銀行員、本気で綱を引く! 僕らが京橋のど真ん中で流した悔し涙と、それでも掴んだ「つながり」の話

突然ですが、みなさんは「銀行員」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか? 「真面目」「お堅い」「スーツ」……そんな言葉が並ぶかもしれません。

では、「綱引き」はどうでしょう? 「情熱」「汗」「筋肉」……先ほどの銀行のイメージとは、少し、いや、かなり違うかもしれませんね。

もし、その「銀行員」と「綱引き」が、本気で交わったら……?

これは、私たち、デジタルバンク「みんなの銀行」の有志が、東京・京橋の街で本気で綱を引き、2年という月日を駆け抜け、歓喜の頂と、そして底知れぬ悔しさを味わい、それでもなお、かけがえのない「価値あるつながり」を見つけ出した、汗と涙と、最後は笑顔で締めくくった、真実の物語です。

第1章:始まりの栄光と、心に灯った小さな火(2024年)

▲写真:初出場となった2024年大会の様子。出場する選手と応援の人たちで大変な賑わい!

僕らが綱を引く理由。デジタルバンクと地域コミュニティ

「なぜに銀行員が綱引き?」――きっと多くの方がそう思われたはずです。

私たち、みんなの銀行は、すべてのサービスがスマホで完結するデジタルバンクです。店舗を持たない代わりに、デジタルの力で、これからの時代に合った新しい銀行体験を追求しています。

そんな私たちが、なぜ、最もフィジカルで、アナログとも言える「綱引き」に情熱を注ぐのか。その答えは、みんなの銀行の東京オフィスがある「京橋」という街と、私たちが2021年のサービス提供開始以来、ずっと大切にしているミッションにあります。

みんなに価値あるつながりを。

これが、みんなの銀行が掲げるミッションです。私たちは、お金のやり取りだけでなく、人と人、人とコミュニティの間に「価値あるつながり」を架ける存在でありたいと願っています。それはデジタル空間に限った話ではありません。

東京オフィスメンバーが日々働くこの「京橋」という地域に根差し、顔の見える関係を築くことも、大切な「つながり」の一つだと考えています。そんな想いを抱いていた昨年2024年、京橋エリアの企業対抗「京橋綱引き大会」の存在を知りました。

「これだ! 地域の一員として盛り上げたい!」

その一心で、部署も役職もバラバラなメンバーが、

「やってみたい!」

と手を挙げました。
普段はPCのモニターに向き合う彼らが、初めて手にする一本の綱。右も左もわからないまま、ただがむしゃらに、声を枯らし、腕がちぎれんばかりに綱を引きました。

昨年2024年大会の結果は……なんと、東京スクエアガーデンの予選を1位で勝ち抜き、そして全体でも3位。初出場にして、望外の快挙でした。仲間と分かち合ったハイタッチの感触。それは、何物にも代えがたい達成感でした。

しかし、喜びと同時に、私たちの心には小さな、しかし、決して消えることのない火が灯っていました。

「まだ“上”があるじゃないか」

そう、これが私たちの、長く、熱く、そしてほろ苦い、リベンジの物語の始まりでした。

第2章:「今年こそ、てっぺんを」。リベンジに燃えた怒涛の準備期間(2025年)

▲写真:会場となる東京スクエアガーデンの広場。嵐の前の静けさ

2025年。昨年の悔しさ(と楽しさ)を忘れた者は、誰一人としていませんでした。

「今年こそ、あの場所に忘れ物を取りに行こう」

その合言葉のもと、社内で参加者を募ると、昨年の倍以上の仲間が集まってくれました。

エンジニア、デザイナー、データサイエンティスト、マーケター、コーポレート部門のスタッフ……。普段は交わることの少ないメンバーが、「綱引き」という旗の下に集結したのです。

あまりにも参加希望者が多かったので、今回、私たちは2チームで出場することを決意しました。「みんなの銀行Aチーム」「みんなの銀行Bチーム」です。

「決勝まで当たらないといいねー」

なんて、この時はまだ、のんきに話していました。
私たちがまず取り組んだのは、昨年の敗因分析です。

「後半、体幹がブレて力が伝わっていなかった」

「声が小さくなって、タイミングがズレた瞬間があった」

「単純に、フィジカルで負けていた」

2024年大会の写真や動画を見返し、出てくる課題の数々。悔しさがこみ上げると同時に、やるべきことが明確になりました。

練習場所は、オフィス(東京スクエアガーデン)にあるふくおかフィナンシャルグループ傘下の銀行員たちが利用する「コワーキングスペース」。

▲写真:オフィスのコワーキングスペースで「綱を引くフォーム」を確認している様子

本物の「綱」は高価なため、練習用として似たような長さのトレーニングロープを通販サイトで購入し、「綱を引くフォーム」を徹底的に確認します。

重心を低く、板のように斜めに保つ姿勢を維持するだけで、翌日は全員が生まれたての小鹿のように脚を震わせていました。

大会直前には、仕事終わりに近所の「日比谷公園」に集まり(綱は重いのでタクシーで運搬)、フォームの最終調整を行いました。

▲写真:日比谷公園で静かに闇練中

薄暗い街灯の下、本番さながらの熱気で互いに(静かに)檄を飛ばし合う。その光景は、端から見たら異様だったかもしれません。でも、私たちは本気でした。

綱引きは、ただの力勝負ではありません。緻密な戦略が勝敗を分ける、奥深いスポーツです。私たちのチームは、体重が重いメンバーを後方に配置する基本的な陣形に加え、「開始3秒の速攻」「揺さぶりをかける中盤の持久戦」「ラスト5秒の総攻撃」といった、いくつかの作戦パターンを用意しました。

