Nintendo Switch 2『ヨッシーとフカシギの図鑑』レビュー:敵キャラが主役!? ゲームオーバーのない“観察”アクション
2026年5月21日に発売したNintendo Switch 2専用ソフト『ヨッシーとフカシギの図鑑』。開発は『ヨッシー ウールワールド』や『ヨッシークラフトワールド』を手掛けたグッド・フィールだ。同スタジオは自社タイトルとして骨太なアクションシューティング『MONKEY BARRELS』などもリリースしており、アクション作りには定評がある。
お馴染みのキャラクターが勢ぞろい
筆者が「ヨッシー」シリーズに本格的に触れるのは、SFC『スーパーマリオワールド ヨッシーアイランド』やN64『ヨッシーストーリー』以来、実に29年ぶりとなる。大人になってからプレイするヨッシーはどんな感触なのだろうか。心配しつつも、クッパJr.やカメックといったお馴染みの顔ぶれが序盤から登場したことで、すんなりと世界に溶け込めた。
▲クッパJr.が城の中で図鑑の「フカシギ」を見つけるところから物語は始まる
▲不思議なルーペの力で、図鑑に吸い込まれてしまうクッパJr.
特に、SFC『ヨッシーアイランド』時代のカメックがクッパJr.を幼少期の大魔王クッパと勘違いするようなやり取りには、思わずニヤリとしてしまった。何年もの間、図鑑「フカシギ」の中に閉じ込められていたという設定も相まって、懐かしさとエモさが一気に込み上げてくる。筆者自身、すっかり大人になってしまった今、まるで玉手箱を開けたような感慨を覚えた。
▲「ぼっちゃま」と呼んでいるが、親である大魔王クッパの幼少期と勘違いしている?
敵キャラが主役?
本作の最大の特徴は、「ヨッシーの敵キャラが主役」といえるほどの観察重視のゲームデザインにある。一般的な横スクロールアクションは「ステージのギミックを攻略してゴールを目指す」のが目的だが、本作は違う。空から降ってきたしゃべる図鑑「フカシギ」の依頼を受け、図鑑の中に飛び込み、ふかしぎな生き物たちを観察・記録することが主眼だ。
▲歩く花のような生き物を「完全に歩いてるな…」と、“完全に喋ってる図鑑”が言う妙
▲まずはこの生き物を調査する
プレイヤーはヨッシーとして、生き物たちにさまざまなアクションを仕掛ける。踏んづけたり、舌を伸ばして味見したり、背中に乗ってみたり。こうしたインタラクションのたびに、図鑑のページに観察記録が書き込まれていく。
▲ヨッシーの基本アクションと言えば、長い舌で敵を食べること
▲味が記録された
▲踏むと気絶。一撃で倒さないのは優しい?
▲もちろん卵投げも。つたにつかまり、背中に生き物を乗せながらでも投げられる。かなり器用
各ステージ、クリア条件となる記録が書き込まれれば本の出口が開いて「ステージクリア」となるので、すべての観察を完了する必要はない。また、クリアしなくてもいつでもステージを抜け出せる仕様なので、クリアにこだわらず純粋に「発見の喜び」を追い求めるプレイスタイルも許容されている。
▲条件をクリアすれば、本の出口が開く
▲閉じ込められているわけではなく、ポーズメニューで「調査終了!」を選べばいつでも出られる
クリア後のネーミングが楽しい
クリアすると、その生き物に自分で名前を付けられるのも嬉しい要素だ。もちろん公式名称は存在し、フカシギに尋ねれば教えてもらえるが、筆者はあえてオリジナルネーミングを施した。自分のネーミングセンスのなさには我ながら絶望することも多いが、家族のアカウントのセーブデータがあれば、「他の人がつけた名前を見る」で妻や娘が付けた名前をフカシギが教えてくれる機能は秀逸だ。独特のセンスに家族で笑い合う時間が増えた。
▲「プチプチくん」がこいつの公式名称らしい
▲「無限増殖丸さん」と名付けたのは娘のセンス。あじわいぶかい
▲結局「偽カービィ」にした。筆者と同じセンスの人、手を挙げて
▲お馴染みの「ヘイホー」にも名前を付けられる
ゲームオーバーが存在しないゲームデザイン
本作がこれまでのヨッシーシリーズと決定的に異なるのは、「ゲームオーバーが存在しない」点である。攻撃的な生き物に対してもミスを恐れずに果敢に挑めるため、アクションが苦手なプレイヤーでも気軽に没入できる。
ただし、これは「今回のヨッシーは無敵」というわけではない。ゲームを進めていくうち解放される「調査ツール」で、「ライフゲージ」というものを獲得して画面に表示させてみると、実は残りライフ1でギリギリ耐え続けているだけだったと判明する。「ごめんよ、ヨッシー……」と心の中で謝った。
▲画面の右下にライフゲージを表示させて冒険をスタート
▲ダメージを受けていくとライフが減り……
▲最後のライフも消滅!?
