ドラマ『人間標本』原作・湊かなえ&“イヤミス好きアイドル”アイナスター対談インタビュー「イヤミスって、愛が起点になっていると思う」

ベストセラー作家・湊かなえがデビュー15周年を記念して書き下ろした同名小説を原作とする実写ドラマ 『人間標本』がPrime Videoにてプライム会員向けに世界独占配信中です。

“イヤミスの女王”と呼ばれる湊が、デビュー時より温めてきた【親の子殺し】というセンセーショナルなテーマに挑んだ本作は、 蝶の研究者である榊史朗教授(西島秀俊)が、最愛の息子の至(市川染五郎)を含む6人の少年たちを「人間標本」にしたという衝撃の告白から始まる、禁断のミステリーサスペンス。

WACK所属GANG PARADE(通称:ギャンパレ)とKiSS KiSS 2グループを兼任して活動しているメンバーであり、イヤミスが大好きなアイナスターさんと湊先生によるスペシャル対談をお届けします!

——今日は「人間標本」の著者である湊先生と、湊先生の作品のファンであるアイナスターさんにお話をお伺います。まずはドラマ『人間標本』をご覧になっていかがでしたか?

アイナスター:先に本から読ませていただいたのですが、途中で視点が変化する所があるので、どうやって映像化するのだろうとまず思いました。“人間標本”を、実際に生きている少年たちでどの様に描くのか、「少年たちが蝶の様に見える」ということが想像がつかなかったので、ドラマを観る前から楽しみにしていました。
実際にドラマを観たら、目が離せないほど映像が綺麗で。原作とはまた違った美しさを感じました。少年同士の日常会話が印象的で、本とはまた異なる新しい視点で楽しめました。

湊かなえ:私も、文字だけで表現していた“人間標本”の画や色がどう映像になるのか楽しみにしていました。廣木隆一監督は役者さんの様々な面を引き出すことに定評のある監督さんですが、背景の撮り方もとても素晴らしくて。どこで一時停止をしても1枚の絵になるような、そんな映像を撮られる方なので。
清川あさみさんが美術監修をしてくださっていることもあり、画作りがとても美しくて、ドラマがスタートして10分も経たないうちに「今、すごいものを観ているな」と感じました。この作品は人間標本が安っぽいと成り立たないですよね。美しくなければ「このためにそんな罪を犯したの?」としらけてしまうと思います。その根本となる標本が素晴らしくて、犯罪はだめですけれど「このためになら罪を犯すのも分かる…」と1万人に1人くらいは共感するかもしれない、そんなすごいものを作ってくださって感動しました。

アイナスター:本の表紙の美しい蝶と青のイメージがそのまま映像になっていて感動しました。

湊かなえ:撮影現場で、監督が撮っている横で画面を見せてもらったのですが、そのまま惹き込まれて物語の中に入っていけそうな映像に感じられて。標本を個体で見るのではなくて、背景と融合した時により素晴らしくて、よくこんな森があったなと驚きました。私が小説の中で思い描いていた情景そのものだなと。

——湊先生は執筆される際、脳内に映像が浮かんでいらっしゃるのでしょうか?

湊かなえ:はい、全部映像に浮かんでいます。本作で言えば、「本当にこういうものを作る人もいるかもしれない」とか、「完成するまでにはこういう過程があって…」ということを考えながら、頭の中で物語を作っています。「人間標本を作るためにこう切断するのかな?」とか、「至は杭を打って、その上に手を乗せて…」といった様に固定の仕方も一人ずつ変えているので、その描写を寝言でつぶやいているのを娘が聞いて「何を書いているの」と驚かれました(笑)。

アイナスター:本を読ませていただいた時に、蝶の詳しい説明がたくさん出てきたので、作品が出来上がるまでにどのくらいの情報を調べたのだろうと感じていました。なので、今の人間標本の作り方の細かいディティールのお話を聞いて、そこまで鮮明にご自分の中で映像にしているのだなと感激しました。湊先生のどの作品でも奥行きのある表現が印象的なので、そうやって書かれていることに納得しました。

湊かなえ:ありがとうございます。アイナスターさんはどの少年のエピソードが印象に残りましたか?

アイナスター:(深沢)蒼くんが、「映像化されたらこうだよね!」と、本を読みながら想像していたものと答え合わせが出来た感覚でした。しっかり、自分を美しいと自覚している感じや、冷めた目の印象が、自分が思い描いていた蒼くんそのものでした。

——小説の想像しながら読む楽しさと、ドラマで映像と一緒に味わう楽しさ、両方とも魅力的ですよね。

アイナスター:本当にそう思います。本作では「親子の愛」がキーポイントになっていますが、私も今アイドルという仕事をしている中で、一番の大きな原動力になるのも「愛」ですし、グラッと揺れる部分も「愛」だと思っていて。愛ゆえにマイナスになった時のパワーも大きいと思うんです。それは「人間標本」の小説でもドラマでも感じられた部分で、西島秀俊さん演じる榊史朗が車の中で目に涙を溜めているシーンがすごく苦しくて胸に来るものがありました。「これこそがイヤミスだよなあ」と楽しませていただきました。

