破滅的心理スリラー『ピアス 刺心』W主演リウ・シウフ&ツァオ・ヨウニン インタビュー「家庭の中で様々な愛を探究している」

フェンシング代表として活躍した異色の経歴をもち、短編『Freeze』が世界70を超える映画祭で上映され長編デビューが待ち望まれた若き俊英ネリシア・ロウが監督・脚本を手がけたフェンシングを題材にした映画『ピアス 刺心』が公開中です。

フェンシングの試合中に対戦相手を刺殺し、少年刑務所から7年ぶりに出所した兄ジーハンと、疎遠になっていた弟ジージエが再会する。「事故だ」という兄の言葉を信じて、ジーハンを警戒する母の目を盗み、兄からフェンシングの指導を受ける。ジージエ自身も気づかなかった友人への甘酸っぱい想いを後押ししてもらい、ふたりは兄弟の時間を取り戻していく。しかし、幼き日の溺れた記憶がよぎる。あの時、なぜ兄はすぐに手を差し伸べなかったのか。「僕が死ねばいいと思ってた?」疑念が深まるなか、悪夢のような事件が起こる。

W主演の美しき兄弟を熱演した台湾の新星リウ・シウフーさんと若手実力派ツァオ・ヨウニンさんにお話を伺いました。

リウ・シウフー

ツァオ・ヨウニン

——本作楽しく拝見させていただきました。お2人が脚本を読んで最初に抱いた印象を教えてください。

リウ:非常に素晴らしい脚本だと思いました。役者にとって“表現の空間”がたくさんある脚本だったのです。セリフは書かれているけれど、その中にある“間”をどう表現するか、それが役者にとっての空間になるわけですが、そこが素晴らしくもあり、難しく、最初は緊張していました。美しくて、挑戦的なテーマで、絶対に参加したいと思いましたし、この作品での経験は大きなものになるだろうと確信してしました。

ツァオ:この物語のテーマはある家庭の中の出来事です。こういったテーマに対して、私は以前から非常に興味を持っていました。家庭の中というのは、親子の愛、兄弟の愛、様々な愛を探究しているものなのではないか。それぞれの人間関係がどういったバランスを保つことになるのか、という課題と、その課題にどう対処していくのかというストーリーに魅力を感じました。そして、私が演じた兄のジーハンという役柄は非常に難しい役柄ですが、ずっと前から挑戦したいと思っていたキャラクターでした。

——実際にあった事件をベースとしている作品ですが、この出来事についてどう解釈していますか?

リウ:この出来事というのは、とても悲劇的なんですよね。あらゆる、極端な事が重なって起きてしまったのだと思います。
こういった事件が起きた場合、必ず起きてしまった理由を考えます。皆さんもきっと非常に関心を持って議論をするんじゃないかなと思います。事件の背後にはどういった原因があるのか、やっぱり理解したいし知りたいですよね。
映画の中で、お兄さんは実は周りに対して色々なシグナルを出しています。成長過程の中で「SOS」を出している。このお兄さんのシグナルに対して、周りの人がどれだけ関心を持って、どれだけ理解をしているのかというのも、事件が起きるか・起きないかに関して密接な関係があると思います。この映画はそういった様々な角度から事件を探究している所も魅力的だと思います。。

——本作で兄弟役を演じて、リウさんがツォオさんに助けられたという部分はどんな所でしょうか?

リウ:彼はまず自分の演技をして、こちらに投げかけてくれます。その演技を受けて、自分はどう演じるのか、その場を提供してくれて、快適な環境を作ってくれました。僕が演じた弟ジージエは、「自分はどうすれば良いのか」非常に迷っているキャラクターです。兄の多面性に振り回されて、でも兄を信じたいとも思っている。そういうキャラクターにとって相手役の存在というのは非常に重要で、ツァオさんが引っ張っていってくれることによって、僕も自然とジージエの気持ちを感じることが出来ました。

——ツァオさんがリウさんのお芝居に刺激を受けた部分はありますか?

ツァオ:彼は現場で緊張するとか、動けなくなるということがなく、とってもゆったりと淡々と演じてくれました。
常に相手役に焦点を絞って、よく観察をするわけですね。例えば私の目尻がちょっと動いた瞬間、本当にちょっとだけ変わった演技をしたら、彼はすぐにキャッチしてくれます。1つのシーンの中でアプローチを変えることもありますが、その度に全然違う反応を見せてくれて、私にとってとても良い刺激になりました。
例えるならば、ピュアな一杯の“白湯”。ある人はチョコレートの粉を入れるかもしれないし、ある人はお茶を入れるかもしれない。どんなものを入れても必ず変化があって応えてくれる。そして白湯自体にも存在感がある。そんな俳優さんだと思います。

——お2人とも、とても素敵な言葉をありがとうございました。

『ピアス 刺心』
出演:リウ・シウフー(劉修甫)、ツァオ・ヨウニン(曹佑寧)、ディン・ニン(丁寧)
監督・脚本:ネリシア・ロウ(劉慧伶)
撮影監督:ミハウ・ディメク
作曲:ピョートル・クレク サウンド・デザイナー:ドゥ・ドゥーチー、ウー・シュウヤオ 2024 年/シンガポール、台湾、ポーランド/106 分/中国語/1.66:1 ビスタ/5.1ch/DCP
© Potocol_Flash Forward Entertainment_Harine Films_Elysiüm Cin

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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