【ライブレポ】NANIMONO TOUR 2026「コンティニューしますか?」ファイナル──何度倒れても立ち上がり、何度でも挑戦を続ける・・・結成4周年の節目に描かれた物語とは

『コンティニューしますか?』
ゲームを遊んだことがある人なら誰もが見たことのある画面だ。失敗し、力尽き、GAME OVERを迎えたあとに現れる問い。
「終わりますか?それとも続けますか?」
2026年6月12日、Kanadevia Hallで開催された〈
NANIMONOがこのKanadevia Hallでワンマンライブを行うのは、2024年の〈インキャが世界を救う★ 〜なにものといっしょ〜〉以来2年ぶり。2025年に加入した和田あずさ、朝比奈ろん以外のメンバーにとっては、過去を乗り越えること、がひとつのテーマになっていたのだろうと推察する。
開演の時刻を迎えると、ステージには月のサナトリウムを飛び出し、宇宙を航行するNANIMONOのメンバーたちが登場。やがて「コールドスリープから目覚める時間です」というアナウンスが響き渡る。しかし、当の本人たちはまったく起きる気配を見せない。強制的に目覚めさせられたかと思えば、輪廻ねるがステージ上で再び寝始め、それにつられるように他のメンバーも次々と二度寝。そんなマイペースな彼女たちらしいやり取りを繰り広げながらも、隕石を避けるなどのハプニングを経て、最終的にKanadevia Hallへとたどり着く、というコミカルな寸劇が展開された。そしてセットリストの1曲目は「ただただ怠惰」。ポップなハイテンションながらも、怠惰なリリックで世界観を全開にした。

今回のワンマンライブは、楽曲のパフォーマンスだけでなく、演劇的なストーリーを軸に進行。物語は、2年前にTOKYO DOME CITY HALL(現・Kanadevia Hall)で開催されたワンマンライブの続編として描かれる。かつてNANIMONOは、「つらたん」と呼ばれる敵との戦いに敗北。その結果、地球は荒廃し、人々は希望を失ってしまった。今回のライブでは、そんな崩壊後の世界を舞台に、NANIMONOが再び立ち上がり、未来を取り戻すための戦いに挑む姿が描かれた。
単なるライブ演出に留まらず、これまでの活動の歴史やグループの歩みとも重なるような物語は、公演全体に強い没入感を与える。過去の敗北を受け止めながらも、もう一度未来へ向かって進もうとする主人公たちの姿は、ツアータイトル『コンティニューしますか?』が持つメッセージとも深くリンクしていた。
荒廃した地球で手掛かりを求めて彷徨っていると、電話ボックスから電話がかかってくる。受話器を取ったその先でつながったのは、NANIMONOと同じ事務所のhakanaiのメンバー。そこから、電話ボックス型のタイムマシンの存在が明かされ、現代から過去へタイムスリップできることが判明する。こうしてNANIMONOは世界を救うため、時を超えた冒険へと踏み出していくのだった。
メンバーがタイムスリップしたあと、ステージに現れたのはNANIMONOの天敵である、つらたん1人。つらたんは、独特のテンションで、コールアンドレスポンスで盛り上げると、そこからマインドコントロール光線という名のウェーブで盛り上げた。敵なのに。オーディエンスのテンションを上げるのも、進行も、演技も抜群に上手い、つらたんの存在はこの日のライブにおいて欠かせない存在で、彼なくしてはこのライブは語れない。敵なのに。
ライブはそこから物語の重要な転換点を迎える。荒廃した世界のなかでたどり着いた先に現れたのは、hakanaiのメンバーたち。彼女たちは「セカイが終わったあとに」を披露し、エモーショナルなロックサウンドに乗せて魂の叫びを響かせる。終末を思わせる楽曲の世界観は、この日描かれていたストーリーとも見事に重なり、会場を物語の深部へと引き込んでいった。

さらに舞台は、2012年の渋谷へと移る。そこで登場したのは、NANIMONO、hakanaiと同じく事務所に所属するAZATOYのメンバーたち。「私がアイドルを辞めても」をパフォーマンスし、先ほどまでのシリアスな空気から一転、きらびやかなアイドルソングでフロアを彩った。未来が失われた世界を描く物語のなかで、それでもなお輝き続ける“アイドル”という存在の尊さを感じさせる場面となり、観客の心を強く惹きつけた。
hakanai、AZATOYの共演は、単なるゲスト出演ではなく、ひとつのストーリーを共有する仲間としてステージに存在していたことが印象的だった。インキャが主人公の物語は、決して一人では進めない。だからこそ、この日の共演はNANIMONOが築いてきたコミュニティの広がりそのものを象徴していたように見えた。
中盤ブロックでは、メンバーがインキャ戦隊に変身して登場。自己紹介トラック「インキャ戦隊NANIMONO ~負けヒロインの逆襲~」を皮切りに再びテンションを上げると、途中に、つらたんの完璧な進行による「ニュー・コスチューム紹介コーナー」を挟んで、「どーぱみん!」「INTERNET MAGICAL GIRL」「魔法少女になれなかった」など、NANIMONOならではのインターネット・カルチャーとアイドルポップを融合させた楽曲群をパフォーマンス。
すると、ここで物語は大きく動き出す。敵・つらたんが本格的に姿を現し、悪役としての存在感をちゃんと発揮。さらに、hakanaiとAZATOYのメンバーたちを支配下に置き、NANIMONOへ向けて容赦ないマシンガン攻撃を仕掛ける。映像やSEを駆使した迫力満点の演出によって、会場はまるでゲームの最終決戦さながらの空気に包まれた。

