Empty old Cityが〈東京キネマ倶楽部〉で魅せた、弦と梟の幻想世界──〈Strings in Owl ||:echo:||〉ライブ・レポート

Empty old Cityのセカンド・アルバム『Strings in Owl』を引っ提げたワンマン・ライブの早期ソールド・アウトを受け、より深くその世界観を楽しむための追加公演として、2026年7月31日(金)、東京キネマ倶楽部にて本公演〈Strings in Owl ||:echo:||〉が開催された。
渋谷 Spotify O-EASTにて開催された2nd ONE-MAN LIVEから約3ヶ月。さらに深化を遂げたEmpty old Cityの紡ぐ「物語」に浸るべく、会場には胸を躍らせたファンが集結。期待と熱気、そして凛とした緊張感が心地よくフロアを包み込んでいた。
幕が上がると大きな拍手が鳴り響き、ピアノの音色とともに物語の映像が始まる。
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ある冬、少年「クレオ」が納屋の木箱の中に見つけた卵を孵し、自由を願いながら大空へ放つまでが語られた。
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物語の途中でkahocaとNeuronがステージへ現れ、「空の飛べない ガラスの背なに」から始まる“From Noir”へ。艶やかなピアノと強固なトラックが交錯する圧巻のパフォーマンスで観客を一気に引き込み、ストリングスとピアノの低音が重厚に絡み合う。kahocaの表現力豊かな歌声と、強烈なダブ・サウンドによるドロップが聴き手の心を大きく揺さぶった。続く2曲目はミニマルなコード・バッキングからスタートし、壮大な音場へと誘う“Astronomy”。後半にかけて伴奏と歌声が複雑に交錯するなか、kahocaがNeuronと向き合いながら一体感あふれるパフォーマンスを披露した。
続いて、Neuronがサンプラーでビートを奏でながら“Chronicle A”の四つ打ちでクラップを誘う。Empty old Cityの持ち味である浮遊感あふれるドロップでオーディエンスを揺らし、心地よく緊張感を解きほぐしていった。曲が終わるとアンビエント・セクションとともに、kahocaによる追加公演開催への感謝と挨拶。すかさず重低音がうねりを上げ、美しいコーラスとともに会場を黄昏色に染め上げると、“トワイライト・セレナーデ”で満員のキネマ倶楽部を多幸感で包み込む。クラップを煽りながら伸びやかで温かみのある歌声を響かせ、時計の秒針を思わせる音色と丸みを帯びたシンセサイザーの調和が、Neuronの優れたサウンド・プロデュース力を鮮やかに際立たせていた。

水中のようなアンビエントと鐘のようなシンセ・サウンドが絡み、割れんばかりのサブベースを叩きつけたのは“Rhapsody”。美しいメロディとダンス色の強いアレンジに会場が湧き立つ。kahocaの透明感のある歌声、そして間奏のバイオリンの音色を全身で受け止めるフロア。セカンド・シングルの楽曲でありながら『Strings in Owl』のコンセプトにしっかりと引き寄せたサウンドを展開してみせた。強烈なフィルターの効いたドラムンベースのセッションから“Black Dilemma”が始まると、大きな歓声が上がる。ガラッと雰囲気を変えるワイドでウェットなベースの響きが熱気を底上げし、Neuronが創り出す高密度なトラックと、それに負けないkahocaの抜けの良い歌声が鮮やかに映えるパフォーマンスとなった。
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再び物語が始まる。そこは静かな森の奥の病院。病室の少女「フェーデ」の膝に、雪のような白い羽を持つ美しいフクロウが舞い降りた。フクロウが落とした涙をきっかけに少女の前に別世界のような光景が映し出され、その景色に、フェーデは思いを馳せる。
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ピアノのリバース・サウンドから優しい音像のシーケンスでダイナミクスを描く“Pulse in Flora”が始まり、ふっと呼吸が軽くなる。音のテクスチャーとベースの応酬、キラキラと輝くアルペジオと水音が絡み合い、退廃的な世界に佇む自然を思い起こさせた。ピアノ・ソロで静かに曲を締めくくると、kahocaの「ありがとう」という言葉とともに大きな拍手が贈られた。

