住宅価格の上昇時に妥協したのは「価格が予算より高くなった」こと。妥協しても不満が残るのが実態!?

住宅価格の上昇時に妥協したのは「価格が予算より高くなった」こと。妥協しても不満が残るのが実態!?

国土交通省は、令和7年度の「住宅市場動向調査」の結果をとりまとめ、それを公表した。毎年実施している大型調査ではあるが、近年の住宅価格の高騰を受けて、住宅を取り巻く環境も変わりつつある。その影響がどう表れているか、見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「令和7年度住宅市場動向調査」の結果を公表/国土交通省

とりわけ新築での価格上昇が著しかった2024年度の市況

この調査は、令和7年度という名称だが、令和6年度、つまり2024年度(2024年4月~2025年3月)に住み替えや建て替え、リフォームを行った世帯を対象に行ったもの。注文住宅と中古住宅は全国を、分譲住宅、民間賃貸住宅、リフォームについては三大都市圏を対象にしている。ここでは、新たに住宅を建築・購入して住み替えた人の調査結果を紹介していく。

さて、調査対象となる2024年度頃の住宅市況を振り返ってみたい。コロナ禍後の住宅ニーズが収束し、新築の分譲マンションでは売れやすい好立地に供給を絞り、付加価値を付けて高額なものを販売する傾向が強まった。新築分譲一戸建てや注文住宅ではウッドショックの影響などで建築費が上昇しつつあった。こうしたことから、とりわけ新築については前年よりも取得費用の上昇が目立っていた。

この後、2025年4月の新築住宅への省エネ基準義務化や、世界情勢の不安定化、円安など様々な影響を受けて、新築の住宅価格はさらに高騰し、それにつられるように中古の住宅価格も上昇していくことになる。

また、【フラット35】でも2024年10月からペアローンの取り扱いを開始するなど、共働き夫婦がともに住宅ローンを借りて住宅を購入する流れが加速した時期でもあった。

価格上昇期の住宅の購入資金は?資金計画は?

では、「令和7年度住宅市場動向調査」で調査対象者の購入資金の平均額を見ていこう。平均額は以下のようになった。

■購入資金

住宅の種類平均額注文住宅※7646万円分譲戸建住宅=新築一戸建て5099万円分譲集合住宅=新築マンション6443万円既存(中古)戸建住宅=中古一戸建て2966万円既存(中古)集合住宅=中古マンション3321万円

※注文住宅のみ全国(その他の住宅は三大都市圏)で、土地の購入を伴って注文住宅を建てた人(建て替えた人を除く)の結果を抜粋

数字を見る限り、購入資金はかなり高額になっている。そのため、新築系では借入額(下図参照)もかなりの額(注文住宅5342万円、新築一戸建て3735万円、新築マンション3870万円)になっている。

購入資金・借入額・自己資金・自己資金比率

購入資金・借入額・自己資金・自己資金比率(出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」報告書より抜粋して編集部にて作成)

次に、自己資金(上図)について見ていこう。特に注文住宅の2305万円や新築マンションの2573万円などで自己資金の額の多さが目立つ。自己資金には、預貯金や贈与、遺産相続のほかに買い替えによる不動産売却の資金も含んでいる。多額の売却益を得て、借り入れせずに購入した人もいる点に留意したい。ほかにも購入資金を増やすために自己資金を多く用意した可能性も考えられる。また、自己資金比率は、新築系で3割前後(注文住宅30.1%、新築一戸建て26.7%、新築マンション39.9%)と高めになっているが、中古系では4割程度(中古一戸建て38.1%、中古マンション40.0%)とさらに高くなっている。

「予算より高くなった価格」に妥協するも、不満感は残るのが実態!?

