【ライブレポ】Newspeakが開く、人々の心の扉──Newspeak presents “Glass Door Tour”

【ライブレポ】Newspeakが開く、人々の心の扉──Newspeak presents “Glass Door Tour”

2025年11月4日、渋谷CLUB QUATTRO。この夜、NewspeakはEP『Glass Door』を引っさげた東名阪ツアー【Newspeak presents “Glass Door Tour”】のファイナル公演を迎えた。その空間に流れていたのは、ただの音ではなく、確かに“今”を生きる人たちの鼓動だった。

暗転の中、静かに響き始めた祝祭のようなSEが、まるで水面に差し込む光のように会場を照らす。セットリストの1曲目は「White Lies」。透明感と切れ味が共存するギターの音に、Reiの伸びやかなボーカルが重なる。抑制されたビートの中に確かな熱量があり、初手からバンドの集中力が伝わってきた。

【ライブレポ】Newspeakが開く、人々の心の扉──Newspeak presents “Glass Door Tour”

ライブ序盤は「RaDiO sTaTiC」「Alcatraz」「Generation of Superstitions」と、グルーヴィーなナンバーを連発。Stevenが生み出す鋭くも力強いドラムビートと、Yoheyの低音によるリズムのうねり、サポートを務めるギタリスト・Takeのエッジの効いたサウンド、そしてReiの力強い歌声が交錯し、序盤から一気に空間を支配していく。観客の体温が上がっていくのが分かるほど、音が有機的に絡み合っていた。

中盤の「Lifedance」「Wide Bright Eyes」「What We Wanted」のブロックでは、オーディエンスは体を揺らし、心を踊らせ、雄叫びを上げる。Newspeakのフロアは、とにかく自由だ。

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ダンサブルな楽曲で熱気を生み出したあとは、「Coastline」「Before It’s Too Late」「Ocean Wind & Violet Waves」で、海や風といった自然のイメージが広がり、聴き手を現実から少しだけ遠ざける。

ここでReiがマイクを握り、最近出席した“家族のような存在”の友人の結婚式について話し始めた。「式の最初と最後をNewspeakの曲で締めてくれて、一番泣ける場面で俺のことを紹介されて、“やめてくれ!”と思った」と笑わせ、会場を和ませる。

さらに、その場にいた多くの人が「Be Nothing」を特に好きだと言ってくれたことに触れ、「この曲は誰かのためというより、自分のため、そしてある一人のために作った曲。でも、それが伝染して、“伝説の曲”と呼んでもらえるのが本当に嬉しい」と語った。

続けてReiは、「俺らが目指してる場所は、まだまだ死ぬほど遠いところにある。でも、心の底から響いてくれる人がいる限り、音楽をやろうと思う」と力強く宣言。「自分たちと、自分自身と、そして皆さんにこの曲を捧げます」と言葉を結び、ロックバラード「Be Nothing」を繊細かつエモーショナルに歌い上げた。その余韻は、まさにNewspeakというバンドの“陰の中にあるポジティブさ”を体現していた。

【ライブレポ】Newspeakが開く、人々の心の扉──Newspeak presents “Glass Door Tour”

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ライブは軽やかなステップを踏むように「State of Mind」へと続く。Stevenの「まだまだだぜ! お前たち最高だよ!」という言葉から、クライマックスへと突入。「Media」「INERTIA」「Bleed」と、Newspeakの楽曲の中でも特にアグレッシブな3曲を畳みかけ、再び熱狂を作り上げた。

終盤、Reiはマイクを通して観客に向け、「こういう時に集まってくれるみんなは本当に“愛”でしかない」と感謝を伝える。
そして、「俺らは一つひとつドアを開けながら進んできた。たぶん“またドア開けてんな”と思ってる人もいるかもしれないけど、常にそういう曲を書いてるんです」とバンドの創作姿勢を振り返った。

「ドアを開けるたびに、また次の部屋があって、塞ぎ込んで、“クソ!”って思って、また新しい曲が生まれる。そんな繰り返しなんです」と語るReiの言葉に、観客は静かに耳を傾ける。

さらに近年の自身の考えとして、「俺らの音楽を聴いて“何か始めてみた”“一歩踏み出せた”って言ってもらえることが本当に力になってる。バンドってそういう存在でありたい」と語り、音楽を通して生まれる連鎖の尊さを噛みしめた。「“Glass Door”というタイトルにかけて、みんなも明日、自分の中の新しいドアを開けてくれたら嬉しい」と想いを託し、本編ラストは「Glass Door」。その一節が響いた瞬間、観客一人ひとりの中にある“ガラスの扉”が、ほんの少し開く音がしたような気がした。

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大きなアンコールの声に応え、ステージにはまずStevenがひとりで登場。普段はReiが立つ中央で、タンバリンを鳴らしながら少しおどけた表情を見せると、「調子良さそうだな」とReiとYoheyもステージへ。「全く練習してないけど、Stevenがどうしても前に行きたいって言うから」と前置きし、メンバー3人が横並びで「Lake」をアコースティックバージョンで披露。会場を温かな空気で包み込んだ。

ライブはそこから、再び“スーパーギタリスト”Takeを呼び込み、「Leviathan」「Bonfire」を全身全霊でパフォーマンス。最後の最後まで、Newspeakは音を通して“今ここに生きる自由”を鳴らし続けていた。

静かに、しかし確実に前へ進むNewspeak。その夜、渋谷CLUB QUATTROにいたすべての人の心の奥で、確かに“何かが開く音”がした。終演後、「ワンモア」と彼らの音楽を求める声が会場に響いていたことが、何よりの証拠だ。

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取材&文:ニシダケン
撮影:toya

ライブ情報

Newspeak presents “Glass Door Tour”
2025年11月4日@渋谷CLUB QUATTRO

1. White Lies
2. RaDiO sTaTiC
3. Alcatraz
4. Generation of Superstitions
5. Lifedance
6. Wide Bright Eyes
7. What We Wanted
8. Coastline
9. Before It’s Too Late
10. Ocean Wind & Violet Waves
11. Be Nothing
12. State of Mind
13. Media
14. INERTIA
15. Bleed
16. Glass Door

Encore
1. Lake(Acoustic version)
2. Leviathan
3. Bonfire

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