初の著書を刊行した阪元裕吾監督 大阪・梅田でサイン会を開催! 青春を過ごした街の思い出を語る

このたび、「ベイビーわるきゅーれ」シリーズのヒットや、『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』、『黄龍の村』、『ネムルバカ』、『ゴーストキラー』などでいま注目を集める映画監督・脚本家 阪元裕吾さんによる初の著書『阪元裕吾監督&脚本作品2016-2025 コンプリートブック』が発売されました。8月9日には、監督の地元である大阪のMARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店で発売記念サイン会を開催。会場は多くのファンの方で賑わいました。

小学校の頃から梅田の映画館によく映画を観に来ていたという阪元監督。今回初めての地元でのサイン会ということで、書籍の内容とも絡めつつ、梅田という街の思い出を語っていただきました。

書名:阪元裕吾監督&脚本作品2016-2025 コンプリートブック
著者:阪元裕吾
定価:2,970円(本体2,700円+税10%)
発行:イカロス出版
書籍詳細:https://books.ikaros.jp/book/b10135103.html

初めての映画体験をくれた街・梅田

――(以下質問:イカロス出版)サイン会開催、おめでとうございます。ファンの方一人ひとりとじっくりお話をしながらサインをされていたのが印象的でした。

阪元監督 地元では初めてのサイン会で、すごく楽しかったです。選書フェアも開催してもらって、僕の好きな本が紹介されていて嬉しかった。並んでいる本を見て我ながら良いチョイスだと思いました。

▲サイン会の様子。参加者との会話を楽しみながら、和やかな雰囲気で進行した

▲阪元監督による選書フェアの棚

――梅田には子どもの頃からよく来ていたのですか?

阪元監督 そうですね、本当に近所だったので。本の中のインタビューでも話した、『宇宙戦争』(2005)を観たのが梅田で、それが小学4年生のとき。今はTOHOシネマズ梅田アネックスになっている場所に「OS劇場」という映画館があって、そこで観たのだったと思います。立ち観が出ていた超満員の中で鑑賞して、その熱気も含めて印象に残っています。あとは、「スター・ウォーズ」のエピソード2、3とかもやってましたね。その世代です。

――映画の思い出と結びついている街なんですね。

阪元監督 まさにそんな感じです。大学の2年目で京都に引っ越すまで、小・中・高と梅田の映画館によく通っていました。

あと小学校の頃で特に覚えているのは『スパイダーマン3』(2007)で、行くときに親父がなぜかピクニック用のバスケットみたいなのに入れたすごい立派なお弁当を作ってくれたんです。で、夜の回を観に行って、当時そこの映画館にはドリンクバーがあったので、ジュース飲みながら、お弁当を食べながら映画を観て。『スパイダーマン3』って映画自体はあまり評判良くなかったんですけど、その映画体験がすごく楽しくて、個人的には最高の思い出ですね。 

レンタルビデオ店と映画館に自転車で通った日々

――そのほかによく行った場所はありますか?

阪元監督 今は無くなっちゃったんですけど、すごく大きくて品揃えの良いTSUTAYAが梅田にありました(※TSUTAYA梅田堂山店)。中学のときコーエン兄弟にはまって、「全作品観よう」と思ってDVDをレンタルして観ていたのですが、うちの近所のTSUTAYAには『バートン・フィンク』(1991)のDVDが置いてなかったんです。なのでチャリで30~40分かけてその梅田の巨大なTSUTAYAまで借りに行ったりしてました。当時は映画のサブスク配信もなかったので。

そういう思い入れのある店なんですが、僕が大学出た頃に閉店して跡地がドラッグストアになってしまいました。『ハングマンズ・ノット』(2018)の主演の吉井健吾君もそこに通っていたそうで、2人ともすごいショックで「マジか……」と言い合いました。

――街の変化とともに思い出の場所が無くなってしまうのは寂しいですね。

阪元監督 はい。その店は特に中学時代の思い出という感じですね。
そのあと高校に入ると、大阪駅の駅ビルの屋上に「大阪ステーションシティシネマ」というのが新しくできて、そこでよく映画を観ていました。ここは建物、というか映画館にたどり着くまでの通路や景色がすごく良いんです。

大阪駅って、天井がドーム状になっていて解放感があって、きれいなんですよ。JRの改札を出て電車が並ぶホームを見下ろしながら上の階に上っていくと、途中で屋上まで続くめちゃめちゃ長いエスカレーターが現れる。アトラクションみたいなそのエスカレーターに乗ると、屋外の広場に出るんです。空が見えて緑があってすごく気持ちが良い場所で、その先に映画館があるんですね。

▲左:大阪駅ドーム状の屋根が特徴的な大阪駅。右:映画館がある屋上へと繫がる長いエスカレーター

▲エスカレーターを抜けた先にある屋上広場。梅田北側の街が一望できる

阪元監督 ここに通い始めたきっかけは、レイトショーで『バトルシップ』(2012)を観たことでした。映画もおもしろかったし、レイトショーだから客が5人くらいの貸し切り状態で観られて、映画館から出ると夜景が見えて、その中を映画の余韻をかみしめながら自転車を漕いで帰る……っていうのがすごく良かったんです。

――お話を伺うと、子どもの頃から映画館への行き帰りも含めた映画体験をとても大切にされていますね。

阪元監督 こういうロケーションの良い映画館だと、向かっている間に「映画を観るぞ」という気持ちが高まっていって、出た後も余韻に浸れるのが良いんですよね。『バトルシップ』を観てからは、週に1度は部活終わりに通っていました。この頃観た映画の思い出は、当時映画館に行くために1人で自転車を漕ぎながら見た景色といっしょに焼き付いています。

▲梅田駅付近の繁華街にて

久々に訪れた地元・梅田の思い出を懐かしみながら語ってくれた阪元裕吾監督。今回の書籍には、子ども時代からの映画体験も含め、監督の創作の源に迫る約1万字のロングインタビューを収録しています。映画好きな方はぜひチェックしてみてください。

また、2025年8月29日より開催される「第21回大阪アジアン映画祭」では、阪元監督による最新作『フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編]』が特別招待作品としてテアトル梅田で世界初上映されます。同作は10月10日(金)より池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿、17日(金)より 塚口サンサン劇場、出町座、18日(土)より第七藝術劇場 ほか全国順次公開予定です。

『フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編]』
https://flame-union.com/[リンク]

▲©「フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編]」製作委員会

(執筆者: イカロス出版)

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