希望する住宅の価格が上昇していくのに、年収は上がらないとなると、希望条件をなにがしか妥協したり、結果として満足できなかったものがあったりすることになるだろう。そこで、新築の住宅(注文住宅、新築マンション、新築一戸建て)を取得した人について、「妥協したもの」と「満足していないもの」は何かを聞いた結果を見ていこう。

住宅選択にあたり妥協したもの

住宅選択にあたり妥協したもの(出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」報告書より抜粋して編集部にて作成)

「妥協したもの」については、いずれも「価格(予定より高くなった)」を妥協した人が最多となったが、注文住宅(63.8%)で最も多く、新築一戸建て(41.3%)、新築マンション(39.6%)では4割前後にとどまった。次いで妥協したのが、いずれも「住宅の広さ」や「間取り、部屋数」だった。価格だけでなく、希望していた広さや部屋数などをあきらめたという人が多いことも分かった。

建築・購入した住宅に満足していないもの

建築・購入した住宅に満足していないもの(出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」報告書より抜粋して編集部にて作成)

また、自ら妥協して選択した結果であるのだが、「満足していないもの」を聞いた結果でも、やはり「価格」と「広さ」、「間取り、部屋数」が上位に挙がった。妥協した結論にいまなお満足しきれないということか。加えて、新築マンション取得者では、「住宅の広さ」のほうが「価格」よりも満足していない比率が高い点が特徴だ。マンションが狭いことで、実際の生活に不便を感じることが多いということかもしれない。

設置率の高い設備や間取りから、イマドキの住宅の特徴を見る

では、2024年度の住宅の特徴をさぐってみよう。共働き家族の増加やリモートワークの定着で注目されるのが、「宅配ボックス」と「在宅勤務の個室」だ。

「宅配ボックス」の設置状況を見ると、2024年度に購入した人の住宅では、新築マンションで92.2%とかなり高い比率で設置されていた。注文住宅で50.4%、新築一戸建てで61.0%、中古マンションで53.0%と過半数を超えたが、中古一戸建てでは22.5%と設置率はまだ低かった。

宅配ボックスの設置

宅配ボックスの設置(出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」報告書より抜粋して編集部にて作成)

「在宅勤務等の個室スペース」の設置状況については、おおむね5割前後で「在宅勤務に専念できる個室がある」という状況で、「在宅勤務に専念できる個室やスペースなどはない」という回答はおおむね2割弱だった。個室やスペースを用意しやすい注文住宅で、「ない」という回答が最も高い26.4%というのは、意外な結果だと思った。

在宅勤務等の個室スペース

在宅勤務等の個室スペース(出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」報告書より抜粋して編集部にて作成)

近年は住宅の省エネ性能に関心が高まっているが、省エネ設備の設置状況を見ていこう。設置率が高い、つまり普及しているものは「二重サッシまたは複層ガラスの窓」だ。それでも、注文住宅では81.1%と設置率は高いものの、新築一戸建てで50.3%、新築マンションで41.9%と、新築系といえどもまだ半分程度にすぎない。中古系ではさらに低く、おおむね2割程度にとどまっている。

省エネ設備(複数回答)二重サッシ又は複層ガラスの窓

省エネ設備(複数回答)二重サッシ又は複層ガラスの窓(出典:国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」報告書より抜粋して編集部にて作成)

また、この調査では「太陽光発電装置」「蓄電池」「EV充電器」などについても質問している。いずれも注文住宅での設置率(「太陽光発電装置」60.5%、「蓄電池」31.3%、「EV充電器」33.2%)が他よりも高いが、それほど普及しているとは言えない状況だ。

近年の注文住宅は、新築の分譲一戸建てと差別化を図るために、高スペック化の傾向が見られる。省エネ設備や防災関連設備などの充実が特徴で、その影響が表れた結果といえるだろう。

住まいを選ぶ際に、誰もが重視するのが「価格」「間取りや広さ」「交通利便性」だろう。ただし、地域や家族構成などによって、何を重視して何を妥協するのかは変わってくる。また、最近は異常気象、酷暑、ゲリラ豪雨など災害級の異常現状も頻発している。こうした変化によっても、住宅に何を求めるかが変わってくるのだろう。

●関連サイト
国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査の結果をとりまとめ」
・国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査_報告書」

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 住宅価格の上昇時に妥協したのは「価格が予算より高くなった」こと。妥協しても不満が残るのが実態!?

SUUMOジャーナル

~まだ見ぬ暮らしをみつけよう~。 SUUMOジャーナルは、住まい・暮らしに関する記事&ニュースサイトです。家を買う・借りる・リフォームに関する最新トレンドや、生活を快適にするコツ、調査・ランキング情報、住まい実例、これからの暮らしのヒントなどをお届けします。

ウェブサイト: http://suumo.jp/journal/

TwitterID: suumo_journal

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。