分煙時代ゆえに起きた家庭内分断の調停者となるか、TABACOスモーククリーナー「SMOKE ZERO」の発表会に行ってきた
5月20日、小型喫煙ブースを展開するエルゴジャパンが家庭用タバコ専用スモーククリーナー「SMOKE ZERO」の発表会を催し、「分断」をテーマに取材・執筆を続けるジャーナリスト・堀潤氏も登壇した。
分煙対策が進んだ結果「喫煙は『公共』から『私的』」へ
昭和は電車内や会社内でも喫煙するのが当たり前だったが、2020年の改正健康増進法の全面施行によって、公共空間の分煙対策は大きく進んだ。いまや喫煙の場は、自宅などのプライベート空間に限られる状況となっている。
そのプライベート空間であっても、非喫煙者の家族がいれば、喫煙者は家族への配慮が求められ、ホタル族とも呼ばれるようにベランダなどに場所を移して孤独に喫煙することを余儀なくされる。我慢や孤立が生じている。
また、副流煙は非喫煙者への受動喫煙の配慮だけが問題ではない。副流煙は喫煙者自身の身体にも負担をかけている。この現状を打破すべく開発されたのが、「SMOKE ZERO」である。
「SMOKE ZERO」は家庭分煙による孤立の救世主を目指す
一般的な空気清浄機は空気を循環させながら浄化するが、「SMOKE ZERO」は発生した煙を直接吸引して1回の濾過で処理する。従来の空気清浄機のように空間に拡散する前に除去することで、煙を空間に残さないことを実現しているのだ。
1回の濾過で有害物質を除去するために、一般的な家庭用空気清浄機の10倍以上の性能を持つヨーロッパ最高規格のH14 HEPAフィルターと、高圧縮カーボンフィルターを搭載。第三者機関の試験でも除去力は認められており、浮揚粉塵濃度は厚生労働省の安全基準の1/50の数値にとどまった。
価格は、14万8000円。保証期間は1年で、最低でも3年は稼働する設計である。
ジャーナリスト・堀潤氏による「分煙と分断」
ジャーナリスト・堀潤氏によるトークセッションも行われた。喫煙歴30年以上である堀潤氏は、NHK時代に非喫煙者の上司の話を聞きながらタバコをふかしていた昭和時代の思い出を語り、令和になって高まった分煙意識の実感を伝えた。
「ヒトはそんなに強くないし、ヒトはそんなに正義じゃない」とした上で、プライベート空間でのモラルはどうしても低くなることを指摘した上で、そうした配慮を踏まえた商品である「SMOKE ZERO」は重要な社会課題解決を目指す存在だと表現した。
プライベート空間での分煙の話になると、ベランダやキッチンの換気扇の下で喫煙するという実体験を語る堀潤氏。自身の映像スタジオを岩手県の大館町に作ったことに触れ、「いまや岩手県では熊被害の危険性があり、外で吸うこともできない」と語った。
喫煙者と非喫煙者はお互いに気持ちが届いていないという認識のズレがあるという話題について、堀潤氏は「分断」をテーマに世界中を取材してまわってきたことに触れて、知見を語る。
堀潤:
「分断問題を解決するためには、互いを知って、衝突を防ぎながら合意形成をする。合意形成とはモラルか。モラルだと結局長続きはしない。じゃあ、ルールなのか。国際法みたいなルールを作っても無法者は乗り越えていく。それで戦争は終わらない。
求められているのは、調停する力。それに必要なのは具体的なインセンティブ。インセンティブがあるから、お互いの矛を収められる。
SMOKE ZEROはまさに、喫煙者と非喫煙者の両方の気持ちを理解し、現場を調べて、エビデンスも取って、それを解決するために作られた。この提案は非常に重要なものだと感じた」
世界の分断の話から、家庭内の分煙の話へとつなげて、調停者で結びつける話。実に興味深い。実際、そういうことなのだろう。また、堀潤氏はニューヨークであった米中首脳会談の取材を通して、日本への話にもつなげていく。
「ニューヨークの市民の皆さんに日本に対して何を期待するのかと聞いた。そしたら『日本は皆と仲がいい。いつもクリーンという価値観を意識している。だから期待している』という話があり、調停役としての期待を感じた」
「SMOKE ZERO」に日本らしさを見出した話だった。規模がデカい。だが、全てはつながっているのかもしれない。
本記事担当の記者モトタキが、スモークエリア営業部本部長の福田氏の個別インタビューを実施。「SMOKE ZERO」について、さらに深掘りした。
──家庭用の分煙市場への参入のきっかけとは?
福田:「事業者向けの喫煙ブースを取り扱う中で、個人住宅用の商品はないのかとお問い合わせをいただくことがあったのがきっかけです。そこで、家庭内の分煙には課題があることもわかりましたので、業務用の商品を応用して開発しました」
──開発にかかった期間はどのくらいでしょうか?
福田:「だいたい2年ぐらいです。ベースがありましたが、フィルターを家庭用にするところに苦労しました。」
──苦労なさったんですね。例えば、一番開発において苦労した点はどこでしょうか?
福田:「業務用喫煙ブースの場合は、大きくて分厚いんです。家庭用はコンパクトにする必要があります。どうしても下がってしまう耐久性を高めるために、風が均等に当たるような内部構造にするなど工夫しました」
──家庭用ガジェットとしてはハイエンドに属する商品ですが、狙っているターゲットはどの層でしょうか?
福田:「今までこの市場自体がありませんでしたので、実際どれほどのターゲットがいるのかはやってみないとわからないと感じています。日本の世帯数は約5600万世帯あり、喫煙する方も数百万世帯います。ただ、どこまで届くかはわからない状態です。社内的には年間で1万台ぐらい売れれば、と考えています」
分煙対策の最終ラインの問題を解決する「SMOKE ZERO」。「より選択肢が多いほうが豊か」という価値観からすれば、喫煙者も非喫煙者もストレスなく過ごせる環境が整うのは望ましいことだ。
今後、「SMOKE ZERO」がどこまでこうした課題を解決できるのか。期待してしまう。
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