心の隙間がモフモフ感で満たされる……推し動物マーモットの魅力を鑑賞できるカフェ(辛酸なめ子)

叫ぶマーモットのネタ動画や、「大マーモット展」のグッズなど、ここ数年人気が拡大中の小動物、マーモット。げっ歯目リス科の大型のリスに分類され、立ち上がった体勢や両手を使う仕草、急に虚無感が漂う表情、喧嘩のときの荒ぶった様子などが萌えポイントです。

「自然界のぬいぐるみ」などと呼ばれ、独特な魅力にハマる人が続出。2025年2月頃、マーモット界で有名なインフルエンサー、Dr. Marmot (ドクターマーモット)氏が、ついに日本初となるヒマラヤマーモットの輸入に成功した、というニュースが駆け巡りました。Dr. Marmot氏のSNSでかわいいマーモットの姿を眺めていたのですが、あるとき、氏が監修するマーモット専門アニマルカフェ「マーモット村」がオープンする、というニュースを知りました。

事前予約は公式ホームページにて、5月10日開始とのこと。ネットでバズっているマーモットなので、きっと予約はかなりの争奪戦になるのでは、と予想していましたが、その日の予約開始時間にアクセスすると想像以上に混んでいて全然つながりません。しばらくサーバーダウンしていたようです。

途中まで予約が進んだと思ったら結局空いていないと言われる、という繰り返しでしたが、1時間以上連打し続けたら、ついに予約を進めることができました。コースは満喫プラン60分(ワンドリンク・お土産付き/2,800円)とふらっとプラン20分(ドリンク・お土産なし/1,500円)の2種類で、満喫プランを選択。数あるアニマルカフェの中でも、そこまで高すぎない良心的な値段設定だと感じました。今では「直前予約」というページができて、キャンセルで空いた近日の予約も可能になったようです。

予約した当日、野方にオープンした「マーモット村」へ。マーモットのかわいいイラストの看板が目立っています。各時間、10人前後が入店できるようです。待っている間、ルールが書かれた説明を見せてもらいました。撮影はOK、フラッシュ撮影はNG。ライブ配信、持ち込みの食べ物を与えるのはNG、といったルールがありました。

また、マーモット村では「ふれあい」は行なっていない、とのこと。マーモットの保護活動を行っているマーモットファーストの施設なため、マーモットたちの健康と安全を考慮してのことだそうです。少し残念ですが、マーモットという貴重な種の持続可能性と健康を保つためには、“生殺し状態”でも受け入れます。

入店し、透明な壁に仕切られた空間にマーモットたちがいるのが見えて、テンションが上がりました。プレーリードッグともモルモットとも違う、どこか人間味を感じる愛らしさ。ここではヒマラヤマーモット、ボバクマーモット、アルプスマーモットなどが暮らしています。

アルプスマーモットは顔が黒い、など毛色の違いが。固まって寝ているマーモットもいれば、立ち上がって周りを見回すマーモットもいます。タイミングが合えば、マーモットの「ギュイーン」と呼ばれる、模擬戦闘(ケンカごっこ)場面も見られます。

餌やり体験は200円で、キャベツ、小松菜、キュウリなどをトングで与えることができます。立って、手で野菜を持って食べる姿がなんとも言えないかわいさです。横着してトングから直接食べる子もいました。餌をあげると、他のマーモットが寄ってきて奪い合いになるシーンも。欲望に正直なのもかわいいです。

「キューキュー!」という鳴き声がしたので見たら、みそとひじきが軽いケンカをしていたようです。「みそはすぐひじきをいじめるんだから~」とスタッフさんが注意していました。「ギュイーン」まではいかない小競り合いでした。

マーモットがキャベツなどを食べる「シャクシャク」という咀嚼音にもASMR的な癒し効果がありました。生で間近で聞けるのも貴重な体験です。触れ合えないぶん、視覚、聴覚、嗅覚など他の感覚でマーモットに集中できます。

また、他にかわいい仕草では、警戒心が強いのか、よく後ずさりする様子もよく見られました。無防備に見えて意外とガードが固いのも魅力です。

無言で壁をガリガリしているマーモットがいたので写真を撮ったら、瞳に虚無感が漂っていました。お客さんもスタッフさんも、マーモットをはじめとしたげっ歯類が大好きみたいで、女性客とスタッフの女性の「ジリスも大好きです」「アンゴラチンチラ飼いたいです」というマニアックな会話が聞こえてきました。

60分の満喫プランが終わりそうな頃、まるで高級レストランで最後にシェフが顔を出すようなタイミングで、奥の部屋からDr. Marmot氏が登場。マーモットより希少な人物の降臨に、感動で泣くお客さんもいました。「これからも影から応援します!」という熱いメッセージを受け止めて、感慨深そうなDr. Marmot氏。マーモットの人気とインフルエンサー人気の相乗効果で、これからも盛り上がっていきく予感です。

今後、日本中の動物園からパンダが中国に返還されていなくなってしまうことを考えると、マーモットのように他にも会いに行ける推し動物がいたほうが、心の安定を保てます。実際は触れないという、手が届きそうで届かない距離感が絶妙で、一抹の欲求不満感でまた通ってしまいそうです。

(執筆者: 辛酸なめ子)

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