元サッカー日本代表選手が集結し「サッカー×沖縄コーヒー」を語るトークイベントが開催

ネスカフェ原宿で開催中の「めんそーれ原宿! 沖縄コーヒーフェス」のスペシャルイベントとして、サッカー元日本代表の髙原直泰氏のトークイベントが開催された。ゲストには同じく元サッカー日本代表選手である藤田俊哉氏、岡野雅行氏、中澤佑二氏を迎え、司会にジョン・カビラ氏と、超豪華な布陣でのトークショーになった。
そもそも一体なぜ、沖縄コーヒーのイベントにこのメンバーが招集されたのか。じつは髙原氏は自らが2015年に設立したサッカークラブ「沖縄SV(エスファウ)」の運営会社で、クラブのオーナー業とその運営を支えるためのコーヒー栽培に挑んでいる。

「もともとコーヒーをつくろうと思っていたわけではないんです。ただJリーグを目指すだけなら沖縄でクラブを立ち上げる意味がない。スポーツを通じて地域を盛り上げたいとは思っていました」と髙原氏。
当時はオーナー兼監督兼選手だったが、ほかの選手らとともに地域の農家の手伝いからスタート。そこで農業の担い手不足や耕作放棄地という課題があることを知り、課題解決への模索を始める。そんな折に沖縄でコーヒーを栽培している方がいるという話を聞いたそう。
「産業として成り立っていないとは聞きました。ただそのときは単純に、沖縄でコーヒーがつくれるならハワイのコナコーヒーのように沖縄の特産物にできればおもしろいんじゃないかと思ったんです。そこで2016年にネスレさんに相談に行きました」
当時すでにコーヒーの持続可能性を確保するために、社会的・経済的課題の解決を支援するプログラム「ネスカフェ プラン」を立ち上げていたネスレにとっては「チャンスをいただいた」と感じる話だったという。
こうして2019年から沖縄県産のおいしいコーヒーを世界中の人に届けることを目指すとともに、コーヒーの栽培を通じた地域のさらなる発展を目指す「ネスカフェ 沖縄コーヒープロジェクト」がスタートした。
コーヒーの苗木や種の提供、栽培技術の支援を行うネスレ日本と、コーヒー栽培に関わる農作業に選手らが従事する沖縄SVだけでなく、コーヒー栽培のノウハウを提供する琉球大学や、農地の紹介や調整を行う自治体(名護市、うるま市)、その他協力農家も一緒に栽培に取り組む、産官学連携プロジェクトだ。
イベントのゲストとして登壇した皆さんは、全員が髙原氏の先輩。近年の髙原氏の行動に対して口々に「あの髙原がねぇ」と驚くことしきりだ。

現在ジュビロ磐田でスポーツダイレクターの職に就いている藤田氏が「選手を引退してからすごく話すようになったよね。クラブハウスにも朝の8時とかに来るんですよ」と言うと、中澤氏が「現役の髙原は起きない! 僕は今でも覚えてますよ、すごく朝嫌いなの!」と密告。岡野氏は「8時って朝の? 僕はまだ飲んでる時間です」と笑いを誘っていた。

この先も髙原氏をイジりつつ、新たな挑戦に対して賛辞を送る軽快なトークが続く。
藤田:「もともとは自分の仕事、点をとることだけに集中するような職人肌だったよね。それが経営のこと、スタッフのことなど、多岐にわたって相談を受けるようになって。タカはいつまでも子ども……ガキっていうイメージだったけど、今は大人なったなって(笑)。クラブ経営とそのほか違う事業をどちらも成立させたという前例はないので、まったく新しいクラブのあり方を示していて興味深いです」
さらに現在南葛SC で事業本部長を務める岡野氏からは、鳥取ガイナーレGM時代の奮闘記なども飛び出した。
岡野:「僕もガイナーレ鳥取のときは、お金がなくてサッカーよりもどうやったらこのクラブが生き残っていけるかっていうことをずっと考えていたので、すごく共感するんですよ」

髙原:「魚を売っていましたよね? 僕、電話しましたもん。すごいっすね、これまねしていいですか? って」
岡野:「まねも何もないんだけどね(笑)。鳥取は日本で一番人口の少ない県で、そんななかで地元の方に認めてもらうのは大変で。チームを強くしようにもお金もないしね。あるときストライカー獲得のための寄付を募るために、境港水産物直売センターの皆さんが境港の海産物を贈るプロジェクトに協力してくれたんです。最初に境港で宣伝したら『あの野人がサッカーをやめて漁師になった』ってSNSで拡散されて大きな反響をいただいて。地元の方も大喜びで、そこから応援してくれるようになっていきました。だからタカがやっているのを見てくれている人が絶対いるので、続けていくことに価値があるのかなと思います」

これまでほとんど栽培されてこなかったものを特産品にするには、やはり大きなハードルがある。
沖縄コーヒープロジェクトがはじまって6年半。耕作放棄地を切り拓くことから始まり、土壌が合わずせっかく開拓した農地を変更したり、台風で苗が全滅したりと、さまざまな経験をしてきた。
昨年までの収穫はゼロだったが、「今年はいい感じに育っていてもうすぐ収穫ができそう」とのこと。最初にクラウドファウンディングで協力してくれた方々にやっと返礼品が送れる見込みだと話し、ほっとした表情を浮かべていた。

サッカーの方も順調だ。沖縄県の3部リーグからスタートして、2023年にはJリーグの一歩手前、JFLに参入。今年は優勝を目指しているという。

髙原:「僕が沖縄に来て10年目になりました。応援してくれる方も徐々に増えてきています。自分たちをうまく使いながら、コーヒーを沖縄の特産物として広め、産業にしていく。それができれば、ほかの地域やスポーツのモデルケースにもなれると思うので、まずは沖縄から発信したいと思います」
今回のイベントでは髙原氏のコーヒーの試飲はかなわなかったが、いつの日か飲める機会を楽しみに待ちたい。

現在ネスカフェ原宿では、髙原氏をはじめとする沖縄コーヒー生産者の顔が見える産地直送・体験型カフェ「めんそーれ原宿! 沖縄コーヒーフェス supported by NESCAFE」を開催中。
「沖縄コーヒープロジェクト」を紹介する展示が楽しめるほか、貴重な沖縄県産のコーヒーをブレンドしたコーヒーや「沖縄コーヒープロジェクト」のオフィシャルサポーターを務めるHYが考案した「黒糖とパイナップルのムース」も味わえる。

めんそーれ原宿! 沖縄コーヒーフェス supported by NESCAFE
期間:2025年9月25日(木)〜10月19日(日)
場所:ネスカフェ原宿(東京都渋谷区神宮前1-22-8)
営業時間:11:00〜20:00(L.O.19:00)

ウェブサイト: https://getnews.jp/
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