【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

「大丈夫」という言葉は、誰かに言われるより、自分自身で信じられたときに初めて強くなるのかもしれない。

2026年9月4日、東京ガーデンシアター。anoの〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演は、彼女がこの1年間をどう生きてきたのか、その答えを自ら確かめるようなステージだった。

〈DUAL DINER〉というタイトルが示す世界観のなかで、anoはこの日も、激しさと静けさ、かわいらしさと凶暴さ、笑いと涙を自在に行き来していく。相反する感情や衝動をひとつの身体に抱えたまま、それらを隠すことなくステージにさらけ出す。そこにこそ、現在のanoのライブが持つ強さがあった。

「Past die Future」で幕を開けたライブは、代表曲「ちゅ、多様性。」「スマイルあげない」「涙くん、今日もおはようっ」と最初からアクセル全開で続く。anoのライブは単純に「盛り上がる曲を並べる」というものではない。かわいらしさと攻撃性、ポップとノイズ、笑いと涙。相反するものを同じ場所に置き、それらを矛盾したまま成立させていく。そして冒頭から東京ガーデンシアターを埋め尽くした観客の熱気は凄まじいものがあった。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

anoは「僕のこと、初めて見たよって人。これが本物です。よろしゅう」と、いつもの飄々とした調子で呼びかける。

テレビでは「あのちゃん」というポップアイコンとして知られ、役者としても活動するなど、幅広いフィールドで存在感を放つano。しかし、そのどれもが彼女の一側面にすぎない。ライブでは、そうした肩書きやイメージが剥がれ落ち、よりむき出しのanoがステージに立っている。

本人は冗談交じりに「これが本物です」だと語っていたが、それはきっと、ステージ上がもっとも自分らしくいられる場所だからなのだろう。歌うことも、叫ぶことも、ふざけることも、観客に言葉を投げかけることも、そのすべてを含めて、そこにはanoという人間そのものがいる。

そして、anoのライブのフロアを見渡すと、とにかく幅広い人たちが集まっている。年齢も性別も、ファッションもさまざま。誰かひとつの属性に偏ることなく、実に多種多様な人間が同じ場所にいる。本人も「こんだけ人数がいるといろんな人がいると思います。優しい人とか、そうじゃない人とか、うざい人もいるかもしんないし。変な人もいっぱいいるでしょう」と語っていたが、これほど多様な人が混ざり合うフロアは、ライブ空間としても珍しい。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

さらにanoは「我こそ変人だという方、挙手を!」と観客に呼びかける。そして、手を挙げたオーディエンスを見渡し、「普変」を披露した。

この一連のやり取りには、anoのライブが持つ重要な意味が込められているように思う。ここでは、誰かに理解される必要はない。少しくらい変でも、面倒でも、傷ついていても、そのままでいていい。無理に誰かに合わせる必要も、自分を取り繕う必要もない。

anoのライブは、ただ音楽を楽しむための場所であると同時に、そうした「そのままの人間」を肯定する場所にもなっている。だからこそ、年齢も性別も、これまで歩んできた人生も異なる人たちが、同じフロアで一緒に声を上げられるのだろう。

「変でもいい」「普通じゃなくてもいい」。そんなメッセージを、anoは音楽とステージそのものによって伝えている。そして、その場所で誰よりもむき出しになっているのが、ano自身なのだ。

anoの楽曲には、「絶絶絶絶対聖域」や「貸しっぱなしデスティニー」、「愛晩餐」のように、ハードで激しいサウンドを持つものがある。一方で、「SWEETSIDE SUICIDE」や「愛してる、なんてね。 (unplugged)」では、声と音楽の距離が極端に近づき、まるで心の内側を直接覗き込むような瞬間が生まれる。そして、このライブで初披露された新曲「ラブにダイブ」は、楽しくて、可愛くて、それでいて愛にあふれた楽曲だった。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

今回のツアータイトル〈DUAL DINER〉。「DUAL」には「二重」「二つのもの」という意味があり、「DINER」は食事をする場所を指す。つまり、ひとつのテーブルを囲み、それぞれ異なる人間が同じ場所に座る。そんなタイトルが示すように、このツアーでanoが見せてきたものもまた、相反する「二つの顔」だったのではないだろうか。

