「闇バイトは、犯罪です」―ディップらが高校生に伝えた“抜け出せない”仕組み

「身分証、ちょっと貸して」――学生の頃、友人からそう頼まれたことがあります。

結局、私は身分証を貸しませんでした。当時は「なんで必要なんだろう」と違和感を覚えた程度で、その一言がどれほど危険な意味を持ち得るのか、深く考えたことはありませんでした。

その記憶がよみがえったのは、7月10日。東京都立第一商業高等学校で行われた「渋谷闇バイトゼロプロジェクト」の出張授業を取材し、警視庁の担当者の話を聞いたときです。

SNSで求人を探すことが当たり前になった今、闇バイトは決して他人事ではありません。何気ないDMや好条件の求人が、誰にとっても犯罪への入り口になり得ます。

今回の出張授業を通して、「これは年齢を問わず知っておくべきことだ」と感じたポイントを紹介します。

「知っている」と「見抜ける」は違う

夏休みを前に高校生の防犯リテラシーを高めるため、警視庁の協力のもと、求人サイト「バイトル」を運営するディップと一般社団法人渋谷未来デザインが進める「渋谷闇バイトゼロプロジェクト」の一環として、授業が開催されました。

まず行われたのは、QuizKnock(クイズノック)と共同制作した「闇バイト判別クイズ」。一見すると普通のアルバイトにも見える求人を前に、生徒たちは「本当に危険なのか」と悩みながら答えを選んでいました。

授業では、「高収入」「ホワイト案件」「即日払い」「運ぶだけ」といった言葉が並んでいても、それだけで信用してはいけないことを繰り返し解説。「闇バイト」という言葉を知っていることと、危険な求人を見抜けることは別だと呼びかけました。

ディップが実施した調査では、高校生の約9割が「闇バイト」という言葉を知っている一方で、約7割が見分けられないと回答。さらに、都内の高校生の4人に1人が、闇バイトと思われる情報に接触した経験があるという結果も紹介されています。


授業後に生徒に話を聞くと、「SNSで高収入求人のDMが来たことがある」「知人が怪しい求人に引っかかってしまったことがある」といった声も聞かれました。

統計だけでは実感しづらい問題が、生徒たちの言葉によって一気に身近なものとして迫ってきます。

「闇バイトは、犯罪です」――警視庁が高校生に伝えたこと

後半では、警視庁匿名・流動型犯罪グループ対策本部の西村拓也氏が、実際の事例を交えながら闇バイトの勧誘手口を紹介しました。

中でも強く記憶に残ったのは、個人情報が「脅しの材料」になるという話です。

身分証の画像や住所、電話番号といった個人情報は、一度相手に渡してしまうと脅しの材料として悪用されるケースがあるといいます。その結果、「辞めたい」と思っても抜け出せなくなり、犯罪に加担せざるを得なくなることもあるそうです。

「少し怪しいと思っても断れない」「もう引き返せない」。そんな状況を生み出すのが、自分で送ってしまった個人情報なのだという説明は、高校生だけでなく、取材していた筆者にも強く響きました。

今日からできる「闇バイト」を避けるための3つのポイント

今回の授業で繰り返し伝えられていたポイントをまとめると、次の3つです。

・「高収入」「ホワイト案件」「即日払い」など、仕事内容より待遇ばかりを強調する求人は慎重に見る
・身分証や銀行口座、携帯電話の契約など、自分の名義に関わるものは安易に渡さない
・少しでも違和感があれば、一人で判断せず、家族や先生、警察(相談ダイヤル「#9110」)など周囲に相談する

どれも難しいことではありません。しかし、「自分なら大丈夫」という思い込みが、判断を鈍らせてしまうこともあります。

「自分には関係ない」が一番危ない

取材前は、「高校生向けの啓発授業」という印象を持っていました。しかし、実際に話を聞くと、その内容は年齢を問わず知っておきたい防犯の基本ばかりでした。

「身分証、ちょっと貸して」――筆者自身も、昔の何気ない一言を、今になって違う意味で思い返すことになりました。

危険な勧誘は、誰にでも近づいてくる可能性があります。

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ぴかっとさん

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北海道生まれのアラサー。おでかけと図書館が好きで、色んな場所をフラフラしています。健康です。

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