【ライブレポート】0から1へ。そしてAqoursは永久に!──〈ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~〉

【ライブレポート】0から1へ。そしてAqoursは永久に!──〈ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~〉

2025年6月21日22日の2日間にかけて、埼玉・ベルーナドームにて、Aqoursによるフィナーレライブ「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久stage~」が開催された。本公演は、前日に続き2日目の開催であり、9人のメンバーが全員揃ってパフォーマンスを行う最後のワンマンライブ。Aqoursとしての活動の集大成となるステージに、全国からファンが集い、現地・ライブビューイング・配信を合わせて2日間で約10万人がその瞬間を見届けた。

ライブの開演前、会場には波音が静かに響き渡り、観客たちは“物語の原点”である沼津の空気を感じ取っていた。ステージ袖からそっと顔を出したのは、黒澤ダイヤ役の小宮有紗。彼女がステージに広がる砂浜に「Aqours」の文字を記すと、会場中が静寂と高揚を同時に抱えるような空気に包まれた。その演出は、1曲目「DREAMY COLOR」のMVのオーマジュだろう。スクリーンに映る沼津の風景、1人ひとり登場するメンバーたちの姿、そして大歓声──この冒頭数分だけでも、本公演がどれほど特別な意味を持つのかを物語っていた。

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続く「GEMSTONE “DE-A-I”」「Aqours☆HEROES」「届かない星だとしても」まで、序盤から畳み掛けるようなセットリストが、会場のボルテージを一気に高めていった。

ライブ中唯一のMCパートでは、9人が立ち見・見切れ席、ライブビューイング、配信で見守るすべてのファンへ感謝の言葉を贈った。桜内梨子役・逢田梨香子の「りこちゃんビーム」にはレーザーの光が走る。いつものおなじみのやりとりに、会場からは笑いと涙が同時にこぼれる。いつもの挨拶が「最後」になる──その実感が、ファンの心に深く沁み入っていく。

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渡辺曜役・斉藤朱夏がセンターを務めた「恋になりたいAQUARIUM」を皮切りに、ライブはさらに加速。「Deep Blue」「Daydream Warrior」「スリリング・ワンウェイ」と続き、Aqoursらしいダンスと熱量で会場を魅了していく。

続くアニメ第2期メドレーでは、「未来の僕らは知ってるよ」から「WONDERFUL STORIES」まで、物語をなぞるような構成が続く。なかでも「キセキヒカル」では、“あきらめないことが夢への手がかり”というフレーズが、Aqoursの9年間と重なり、観客の胸に深く刻まれた。

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また、「HAPPY PARTY TRAIN」や「未体験HORIZON」など、それぞれのキャラクターと歩んだ道が鮮やかに蘇る。スクリーンに映し出されたアニメPV、コラボ楽曲、ライブならではの演出すべてが、Aqoursの歴史と未来をつなぐ。

ライブ本編のラストは、このフィナーレにふさわしいテーマソング「永久hours」。砂浜に書かれた「Aqours」という文字から始まり、9人が届けるこの楽曲は、過去を抱きしめながら、未来へ進む意志を持ったものだった。「忘れないで 忘れないよ!」というフレーズには、ファンとの絆がこめられていた。

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アンコールでは、虹色に染まったペンライトの海のなか、観客の「Aqours!」コールに応えて9人が再登場。ステージで円陣を組んだあと、披露されたデビュー曲「君のこころは輝いてるかい?」では、9人が全力のパフォーマンスで、最後まで“輝き”を体現していた。

ここでAqoursはひとりひとり、観客すべてに向けて、感謝のメッセージを伝える。Aqoursのこれまでの約10年間は順風満帆だったわけではない。ときには苦しいこと、辛いことも共にして進んできた約10年間だった。Aqoursがμ’sの作り上げた歴史を紡ぎ、ここまでやってきたことで「ラブライブ!シリーズ」がここまで大きくなったのだと思う。

