【会津若松市】看板のない謎の古民家。ここで行われている“実験”とは…?
夜の路地で見つけた、気になる古民家。
福島県・会津若松駅から歩いて10分ほど。観光ルートから少し外れた相生町で、古い建物に出会いました。
静まった夜。明かりは灯っているのに、看板はありません。
気になって中をのぞいてみると、そこには一人の女性が立っていました。
明かりの灯る、看板のない古民家
女性に案内され、古民家の中へ。他に人はおらず、静けさが漂っています。
飲食店でも雑貨屋でもなさそうな、居間のような空間。けれど、ここが何の場所なのかはよく分かりません。
不思議に思っていると、女性がこう教えてくれました。
「私たちは会津の暮らし研究室といって、ここで実証実験をしています」
実証実験……………?
実証実験って、何をするの?
築90年の旧中村漆器店を改装したこの古民家は、2023年に誕生した「AIOIΔ(あいおいデルタ)」という場所。
実証実験といっても、ここには実験器具も研究室もありません。
ゴールや思惑がない。この場をひらき、人が集まったり、何かが始まったり、その中でどんな変化が起きるのかを観察する。
つまり——「ここで何が起きるのかを試してみる場所」ということらしい。
古いものを“レスキュー”する店「issen(イッセン)」
奥へどうぞと案内され、格子戸を開く女性。
その先には、年季を感じる家具や食器などの骨とう品がずらりと並んでいました。
ここは『issen(イッセン)』という古道具店。改装前の漆器店に置いてあったものや、会津各地から“レスキュー”してきた古き良きものが集まるセレクトショップです。
よく見ると、一つ一つに値段がついていて、すべて購入できます。
この金色のお皿は330円……!
「ないものねだり」ではなく、「あるものいかし」。会津のまちに残るモノや雰囲気を、次の世代へつないでいきたい。そんな思いが、issenという名前には込められているそうです。
時を超えてここに集まった品々を眺めていると、まるでタイムスリップしたような気分になります。
本棚サークルがつくる、まちの本棚
AIOIΔでは、市民が主体となった部活動のような取り組みも行われています。その一つが「本棚サークル」。
広い居間は地域の交流スペースとして開放されていて、そこにサークルのメンバーが本箱を置き、好きな本を並べています。
現在では「ひとはこ本箱の日」として、毎週金曜と土曜日の恒例イベントになっていて誰でも自由に参加することができます。
交流スペースには、投げ銭ドリンクスタンドも。
お茶を飲みながら本を手に取り、読んだり、話したり。そんなゆるやかな時間が流れているようです。
明かりがついていたら、のぞいてみてください
AIOIΔは、カフェでも観光施設でもありません。
古い建物を壊すのではなく、あるものを生かしながら、人が集まり、物語が生まれていく。商業施設とは少し違う、ゆるやかで温かい空気が流れていました。
ある日はスパイスカレーを作っていたり、金継ぎをしていたり。会津大学の学生が研究のために訪れることもあるそうです。
通りかかって、明かりがついていたら、少しだけ、のぞいてみてください。
もしかすると、誰かが何かを試している最中かもしれません。
■AIOIΔ(あいおいデルタ)
株式会社会津の暮らし研究室によって運営されている、福島県会津若松市相生町の築70年の漆器店を改装したリビングラボです。 AIOIΔという場を通して、地域に在るものを活かし新しい構造(暮らし)を紡ぎ出す活動を行っています。住所:〒965-0031 福島県会津若松市相生町5-3
HP :https://www.aizu-lsds.com/■issen 古家具/古道具
Used in Aizuにこだわった古家具・古道具店。空き家解体やリノベーション時に出る古材なども取扱います。独自の視点でセレクトした古き良きモノに、新しい価値を添加し、ぐるりと循環させていきます。Instagram :https://www.instagram.com/issen_aizu/
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