民族的な掛け声と鈴の音が超重低音と絡み合う異色のトラックから、“Death Designer”へ。楽曲の展開に合わせたベンド・アップを的確に挟むkahocaの底知れぬ表現力が、ダークで重厚なシンセサイザーと強烈な化学反応を見せる。太いリード・シンセサイザーのソロに加え、レイドバックしたジャジーなピアノ・ソロで圧倒的な演奏力を提示した。続いて一発のベース音とともに、ゲストの水槽が登場。“Offline Saga(feat.水槽)”で水槽が歌い出すと歓声が響き渡り、二人の歌声が巧みに重なり合って会場の熱気は上がり続ける。大胆に間を取ったドロップと水槽のフェイクで締めくくり、この日一番の盛り上がりを記録した。
その熱量のまま、ベースとリズム・トラックのセッションを挟んでタイトル・コールとともに“Buffer”へ。歓声が上がるなか、重厚なサウンドに圧倒される。歪んだコードを潜り抜けるピアノ・オブリガートと、大胆なダイナミクスで強靭さと繊細さを巧みに縫い合わせた驚異のパフォーマンスとなった。その余韻のまま“ノスタグラム”へ雪崩れ込み、ロングトーンでフロアの雰囲気を一気に掌握。「大人になっていく おかしくなっていく」という印象的な歌詞とともに、グリッチ感のあるドロップでEoCならではのクラブ・サウンドを演出する。土台を支える肉厚なベースの上で踊るシンセサイザー、ストリングスをはじめとした上物のフレーズが最高のライブ感を作り上げた。過去の公演からアドリブ感が増し、ライブアーティストとしての着実なステップアップを感じさせる展開だ。

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そこから、フェーデはフクロウが病室を訪れるのを楽しみに、窓を開けるようにしていた。ある日、青い目のフクロウがフェーデの膝に乗り、涙を落とし部屋を光で包み込んだ。次に見えた光景はひどく重たい空気を帯びていた。
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物語が終わると、鋭利なストリングスと金属音の響きでムードをまとった“Looma”のイントロが始まる。ストリングスと歌のみのセクションから徐々にビルドアップがなされ、ファンタジー色の強いドラマチックなピアノの下降フレーズが差し込まれる。楽曲が終わった後も劇伴のようにスケール感が伸縮し、異世界のような悍ましい雰囲気が作り出された。続く“こぼれる雫、記憶の受け皿”では伝統音楽を感じさせる音階で祭囃子のような空気のなか、ストリングスが多面的な表情を見せる。ノイズとクリアなキックが交錯し生のストリングスが交わる“Daisy Crown”へと畳みかけ、バイオリンのShiori Nishiharaのメンバー紹介を挟むと、リムとキックでシンプルに刻まれるイントロから“ミレニアの水槽(Aquarium Remix)”へ。ボーカル・ディレイとホーンを皮切りにウェットなアンサンブルへ広がり、甘美なバイオリン・ソロとリリースとともにわずかにフラットするコード・バッキングが、水中のような神秘的な空気感を作り出した。

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それから程なくしてやっていたのは、真っ黒な鋭い嘴を持つ勇ましいフクロウだった。フクロウが映し出した景色には病院の近くの森と、思いを込めながら一人で演奏するビオラ奏者の姿がみえた。
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物語の途中、ドラムの箱木 駿、ベースの今野颯平がステージへ上がる。公演名を冠した“Strings in Owl”では、張り詰めたシーケンスに低音豊かなバイオリンが重なり、徐々に華やかさを増していく。ビオラの深みのある低音、kahocaの囁きとともに“クロマの幻聴”へ。アグレッシブでありながらもうねるような展開を見せるアンサンブルの強度に圧倒されつつ、揺れるシンセサイザー・ソロや鮮やかなキメで一気に引き込まれる。エレクトロ・セットとは一線を画す圧倒的な求心力を提示したパフォーマンスに、フロアからは絶賛の声が上がった。