「かわいい」と「怖い」。「愛」と「死」。「孤独」と「つながり」。「自分を守ること」と「誰かに救われること」。

一見すると相反するものだが、人間のなかでは、それらが同時に存在している。どちらか一方だけを選んで生きられるわけではない。

anoは、そうした矛盾を無理に解消しようとはしない。むしろ、矛盾したものを矛盾したまま、ひとつのテーブルに並べてしまう。楽しくて可愛い曲もあれば、激しく攻撃的な曲もある。愛を歌いながら、孤独や痛みも歌う。そのすべてが、anoというひとりの人間のなかに共存している。

そして、それはライブに集まる観客の姿とも重なる。誰もが同じ人間ではない。考え方も、抱えているものも、好きなものも違う。それでも、同じテーブルに座ることはできる。異なるものを排除するのではなく、異なるまま同じ場所にいる。その可能性を、anoは〈DUAL DINER〉というライブ空間そのもので示していたのではないだろうか。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

ライブの終盤、anoは昨年開催された日本武道館公演「呪いをかけて、まぼろしをといて。」を振り返った。

そのステージでanoは、「これからの僕は絶対大丈夫です」と宣言していた。それから1年。振り返れば、その言葉が本物なのかを試されているような時間だったという。

「その言葉が本物かどうかっていうのを、すごく見定められてるような1年でした」

そう語ったanoは、しかし、その1年を経て、自分のなかに確かな変化が生まれたことを明かす。

「その言葉が確信に変わった1年でした」

さまざまな仕事を経験し、自分自身と向き合うなかで、「自分が一番ピンチな時に、自分が誰からも見られてないって思った時に。でも、自分が見ているから」と、自分自身の積み重ねが自分を救ってくれたことを明かした。

「目の前のことを地味に着実にやってきて、本当に自分がピンチの時に、その自分に救われました」

さらに、「誰も見てないこの頑張りも、と思っている人がこの中にいたら、自分が、自分だけが見てくれているなら、大丈夫だと思う」と観客へ語りかける。

「この先、そんな自分が君を大丈夫にしてくれるって思う。僕が身を持って言えるなって思って言いたいし、きれいごとに聞こえてると思うけど、それ言いたいです」

それは、このツアーを通してano自身が手にした「大丈夫」という言葉だった。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

この日のMCでもうひとつ印象的だったのが、「僕はライブがあって本当に良かったと思ってます」という言葉だった。

anoは、ライブがあるから「大丈夫だった」と思える瞬間が何度もあったと語る。つまり、これまでライブは彼女自身が救われる場所でもあった。しかし、この日のanoはそこで止まっていない。「みんなにすごく大丈夫にしていただけたなって思う」と語ったあと、今度は観客に「大丈夫」を返していく。

この循環こそが、anoのライブの核心なのだと思う。客席がanoの音楽に救われている一方で、ano自身もまた、客席に救われている。

そして、anoは最後に「ミッドナイト全部大丈夫」という楽曲を歌った。

ここまで激しく、時にコミカルに、時に痛々しいほど真っ直ぐに感情をさらけ出してきたステージの最後に、anoは観客へ向けてもう一度「大丈夫」を届けたのだ。

そして、anoは歌う前に「僕から、今日、呪いをかけます」と告げた。

anoにとって「呪い」とは、決してネガティブなものではない。苦しい時にも生き続けるための言葉であり、ステージと観客をつなぎ止めるための約束だ。

そして、そのクライマックスのなかで、anoは、「化け物上等だよ」と告げた。

「僕は化け物上等です。どんだけキモいって言われても、化け物だって思われても、消えろって言われても、必ずまたステージに立ちます」

その根底にあるのは、先ほど語った「自分が自分を見ている」という想いなのではないだろうか。

他人がどう評価するかではなく、自分が自分を見捨てない。だから、何度でもステージに戻ってくる。そして、その言葉は観客にも向けられる。

「君はそのままだから、今日会えました。消えたい、死にたいと思った時、死ななかったから今日会えました。本当にありがとう」

anoは、ただ「今日ここで会えた」という事実を肯定する。生きていたから、今日会えた。そして、今日会えたから、また次に会える可能性が生まれる。その小さな連続を、anoはライブという場所で続けているのだ。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

そして、最後に彼女がかけた「呪い」。

「君は、今夜だけは全部全部大丈夫になるよ」

昨年の武道館公演から1年。さまざまな経験を積み、ライブを重ね、観客からも力をもらったanoは、今度はその言葉を客席へ渡す。

自分を救うために生まれた言葉が、誰かを救う言葉へと変わった。

それが、この日の「大丈夫」だった。だからこそ、最後の「また必ず生きて会いましょう」という言葉が強く響く。それは、未来を約束する言葉であると同時に、今を生きていることそのものへの肯定でもある。

