かかるのが普通でした。しかし、ブロックチェーンを使えば、権利の移転と代金の支払いをシステム上で「即時」かつ「同時」に処理できます。
今後、日本でも「ステーブルコイン」や「デジタル通貨」が本格的に普及すれば、お金のやり取りまで含めてタイムラグがゼロになり、取引相手の債務不履行といった従来型のリスクを仕組み上なくすことができるんです。
生徒:それはビジネスのスピードが劇的に上がりそうですね。でも、「自動化」というのはどういうことですか?
AI先生:それを可能にするのが、ブロックチェーンに組み込まれた自動契約システム「スマートコントラクト(契約の自動実行)」です。
これは、あらかじめ「もし〇〇が起きたら、××を実行する」という契約ルールをプログラムとして資産に埋め込んでおく技術です。
例えば、「家賃が支払われたら、自動的にビルのオーナーたちへ持ち分に応じた配当を1円も間違えずに配る」「特定の価格になったら自動で分配する」といった複雑な作業を、人間の手を介さず、プログラムが厳密かつ強制的に自動実行してくれます。
手続きの手間や人件費を極限まで削ぎ落とせるため、これまではコスト的に不可能だった「超細かな金融サービス」が実現できるようになるんですよ。
ここまでが、不動産や株式といった「現実世界の資産」をデジタル化する「RWA(RWA:Real World Asset|現実資産)」の可能性です。小口化、24時間取引、即時決済によって、資産投資のハードルが劇的に下がるイメージが掴めたでしょうか。
生徒:はい! まるで「推し活」のように、応援したい企業や資産に100円から参加できる未来にワクワクしました。
AI先生:よかったです。さて、ここからはもう一歩進んで、Web3のもう一つの核心である「DeFi(分散型金融)」について見ていきましょう。このDeFiは、先ほどのRWAと将来的に結びつくことで、資産運用の常識を根底から変える力を持っています。
DeFi(分散型金融)が生み出す「資産を眠らせない」世界
生徒:DeFi……! この連載の最初の方で少し聞きましたが、いよいよ本丸、という感じですね。
AI先生:はい。DeFiを理解する鍵は「資産を担保に、別の資産を借りる」という仕組みにあります。例えば、あなたが代表的な暗号資産である「イーサリアム」を100万円分持っているとします。
生徒:(ドキドキ……)はい、持っているとします。
AI先生:もし、あなたが「将来有望だからイーサリアムは売りたくない。でも、今すぐ別の投資のために50万円必要」という状況になったとします。
DeFiの世界では、そのイーサリアムを売ることなく、DeFiの仕組みに「担保」として預けることで、対価として「ステーブルコイン」(米ドルなどに価値が連動するデジタル資産)を借りることができるのです。
生徒:ええっ! 暗号資産を売らずに担保にして、すぐにお金が借りられるんですか!?
AI先生:その通りです。銀行の融資窓口に行って書類を何枚も書き、何日も審査を待つ必要はありません。あらかじめ設定されたプログラム(スマートコントラクト)が、あなたが預けた担保の価値を瞬時に評価し、裏側で自動で貸し出してくれます。
さらに、その借りたステーブルコインを、今度は別のDeFiに貸し出してさらなる「利回り」を得る、といったことも可能です。つまり「暗号資産の長期保有による値上がり益」を狙いながら、それを担保にしてレバレッジをかけて、資産の多重運用を行うといった高度な運用が、スマホ1つで完結します。
生徒:面倒な裏側のプロセスをプログラムが自動でやってくれるから、待ち時間も大幅に減るんですね。でも……なんだか便利すぎて少し怖い気もします。
AI先生:よい直感です。実は、この自由で便利な世界だからこそ、「あらかじめ知っておくべき大切なルール」があります。
例えば、担保にしたイーサリアムの価格が急落した場合、スマートコントラクトによって、1秒の猶予もなく自動的に清算(売却)が行われます。「人間の情」や「追証の猶予」といった仕組みは存在しません。
生徒:なるほど……。プログラムが厳格にルールを執行するからこそ、自動化の恩恵がある一方で、価格の動きにはいつも以上に気を配る必要があるんですね。
AI先生:その通りです。さらに言えば、DeFiはまだ発展途上のテクノロジーです。プログラムの隙(バグ)を突いたハッキングのリスクなどもゼロではないため、「すべての仕組みが完璧に安全とは限らない」という前提を持つことも大切です。
生徒:便利だからといって、全財産を預ける!みたいな使い方は禁物ですね。
AI先生:まさにその通りです! 「まずは少額から試してみる」「信頼性の高い実績のある仕組みを選ぶ」といったように、テクノロジーの進歩を楽しみつつ、自分自身でも賢くリスクをコントロールする姿勢が、この新しい世界を歩むためのパスポートになります。