そんな猛攻のなか、NANIMONOは反撃に転じる。今度はステージ上に車で登場し、「アイデンティティー(REMIX ver.)」を披露。原曲の魅力を残しながらも、重厚なビートと攻撃的なサウンドへと生まれ変わったアレンジで、フロアの熱量を一気に引き上げる。オーディエンスはそのバッキバキのサウンドに身を委ね、会場全体が巨大なダンスフロアへと変貌した。
続く「KIRA KIRA」では、メンバーたちがサブステージや客席近くまで移動しながらパフォーマンスを展開。ステージと客席の境界を飛び越えるような演出で、TAKARAMONOとの距離をぐっと縮めていく。壮大なストーリーが展開されるなかでも、ファン一人ひとりと目を合わせ、想いを届けようとするNANIMONOらしさが光る場面となった。
今回のライブで印象深かったのは、「インキャ」のメンバーたちがそういったコミュニケーションを取り、笑顔を届けていたこと。客席へ降りる。観客と目を合わせる。そうやって、かつて世界の端にいたはずの存在たちが、自分たちの足でステージの中心に立っている。これは4年間の成長そのものだったのではないだろうか。
ライブ後半は、まさにクライマックスにふさわしい怒涛の展開が待ち受けていた。眠岸ぷりんの独白をきっかけに始まった「インターネット★カーニバル」で会場の熱気をさらに高めると、「インキャのキャキャキャ」「ジャージは戦闘服★」とNANIMONOを代表するナンバーを立て続けに披露。フロアを埋め尽くしたTAKARAMONOたちの声援も重なり、会場は強烈な一体感に包まれていく。

そして物語は最終局面へ。つらたんの洗脳が解けたhakanai、AZATOYのメンバーたちも巻き込みながら、「インキャ・オブ・ファイヤー」をパフォーマンス。ステージ上の出演者全員がぶつかり合う姿は、この日のハイライトにふさわしい圧巻の光景だった。
NANIMONOは決して諦めない。
つらたんとの最後の戦いで彼女たちが武器にしたのは、「何度でもやり直せる」という言葉だった。失敗しても、挫折しても、もう一度立ち上がればいい。ツアータイトル『コンティニューしますか?』にも通じるメッセージを、メンバーとオーディエンスが一体となって叫ぶ。その想いが大きな力となり、ついにNANIMONOはつらたんを撃破。会場中に歓喜が広がるなか、物語は大団円へと向かっていった。
過去から現代へと向かう中で、本編ラストを飾った楽曲は「FUTURE IDOL」。これまで歩んできた4年間の軌跡と、これから進む未来を象徴するような楽曲だ。ステージ上で輝く7人の姿は、“インキャ”を名乗っていた存在が、誰かの希望になれることを証明しているようだった。
こうしてつらたんを倒し地球を救ったNANIMONOたち、しかし、現代の地球は滅びたままだった。それだけつらたんは手強い相手だったということだろう。しかし、NANIMONOたちは決して諦めない。何度負けたとしても、彼女たちは『コンティニュー』を選び、これからも戦い続ける。NANIMONOたちは最後に、次こそリベンジを誓ってら「えいえいおー!」で、本編はフィナーレを迎えた。
何度倒れても立ち上がり、何度でも挑戦を続ける。そんなNANIMONO自身の歩みと重なるような結末だった。4周年の節目に描かれたこの物語は、彼女たちがこれから先も“コンティニュー”し続けることを高らかに宣言する、未来への決意表明でもあった。