そしてその歴史のなかで、Aqoursは9人全員誰一人として欠けずにやって来れたことにも言及しておきたい。「ラブライブ!サンシャイン!!」には、ユニット曲や学年曲など、さまざまな楽曲があるが、この日のセットリストは、最初から最後まで9人で歌っていた。これには、9人全員が揃う最後のワンマンライブということもあるのだろうが、それ以上にこの「9人」というものを大切にしたいという思いがあったのだろうと感じた。

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高海千歌役・伊波杏樹は、「最高のスクールアイドル人生だった」と言葉を絞り出しながら語る。「μ’sが導いてくれた景色、一生忘れないと思います!」と叫ぶその姿に、観客もメンバーも涙を流した。全員の小指を重ね、「絶対に忘れるなよ」と約束を交わす場面は、この日一番の涙と笑顔が交差する瞬間だった。

ラストチューンは「勇気はどこに?君の胸に!」。9人はトロッコに乗り、客席の隅々まで笑顔と感謝を届けるように、精一杯手を振り続ける。ペンライトの光が揺れ、会場全体がひとつになって歌う大合唱。その光景は、まさにAqoursがファンとともに歩んできた日々の証だった。

「泣くんじゃないぞ!笑顔だぞ!」と、伊波杏樹が涙をこらえるように、しかし力強く見せたジェスチャーも印象的だった。終盤、9人が肩を組みながら歌うなか、音楽がふと止まり、観客とメンバーの歌声だけが場内に響く奇跡のような瞬間が訪れる。その静けさと温かさは、まるで「Aqours」という物語がそのまま生きているようだった。

楽曲が終わっても、場内には『勇気はどこに?君の胸に!』のインストゥルメンタルが流れ続け、観客たちは再び大合唱をはじめた。別れを惜しむように、いや、“別れたくない”という想いを込めて、声が重なり続けた。

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ステージの中央でマイクを握った伊波は、「この9人で最高のスクールアイドル『Aqours』でした! 約10年間、本当に、ありがとうございました!」と挨拶。9人は深々と一礼し、ステージに別れを告げる。そして小原鞠莉役の鈴木愛奈が、にっこりと微笑みながら「寂しくなったら、沼津にいつでも帰ってきてね!」と締めくくった。

その言葉に、会場は万感の拍手で応えた。スクリーンにはエンドロールが流れ、静かに幕が下りる。そして最後に映し出されたのは、一度すべての砂が落ちた砂時計──だがその直後、それは“ひっくり返されていた”。

それはきっと、終わりではないということだ。Aqoursの物語は、この“永久stage”で一区切りを迎えた。しかし、あの砂時計のように、また新しい時が刻まれていく。記憶も絆も、決して消えることはない。ここからまた、Aqoursの新しい“始まり”が始まるのだ。

永久に──Aqoursとともに。

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取材&文:ニシダケン
©2017 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

ライヴ情報

ラブライブ!サンシャイン!! Aqours Finale LoveLive! ~永久 stage~
≪セットリスト≫
■DAY2
01. DREAMY COLOR
02. GEMSTONE “DE-A-I”
03. Aqours☆HEROES
04. 届かない星だとしても
05. 恋になりたい AQUARIUM
06. Deep Blue
07. Daydream Warrior
08. スリリング・ワンウェイ
09. 未来の僕らは知ってるよ
10. MY 舞☆TONIGHT
11. MIRACLE WAVE
12. 空も心も晴れるから
13. WATER BLUE NEW WORLD
14. WONDERFUL STORIES
15. キセキヒカル
16. HAPPY PARTY TRAIN
17. 僕らの海でまた会おう
18. 僕らの旅は終わらない
19. 未体験 HORIZON
20. Brightest Melody
21. SAKURA-saku KOKORO-saku
22. 永久 hours
ENCORE
EN1. 君のこころは輝いてるかい?
EN2. 勇気はどこに?君の胸に!

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