「絶対大丈夫」という言葉は、何があっても傷つかないという意味ではない。

傷ついても、倒れても、自分を見捨てない。誰にも見られていなくても、自分だけは自分を見ている。そして、また誰かと会うために、もう一度立ち上がる。

anoがこの1年で手にした「大丈夫」とは、そんな強さなのだと思う。

「また必ず生きて会いましょう。バイバイ」

最後に残ったのは、ただ、また会うための約束だった。それだけで十分なのだ。東京ガーデンシアターに集まった一人ひとりが、ほんの少しだけ「大丈夫」になって帰っていく。そんな夜だった。

【ライブレポ】ano、「大丈夫」を君に──〈ano Hall Tour 2026 DUAL DINER〉追加公演

取材& 文 : ニシダケン

セットリスト

「ano Hall Tour 2026 DUAL DINER」追加公演
2026年9月 4日(金)東京ガーデンシアター

01. Past die Future
02. ちゅ、多様性。
03. スマイルあげない
04. 涙くん、今日もおはようっ
05. 普変
06. KILL LOVE
07. ハッピーラッキーチャッピー
08. この世界に二人だけ
09. SWEETSIDE SUICIDE
10. 愛してる、なんてね。 (unplugged)
11. AIDA
12. 愛晩餐
13. 貸しっぱなしデスティニー
14. 骨バキ☆ゆうぐれダイアリー
15. Bubble Me Face
16. 絶絶絶絶対聖域
17. ラブにダイブ
18. YOU&愛Heaven
19. ミッドナイト全部大丈夫

■ano HALL TOUR 2026 DUAL DINERをU-NEXTにて独占ライブ配信決定!
ライブ配信:11月14日(土)19:30~ライブ終了まで(開演20:00)
見逃し配信:配信準備完了次第~11月28日(土)23:59まで
配信公演:9月4日(金) 東京ガーデンシアター公演
視聴ページ:https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000015485

※視聴可能デバイスに関してはこちらをご確認ください
https://help.unext.jp/guide/detail/supported-devices-of-live-distribution

ライブ情報

■ano主催イベント「猫吐祭」(にゃんおぇさい)始動!
日程:2027年2月28日(日)

時間:開場16:00 / 開演 17:00

会場:東京・豊洲PIT
出演アーティスト:ano / and more…
お問い合わせ先:ホットスタッフ・プロモーション 050-5211-6077 (平日12:00〜18:00)

<TICKET>
¥9,900(税込) ※ドリンク代別

<発売スケジュール>
●CLUB DENTAL MOUSE会員先行
受付期間:9月4日(金)20:00〜9月15日(火)23:59
https://ano-official.com/news/detail/89064

新着情報

■オフィシャルアプリ「ano OFFICIAL APP」リリース決定!
本アプリでは、あの/anoに関する最新情報や会員コンテンツをお届けし、プッシュ通知機能で大事な情報もいち早く受け取ることができます。
▼アプリの詳細はこちら
https://ano-official.com/feature/83c13bab2a25176cca5c5b13172003c0

ライブ情報

・ano LIVE in SEOUL, KOREA 2026
2026年10月17(土) 韓国・BLUE SQUARE ウリWONバンキングホール 
17:00open / 18:00
2026年10月18(日) 韓国・BLUE SQUARE ウリWONバンキングホール 
17:00open / 18:00

イベント情報

・2026年9月12日(土)
TREASURE05X 2026
(愛知・蒲郡ラグーナビーチ)

・2026年9月21日(月・祝)
rockin’on presents「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2026」
(千葉県 千葉市蘇我スポーツ公園)

・2026年9月30日(水)
「K. and his RADIO Vol.2 ~爆音のヒーロー達 かっ飛びの夜空!!~ 」
w/ギターウルフ、永野
(恵比寿The Garden Hall)

・2026年10月4日(日)
「マグロック&ポップ 2026
(静岡県 清水マリンパーク)

・2026年10月11日(日)
「GFEST.2026」
(群馬県 Gメッセ群馬)

・2026年12月7日(月)
Cross-stage Vol.3: ano × 銀杏BOYZ
(東京・ 豊洲PIT)

アーティスト情報

<あの / ano 公式>
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