湊かなえ:小説って最後まで読んだ後、もう1回最初から読んでみようとなった時に、結末が分かっているからこそ「この時はこう思っていたんだ」と、登場人物の表情が自分の頭の中で切り替わると思うんですけれど、ドラマは同じ映像、同じ表情なのに違う印象を与えてくれることがすごいなと思います。もう一回観ても成り立つお芝居、表情力が素晴らしいと思いましたし、ぜひドラマも2周目を楽しんで欲しいです。

アイナスター:小説もドラマも、「ヤバい作品に出会ってしまった」と直感で感じましたので、何度も何度も楽しんで、新しい発見もしていきたいです。

湊かなえ:一人一人の登場人物の表現の仕方にすごくこだわっていたので、自分を表現するお仕事であるアイドルの方に読んでいただけて、観ていただけて嬉しいです。そして、“推し”のパワーってすごいと思うので、アイナスターさんのファンの方も一緒に作品を楽しんでいただけたらありがたいなと思います。

——アイナスターさんから湊先生にお聞きしたいことはありますか?

アイナスター:先生の小説を中学生くらいからずっと読ませていただいていますが、先生の作品に出てくるお食事がどれもすごく美味しそうで。「人間標本」もすき焼きも美味しそうでしたし、最新作の「暁星」を読んだ時はうどんがすごく食べたくなって、ライブ前にうどんを食べたりしていました。ダークな部分が多い作品なのに、なんでこんなにご飯が美味しそうなのだろう?と思っていたのですが、エッセイ「山猫珈琲」を拝読した時に、ご飯や山に対する愛が素晴らしいからだなと合点がいきました。

先ほど、「イヤミスって、愛が起点になっていると思う」ということを話させていただいたのですが、先生が色々なものに対して愛を持って生きていらっしゃるからなんだなと思いました。
このお仕事が決まって、湊かなえ先生ってどんな方なんだろうとすごく楽しみで、「エッセイを読みたいけれど、出会う前に考え方などを知ってしまうのももったいないかな」ともどかしい気持ちがありました。なんていうんだろう、ショートケーキのイチゴの様にずっと楽しみにとっておいた感じで。でも、こうしてお話する前に読めて良かったなと思っています。

湊かなえ:食べ物の描写について触れていただいたことが、すごく嬉しいです。本って、香りもしないし、音も聞こえない中で、文字だけでたくさんの人と同じ感覚を共有しなくてはいけないですよね。そんな中、凄惨な事件については共感出来なくても、自分の知っている味や、好きなものが主人公と一緒だったりすると「同じ世界で生きている人たちの話なんだ」と思ってもらえるかなと考えています。そこから、温度、味、香りが漂ってきたら、他の感覚も想像してくれるのではないかと。
なので、どんな残酷な話の中でも食事の描写は入れたいなと思っています。父と息子が食事をしているだけの場面で、メニューを書かずに、最後の晩餐になるようなことを匂わすよりは、「すき焼き」という言葉を出すことで、皆さん自身のすき焼きの思い出から、登場人物の2人が食べている様子を映像で想像してもらえるかなと。

アイナスター:私自身がすごく食いしん坊ということもあるのですが、本当にどの描写も素晴らしくて感動しています。

湊かなえ:私も食いしん坊なので嬉しいです。

——ミステリーの中に、食事の描写がある中で自分と近しい存在だと感じることが出来る、というのはお話を聞いていてすごく納得しました。実はドラマ『人間標本』とアイナスターさんにも意外な共通点があったということで…。

アイナスター:登場人物のひとりで、史朗の幼馴染の世界的アーティストである一之瀬留美さん(宮沢りえ)が寝ているベッド枕が私の枕と一緒だったんです! その日はその枕で寝ることにちょっと緊張しました(笑)。

湊かなえ:それはちょっと緊張しますよね(笑)。

——ぜひ、これからご覧になる方にも枕に注目していただきたいです…!今日は素敵なお時間をありがとうございました。

取材終わりには、アイナスターさんからGANG PARADEの最新シングル『KIMI☆NO☆OKAGE』を湊先生にお渡しするなど、最後まで楽しいインタビューとなりました。

アイナスターさん私物。

【作品情報】
Prime Video『人間標本』2025年12月19日(金)より世界独占配信中
作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FWX9LPYQ

<あらすじ>
盛夏の山中で発見された六人の美少年の遺体—自首したのは有名大学教授で蝶研究の権威・榊史朗だった。幼少期から蝶の標本作りを通し、「美を永遠に留める」執念に取り憑かれた男は、最愛の息子までも標本に変えてしまう。蝶に魅せられた史朗は、なぜ事件を起こしたのか。その狂気の犯行の真相は、複数の視点によって新たな真実へと姿を変えていく……。

話数:全5話 ※一挙配信
出演:西島秀俊 市川染五郎 
伊東蒼 
荒木飛羽 山中柔太朗 黒崎煌代 松本怜生 秋谷郁甫
宮沢りえ 
原作:湊かなえ 『人間標本』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督:廣木隆一
美術監修・アートディレクター:清川あさみ
主題歌:mono²「愛情」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
製作:Amazon MGMスタジオ
©2025 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

◆アイナスター
https://x.com/AINAS_GANG/ [リンク]
https://gangparade.jp/feature/profile_ainastar [リンク]

撮影:オサダコウジ
湊かなえ先生ヘアメイク:Storm(LINX)

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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