ここでタイトル・コールとともに“青揺れるフィリア”が披露される。鼓動のようなシーケンスから意表を突くバンド・イン、そしてポップでEoCらしいフックに自然とクラップが巻き起こった。冷たいピアノとともにkahocaの感謝の言葉が挟まれ、続いて荘厳かつ清涼感のあるシンセサイザー・セクションから“Moonian”がスタート。生ドラムのクラッシュやフィルインが生み出す高揚感はすさまじく、重厚なアンサンブルに生き生きとしたシンセサイザーが調和を見せる。そしてアウトロのキメのまま一切減速せずに“Frozen Frozen!”へ。スネアが刻むバースの快感、そこへカットインするスラップ・ベースの衝撃でラストスパートをかける。間奏ではドラムの箱木 駿、キーボードのいけだゆうた(from BREIMEN)、ベースの今野颯平、そしてEmpty old Cityの二人を紹介。オーディエンスに讃えられながら、クラップとともに溶けるような落ちサビからアヴァンギャルドなシンセサイザーとベースで締めくくった。
すぐさまスネアがスウィング・ピアノを呼び、“Enigma”、“ゴースト警告を唄う”とピアノ・プレイングが印象的なナンバーが続く。Neuronがリズム隊に背中を預け、緩急豊かな小気味良いフレーズを弾き続ける。ハイハットの4カウント、3拍目からウォーキング・ベースを織り交ぜた低音が加わり、テンション感豊かなクラシカルなピアノが複雑に交差して開放感のあるバースを繰り広げる。モチーフを繰り返すピアノ・ソロと、後半の自由なソロの対比でオーディエンスを揺らし、会場を沸かせた。

“Vivop”ではライド・シンバルを挟みつつ、引き算の効いたドロップで2巡目を活かす構成を展開。ジャジーなソロのまま、豊かなテンションのバッキングで駆け抜けた。“カミツレと愛のブーケ”はピアノとボーカルの落ち着いた立ち上がりから、フルスロットルのバンドがなだれ込む。全体を力強くまとめ上げるバンドの手腕はもちろん、その音圧に一切飲まれないkahocaの圧倒的な歌唱力にも驚かされた。
サポートメンバーがステージを降り、白い光に包まれたステージでNeuronとkahocaの二人によって“そしてクレアへ”が奏でられる。うねるリース・ベースと心地よいボイシング、美しい音価を保つNeuronのピアノがkahocaの歌声と絡み合い、極上のダイナミクスを構築。『Strings in Owl』の世界観を締めくくるにふさわしい一曲でライブ本編の幕を下ろし、大きな歓声と拍手が降り注ぐなか、ふたりは深くお辞儀をしてステージをあとにした。
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いつの間にかフェーデはフクロウを待ち遠しく思っていたが、しばらくフクロウは姿を見せていない。窓を開け放っていると体が冷える季節になっていた。次の春を夢見ながら、フェーデはそっと窓を閉じた。
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暗転とともにシングル「青揺れるフィリア」およびConcept EPⅡのリリース、そして3rd ONE-MAN LIVEの開催が発表され、期待に満ちた大きな歓声に包まれながら〈Strings in Owl ||:echo:||〉はその幕を下ろした。

セットリスト
01. From Noir
02. Astronomy
03. Chronicle A
04. トワイライト・セレナーデ
05. Rhapsody
06. Black Dilemma
07. Pulse in Flora
08. Death Designer
09. Offline Saga(feat.水槽)
10. Buffer
11. ノスタグラム
12. Looma
13. こぼれる雫、記憶の受け皿
14. Gemini
15. Daisy Crown
16. ミレ二アの水槽(Aquarium Remix)
17. Strings in Owl
18. クロマの幻聴
19. 青揺れるフィリア
20. Moonian
21. Frozen Frozen!
22. Enigma
23. ゴースト警告を唄う
24. Vivop
25. カミツレと愛のブーケ
26. そしてクレアへ
LIVE INFORMATION
公演名:Empty old City 3rd ONE-MAN LIVE
日程:2027年2月12日(金)
18:00 OPEN/19:00 START
会場:EX THEATER ROPPONGI (https://www.ex-theater.com/index.html)
《チケット情報》
最速先行受付
受付期間:2026年8月11日(火・祝) 23:59まで
受付URL:https://eplus.jp/eoc/
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