世代をつなぐ氷のリンク、予定データが映したアイススケートの躍動

ウィンタースポーツと聞けば、多くの人は白銀のゲレンデを思い浮かべるだろう。しかし、予定データという“生活の足跡”から見ると、その風景は少し異なる。カレンダー共有アプリを展開する株式会社TimeTreeの社内研究所「TimeTree未来総合研究所」が実施した予定データ分析では、スキーやスノーボードに加え、アイススケートが世代をまたいで存在感を高めている実態が浮かび上がった。特に10代と40代という一見接点の少ない世代に支持が広がっている点は興味深い。近年はフィギュアスケート人気の持続に加え、アニメ『メダリスト』のヒットなど、氷上スポーツを物語として楽しむ文化も広がっている。こうした社会的文脈と予定データの動向は無関係ではないだろう。

世代をまたぐアイススケート支持

今回の分析で特に注目すべきは、アイススケートが10代と40代で高い割合を示している点である。若年層にとっては部活動や習い事、友人とのレジャーとしての利用が想定される。一方、40代にとっては子どもの習い事への付き添いや家族レジャーの一環という側面が強いと考えられる。

興味深いのは、スノーボードが若年層寄り、スキーが30代以上に安定的な支持を持つという傾向とは異なり、アイススケートは“世代横断型”である点である。単なる若者文化でもなければ、懐かしさに支えられたレジャーでもない。氷上という空間が、異なる世代を同時に受け入れている構図が浮かび上がる。

氷上を物語として楽しむ時代

その背景にはいくつかの要素が考えられる。第一に、フィギュアスケート競技の長年にわたる人気の持続である。トップアスリートの活躍は、氷上スポーツを“観るスポーツ”として定着させてきた。

さらに近年は、アニメ『メダリスト』のようにフィギュアスケートを題材とした作品が話題を集め、競技の裏側や成長物語に焦点が当てられている。競技そのものだけでなく、「挑戦」や「努力」という物語に共感する層が広がっている点は見逃せない。氷上スポーツを身近に感じさせる文化的広がりが、体験への関心と時期を同じくしているのは象徴的である。また、都市部を中心に屋内リンクが存在することも影響している可能性がある。雪山への移動を伴うスキーやスノーボードと異なり、アクセス性が比較的高い点は、家族レジャーとしてのハードルを下げている。

コロナ前との比較で見える“回復の質”の違い

今シーズンの予定データを2019年(コロナ前)と比較すると、3種目の回復状況にははっきりとした差がある。スノーボードは101%とコロナ前水準を上回り、完全回復を果たした。一方で、スキーは78%、アイススケートも78%にとどまっている。

しかし、前年との比較に視点を移すと状況は変わる。アイススケートは109%と、3種目の中で唯一プラス成長を示している。スノーボードが93%とやや減少傾向にある中で、アイススケートだけが伸びを見せている点は見逃せない。

絶対値ではまだコロナ前には届かないものの、成長率という観点ではアイススケートが最も勢いを持っている。回復を終えた種目と、いま拡大局面に入りつつある種目。その違いが、数字には明確に表れているのである。

予定データが映す余暇価値の変化

今回の分析が示唆するのは、ウィンタースポーツの人気順位ではない。むしろ、余暇の意味が変化している点である。

かつては非日常的な体験そのものが価値であった。しかし現在は、「物語に参加する」「成長を実感する」「共有する」といった体験の質が重視されている。アイススケートは、その象徴的な存在と言える。観るだけでなく、自ら氷上に立ち、物語の一部になる感覚が支持を集めているのではないか。世代を超えて同じリンクに立つという構図は、単なるスポーツ人口の増減以上の意味を持つ。そこには、家族関係やコミュニティの形の変化も映り込んでいる。

氷上が映すのは、日本人の余暇の選び方そのもののアップデートである。世代をつなぐ氷のリンクは、これからのスポーツ体験の象徴となる可能性を秘めている。

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