白熱する作戦会議。そこには、役職や年齢の壁は一切ありません。

「このタイミングで一気に引くのはどう?」

「いや、相手の体勢が崩れるまで耐えるべきだ」

普段の業務では見られないような(?)、真剣な表情での意見のぶつかり合い。このプロセスを通じて、私たちはただの同僚から、背中を預け合える「チーム」へと変わっていきました。

第3章:運命の日。京橋に響いた歓声と、残酷な現実

▲写真:参加企業全員で準備体操。お揃いの「みんなの銀行Tシャツ」は紫のビブスで見えない

そして迎えた10月9日、予選リーグの当日。

会場となった東京スクエアガーデンは、仕事帰りのビジネスパーソンや地元の方々が集まり、異様な熱気に包まれていました。黒色の「みんなの銀行Tシャツ」に身を包んだ我々は、円陣を組み、奥島監督が何かを叫びましたが、それは周囲の熱狂的な歓声にかき消されました。

「AチームもBチームも、てっぺんで会いましょう!」

「「「オーーーッ!!」」」

▲写真:「みんなの銀行Bチーム」の闘い。右側には熱い声援を送る仲間たちが!(提供:京橋 企業対抗綱引き大会運営事務局)

しかし、勝負の世界は、あまりにも厳しいものでした。

私が所属する「みんなの銀行Bチーム」は、初戦から厳しい相手と当たり、一進一退の攻防の末、惜しくも敗北。続く試合でも流れを掴むことができず、予選リーグ敗退という結果に終わりました。

あっけなく、私たちの2025年が終わりました。何もできなかったな。応援してくれた仲間に、申し訳ないな。そんな想いが胸を締め付けました。

一方、「みんなの銀行Aチーム」は、Bチームの想いも背負い、順調に勝ち進んでいました。一戦一戦、チームの結束力は高まり、予選リーグを2位で通過! 別の日に行われる決勝リーグへの切符を掴み取ったのです。

「Bチームの分まで、闘ってきて!」

悔しさを押し殺し、Aチームにエールを送るBチームのメンバー。私たちの夢は、Aチームに託されました。

第4章:最強の壁と、流した涙。僕らが本当に欲しかったもの

▲写真:決勝リーグ。みんなの銀行応援団のテンションも高い!

10月30日、決勝リーグ当日。

会場の雰囲気は、予選リーグとはまるで違いました。勝ち上がってきたのは、どこも屈強な男女が揃う猛者ばかり。予選とは、明らかに、体格が違う。オーラが違う。

それでも、Aチームの心は折れていませんでした。Bチームの想い、応援してくれる仲間の想い。すべてを一本の綱に込めて、彼らは勝負に挑みました。

「「「オーエス!オーエス!オーエス!」」」

▲写真:決勝リーグは死闘の連続!オレンジのビブスに身を包んだ「みんなの銀行Aチーム」

▲写真:ふんばる!

これまでで一番大きな声が、会場に響き渡ります。歯を食いしばり、全体重を綱にかける。腕はちぎれそうになり、ふくらはぎはつりそうになり、呼吸もままならない。視界が白くなるほどの、まさに死闘。

しかし、無情にも、試合終了の合図は次々と相手の勝利を告げました。

結果は、1勝3敗。

「みんなの銀行Aチーム」の挑戦も、ここで終わりを告げました。

その瞬間、張り詰めていた糸が、ぷつりと切れました。
空を仰ぎ、誰一人、言葉を発することができませんでした。

応援に駆けつけていた私たちも、どんな言葉をかければいいのか、わかりませんでした。それくらい、みんな「本気」でした。

結論:僕らの綱は、まだ未来へ続いている

しばらくして、誰かがぽつりと言いました。

「……懇親会、行く人~?(挙手)」

その一言で、張り詰めていた空気が、ふっと和らぎました。
誰からともなく、笑いが起きました。

表彰台の一番高い場所からの景色を見ることは、叶いませんでした。しかし、私たちは、それ以上に大切なものを手に入れたように思います。

それは、部署や役職を超えて生まれた、固いチームの絆。目標に向かって本気で努力する尊さと、敗北の悔しさ。「頑張って!」と声をかけてくれた、同じ京橋エリアで働く、これまで知らなかった方々との温かい交流。

デジタルバンクである私たちが、汗をかき、声をからし、地域のコミュニティに溶け込んで人々と触れ合う。一見、遠回りに見えるこの活動こそが、私たちのミッションである「みんなに価値あるつながりを。」を体現する、何より尊い時間だったと確信しています。

この綱が結んでくれた「つながり」を力に変えて、みんなの銀行は、これからもデジタルとリアルの両面から、皆さんの毎日に新しい価値を届けていきます。

▲写真:優勝カップはないけれど、全員めっちゃ笑顔!

最後に、みんなで集合写真を撮りました。
まるで優勝したかのような、最高の笑顔ですね!

来年の綱引き大会?

もちろん、出ます。
私たちの「挑戦の物語」は、まだ始まったばかりです。

※この記事はオウンドメディア『みんなの銀行 公式note』からの転載です。

(執筆者: みんなの銀行)

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