▲だが残りライフ1のまま耐えた。無敵と思っていたが、だんだんかわいそうに思えてくる
▲中には一撃でヨッシーを倒す恐ろしい生き物も。攻撃を受けるとスタート地点からやり直しだ
エンディング後のやり込み要素に注目
エンディング到達自体は非常に易しい。観察記録の数に応じてスターが集まり、新しい章が解放されていく。各章のすべての生き物を観察しなくても、6章だけ全ステージクリアすればエンディングとなる。筆者の場合、トータル4時間程度で迎えることができた。しかし本作の真の魅力はエンディング後にこそある。
▲6章を解放するのに必要なスターの数は218個。筆者のようなつまみ食いプレイでも到達可能だ
7章以降も「土の中の世界」「世界一の巨木」「ミクロの世界」など、魅力的な新ステージが続々と開放される。特に「ミクロの世界」では、1章で出会った「わたげさん」がビッグサイズで登場し、既知の生き物の新たな側面を発見できる。
▲1章で出会う「わたげさん」。とにかくワラワラしているのが特徴的
▲第9章の「ミクロの世界」では、このサイズで登場
さらに過去ページを振り返ると、思わぬ変化が起きている場合もある。1章の「グワグワドリ」(※筆者は「オーケストラ」と命名)が風邪をひいたような姿で現れたり、3章の「チクチクさん」(※「ウニグリ」と命名)のステージに「つりんちゅ」が現れ、ステージの中に網が張られていたり。すでに調査済みの生き物たちも、プレイが進むにつれて深みを増していく。
▲図鑑に新たな書き込みが!
▲体調が悪そうだ
▲「チクチクさん」のステージに網が。「つりんちゅ」で釣り上げ、すべて網に入れよう!
「観察の連鎖」が奥深い
この「観察の連鎖」が本作の奥深さだ。子ども向けに見せかけて、実際にはゲームの間口を大きく広げている。大人でも横スクロールアクションに苦手意識を持つプレイヤーは少なくないが、ゲームオーバーなしで「もっと発見はないか」「隠し通路はないか」と探求心を刺激される設計は秀逸である。家族でプレイしていると、クリア済みのステージでも「こんなところに!」と新たな驚きを共有できる。1人用ゲームでありながら、家族や友達と発見を分かち合う喜びが味わえる。
グッド・フィールの経験が活きた、丁寧なステージデザインも光る。ヨッシーの舌や卵、浮遊などのアクションを活かしたギミックは、観察目的と絶妙に絡み合い、単調にならない。BGMやビジュアルも可愛らしく、疲れた心を癒してくれる。
▲中には手で持って使う生き物も登場
▲ジェット水流で飛び回るステージも
▲こんな巨大な生き物と協力するステージも!
『ヨッシーとフカシギの図鑑』は、ヨッシーシリーズの伝統を受け継ぎつつ、「敵キャラ(生き物)たちを主役にした観察アクション」という新しい境地を開いた作品である。ゆったりと発見の喜びを味わいたいおっさんゲーマーにとっても理想的な一作だ。
もちろんエンディング後には派手なバトルや高難度のステージもあり、長く付き合えるボリュームと深みがある。カラフルなヨッシーたちと共にフカシギのページをめくりながら、ふかしぎな生き物たちの世界に浸る時間は、大人になった今だからこそ格別である。
▲クッパJr.も魅了される「フカシギ」の世界へ、ヨッシーと共に飛び込もう!
(文:平原学)
(執筆者: ガジェ通ゲーム班)
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。