香川県 遊食房屋 多度津高校 共同開発 海洋循環型「讃岐うどん雲丹」に込めた想い「研究成果が商品に、学びが実際の社会課題解決に」2027年全国展開めざし産官学が結束

2023年11月、香川県立 多度津高校 海洋生産科 大坂吉毅教諭と、香川県を中心に和食店を展開する「遊食房屋」の細川明宏マネージャーが、「讃岐うどんの廃材をウニの餌として再活用できないか」という発想から開発が動き出し、10月20日にいよいよ「遊食房屋」丸亀店から販売が始まった「讃岐うどん雲丹」。

この香川県多度津町発「讃岐うどん雲丹」は、地域の高校・企業・大学・行政が連携し、食と海の循環をテーマに誕生した、香川発サステナブルフードプロジェクトが結実した食材として、いま世界が注目している。

画期的な“循環型ウニ”が誕生した背景

もともと瀬戸内海では、ムラサキウニが海藻を食い荒らすことで藻場が消失し、魚介類の生息環境が失われる「磯焼け」現象が深刻化しているという現実に直面していた。

そこで、多度津高校と遊食房屋は、「讃岐うどん製造の過程で発生する“ゆでこぼし”や“余剰うどん”を冷凍保存し、ムラサキウニの餌として再利用できないか」という循環型のウニを育てることを計画。

庵治漁業協同組合の協力も得て、駆除対象だったムラサキウニを飼育用として再活用し、多度津高校や「讃岐うどん雲丹Labo」で養殖することで、海洋環境保全と食品廃棄物の再活用という二つの社会課題を同時解決し、藻場再生と資源循環の両立へとこぎつけた。

―――この開発に挑んだ多度津高校 山口裕貴さん(3年生)、竹本葵さん(卒業生)、冨田朝陽さん(卒業生)は、“讃岐うどん雲丹”へと結実させたいまの気持ちをこう語る。

自分たちの研究成果が“商品”として形に

「先生から“讃岐うどんで雲丹を育てる研究”を始めると聞いたとき、すごくおもしろそうで『やってみたい!』と思ったのを覚えています。

一番苦労したのは、与える餌によって味がどう変わるかを確かめる実験でした。

イリコを加えると少し苦みや渋みが出たり、昆布では雲丹がうまく消化できなかったりと、いろいろな組み合わせを試しました。

最終的に、うどんだけを与えた雲丹がいちばん甘くて、柔らかい味わいになったときは本当にうれしかったです。

自分たちの研究成果が“商品”として形になるのを見て、とても誇らしく思います」

―――多度津高校 海洋生産科 大坂吉毅 先生も、「大きな成果」を実感している。

学びが実際の社会課題の解決につながる

「讃岐うどん雲丹は、これまで生徒といっしょに取り組んできた研究のなかでも、最も成果の大きいプロジェクトのひとつです。

香川の新しい特産品という枠を超えて、磯焼け対策(ブルーカーボン)や漁場の回復、食品ロス削減といった、地球規模の課題を多角的に捉え、“海と食の循環”を実現できた好例だと感じています。

この取り組みを通じて、学びが実際の社会課題の解決につながることを生徒たちが体感できたのも大きな成果です。

今後は、「讃岐うどん」「骨付き鳥」に続く、香川県を代表する新たなブランドとして全国に広がっていくことを期待しています」

―――そして、開発を伴走してきた遊食房屋 細川明宏マネージャーも、循環型「讃岐うどん雲丹」にこんな期待を込める。

香川発 全国展開へ

「讃岐うどん雲丹は、香川の食文化と海の恵みがひとつにつながる“循環の食材”です。

讃岐うどんの製造過程で出る廃材をムラサキウニの餌として再利用することで、海を再生し、香川の資源を守る新しい形をつくりたいという思いから始まりました。

このプロジェクトは、多度津高校の先生や生徒さん、庵治漁協、行政の皆さんなど、多くの方々の協力によって実現したものです。

地域みんなで育てたこの『讃岐うどん雲丹』が、香川を代表する新しいブランドとなり、ゆくゆくは全国の皆さんにも味わっていただけるように育てていきたいと思います」

磯焼け対策とフードロス削減を両立

「讃岐うどん雲丹」は、ムラサキウニによる磯焼け問題への対策と、うどん廃材のリサイクル(フードロス削減)を両立した新食材。

白くクリーミーな味わいが特徴で、従来の海藻育ちのウニよりも早く成長する。

環境・教育・経済の3側面から高く評価され、多度津高校が主体となった「讃岐うどん雲丹プロジェクト」の取り組みが、2025年には「地球環境大賞 奨励賞」や「かがわ食品ロス削減大賞 環境森林部長賞」も受賞した。

2027 築地豊洲で全国販売 ふるさと納税返礼品に

この「讃岐うどん雲丹」、まずは10月20日から遊食房屋 店舗での提供を皮切りに、2026年夏ごろには新養殖場の開設の準備を進行し、香川県市場での卸売りを開始予定、2027年には築地・豊洲での全国販売、ふるさと納税返礼品をめざすという。

画像提供:遊食房屋

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