生徒:なるほど……。DeFiの仕組みはよく分かりました。ただ、そうなると、先ほどの「トークン化された資産(RWA)」の話とは、また別の話なんですね。
AI先生:良い点に気づきましたね! 現時点では、RWAとDeFiはまだ別々の世界です。
しかし、将来的にはこの2つが融合し、「トークン化された株式や不動産を担保に、DeFiで資金を借りる」といった、まさに資産の境界線が溶け合った世界が来ると言われています。そうなれば、これまで眠っていたあらゆる資産が価値を生み出す、本当の意味での「新しいお金の育て方」が始まるのです。
生徒:なるほど! ただ、スマホ1つで完結するといっても、その前段階として、自分でデジタル資産を管理するための「ウォレット」を用意したり、どのDeFiサービスを使うか自分で見極めたりと、銀行に任せていた部分をすべて自己責任で行う必要がある、ということでもありますね。
AI先生:まさにその通りです。その「自由と責任」の関係を理解することが、Web3の世界と付き合う上で非常に重要になります。
ここまでの違いを分かりやすく整理するために、表を用意してみました。これまで、株、投資信託、不動産、暗号資産など別々に管理されていた資産がスマホの中の1つのウォレットで管理される時代が訪れようとしています。
表:従来の金融 vs Web3の金融
新時代、みんなの銀行が目指す「ハブ」としての役割
生徒:なんとなく、これまで別々の資産として扱われていたものが共通の基盤で管理されていくイメージが湧いてきました。
AI先生:だからこそ、これからは私たち「みんなの銀行」の出番だと考えています。
生徒:というと?
AI先生:みんなの銀行は「みんなに価値あるつながりを。」をミッションに掲げ、多様なサービスと連携することで、人と人、人と社会をつなぐプラットフォームとしての役割を担います。
これはまさにお金以外の価値を含めて、様々なものを価値と捉え、それを仲介することを目指すみんなの銀行の思想につながるものだと考えています。
みんなの銀行アプリを通じて、世の中にある様々なWeb3資産に、安全かつシームレスにアクセスできる。私たちは、そんな世界の実現を目指し、今まさに実証実験を進めているところです。
おわりに:価値の尺度が「残高」から「行動」へ
生徒:今日お話を伺って、「資産運用」という言葉のイメージが大きく変わりました。これまでは、株価のチャートや為替レートとにらめっこして、いかに「残高」という数字を増やすか、というゲームのようなイメージでした。しかし、これからは違いますね。
単にお金を増やすことだけが目的ではなく、自分の「共感」や「応援」といった「行動」そのものに価値が生まれ、社会や誰かと温かくつながっていくこと。それ自体が新しい資産運用の形になっていくのだと深く納得しました!
AI先生:ええ。それこそが、私たちが考える「新しいお金の育て方」です。資産を増やす喜びだけでなく、社会とのつながりや貢献を実感できる、より人間らしい資産形成のあり方と言えるかもしれません。
そして、このトークン化されたお金は、資産運用に留まらず、クリエイターへのダイレクトな支援(マイクロペイメント)や、地域を元気にするデジタル地域通貨の運営など、これまでになかった「新しい経済圏」そのものを社会の隅々に生み出す、強大なポテンシャルを秘めています。
生徒:「ステーブルコインには、銀行預金と違って利息がつかない」というイメージでしたが、それでも様々な運用方法があり、これまでになかった価値を生み出すことができるイメージが湧いてきました。
ただ、話を聞いて一つ疑問に思ったのですが、せっかく株式や不動産といった「資産」がトークンになって24時間いつでも取引できるようになっても、その支払いに使う「お金」が従来の銀行振込のままだと、結局タイムラグが残ってしまいませんか?
AI先生:良い視点です! まさに、トークン化された資産(モノ)の価値を最大限に引き出すには、決済に使うお金(カネ)も、同じようにデジタル化され、瞬時に動く必要があります。
そこで今、ステーブルコインと並んで、その決済手段の本命として世界中から注目されているのが「トークン化預金」なのです。
生徒:なるほど! だから最近「トークン化預金」というワードをよく見るんですね。その辺りの違いを知りたいです。
AI先生:それでは次回は、この「ステーブルコインとトークン化預金の違いやそれぞれのメリットや利用シーン」というテーマを深掘りしていきましょう。
※この記事は、みんなの銀行公式noteからの転載です。
最新情報やサービス詳細は、みんなの銀行公式サイトをご確認ください。
公式サイト:https://www.minna-no-ginko.com/
(執筆者: みんなの銀行)
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