アンコールでは新曲「Shooting Star」をパフォーマンス。この楽曲は、まるで新章へ飛び立つための発射台そのもの。ライブ終盤のMCでは、メンバーそれぞれが4周年とツアーファイナルへの思いを語った。
約1か月間の活動休止から復帰した眠岸ぷりんは、「正直何度も、もうダメかもしれないと思っていた」と当時の心境を吐露。それでもメンバーやファンの支えによってステージへ戻ってくることができたと明かし、「これからも君の生きづらい世界を救うために精一杯頑張る」と決意を語った。
紫苑りんかは、グループが結成4周年を迎えたことに触れ、「みんなの支えがあって無事4歳を迎えることができました」と感謝。今回のライブでは演出面も担当していたことを明かし、「こんなにたくさんの人に支えられてライブができて本当に良かった」と笑顔を見せた。
輪廻ねるは、ライブ本編で描かれた「つらたん」との戦いに触れながら、「でも、ねるがもっともっとみんなにパワーを与えて、ツライキモチを吹き飛ばしてあげるから」と力強く宣言した。



和田あずさは、自身がアイドル活動12年目を迎えたことを明かしながら、「こんな大きなステージは初めて」と感慨深げにコメント。「自分の命より大切なTAKARAMONOがここに並んでいて本当に幸せ」と、ファンへの深い愛情を語った。
柊真ミフユは、NANIMONOとして過ごした4年間を振り返り、「何かを選べば何かを諦めなければいけない選択をたくさんしてきた」と回想。それでもグループに居続ける理由について、「メンバーが大好きだし、もっと先を見てみたい気持ちがある」と語り、「4周年、5周年、その先のNANIMONOもよろしくお願いします」と呼びかけた。


加入から約1年となる朝比奈ろんは、グループ加入当初、自身に自信を持てず悩んでいたことを告白。「自分には何もないから、NANIMONOのピンク担当が自分でいいのかなと思っていた」と胸の内を明かした。しかしツアーを通じて、「自分にしかできない何かがあるのかもしれないと思えるようになった」と成長を実感。「後悔を一つもしないよう全力で走っていくので、ずっと一緒にいてください」とファンへ想いを伝えた。
最後にマイクを握ったリーダー・ひなたゆまは、ツアータイトル『コンティニューしますか?』に込めた意味を語る。
「NANIMONOは変わりたい、変わらなきゃいけないとずっと思っていました。でも、人はそう簡単には変われないし、努力しても負けるときはある。でも本気で向き合った時間は絶対に自分を変えるし、挑戦した先には成長か成功のどちらかがあると思っています」さらに、ライブ本編で描かれた「つらたん」との戦いを振り返りながら、「今回は勝てなかっただけで、負けてはいないと思う」と前向きな言葉を口にした。「私たちは失敗することを恐れず、何度でも挑戦したい。負けても勝つまで諦めずにコンティニューしたいんです」そう語ったひなたは、「これからもみんなとコンティニューしていきたい」と呼びかけると、会場からは大きな歓声が沸き起こった。


そして、ここでhakanai、AZATOYからのケーキのサプライズ。NANIMONOの4周年のお祝いである。4周年の祝福ムードとツアーファイナルの達成感、そして未来への期待が重なった、幸福感に満ちたエンディングだった。
最後には、輪廻ねるが「NANIMONOのこと大好きですか?」と問いかけると、ファンは大声で「大好き!」と応答。その声を受けたひなたは涙を浮かべながら、「私たちはまだまだみんなと見たい夢も、叶えたい夢もたくさんある」と語り、「5周年のNANIMONOにもついてきてください」と力強く宣言した。
『コンティニューしますか?』
その問いに対するNANIMONOの答えは明確だ。
「続ける。」
不安を抱えたまま。弱さを抱えたまま。インキャのまま。それでも進む。
今回のワンマンは、4年間の総決算ではなく、NANIMONOという物語のセーブポイントだったのかもしれない。そしてKanadevia Hallで彼女たちは、新しいデータを保存した。次のステージへ進むために。

取材&文 : ニシダケン
撮影:ポテ ヤマムラ
セットリスト
M1.ただただ怠惰
M2.だいじょばない惑星
M3.セカイが終わったあとに(歌唱:hakanai)
M4.私がアイドルを辞めても(歌唱:AZATOY)
M5.インキャ戦隊NANIMONO ~負けヒロインの逆襲~
M6.どーぱみん!
M7.INTERNET MAGICAL GIRL
M8.魔法少女になれなかった
M9.アイデンティティー(remix ver.)
M10.KIRA KIRA
M11.インターネット★カーニバル
M12.インキャのキャキャキャ
M13.ジャージは戦闘服★
M14.インキャ・オブ・ファイヤー
M15.FUTURE IDOL
[ENCORE]
EN1. Shooting Star
インフォメーション
NANIMONOオフィシャルサイト
https://nanimono-official.com
NANIMONOオフィシャルX
https://x.com/nanimono_idol
NANIMONOオフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/c/NANIMONO
NANIMONOオフィシャルTikTok
https://www.tiktok.com/@nanimono_idol
NANIMONOオフィシャルInstagram
https://www.instagram.com/nanimono_idol/
テイチクエンタテインメント
https://www.teichiku.co.jp/artist/nanimono/
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