2019年に公開されたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の集大成である『アベンジャーズ/エンドゲーム』。筆者も公開日初日に激業に観に行ったり、かなりの熱量で追いかけていた。しかし、あまりにも最高な締めくくりだっただけに、その先に続いてくマーベル作品を追いかける気持ちになれなかった。スパイダーマンの新作や、『シャン・チー』など、観ている作品もあるのだが、かなり穴ができてしまった。
しかし……かつて愛したキャプテン・アメリカの新作が公開されるとなると、これはもう熱が上がり、ヒーローたちと共に戦線に復帰することを決断。キャプテンはスティーブ・ロジャースからサム・ウィルソンに交代となったが、スティーブが盾を託した彼を応援しないわけにはいかないじゃないか!ということでディズニープラスに加入。これまでサボっていた作品たちを少しずつ履修していったが、残念ながら新作の『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』の公開期間に間に合わず。ディズニープラスで配信されるのを待つ形に。そして2025年5月28日に配信が開始。早速視聴した!
映画は最高だった。王道のヒーロー映画で、アクションも最高。日本もかなりストーリーに関わっていて、とても満足感があった。ここ数年に公開されたマーベル映画の中ではかなり面白い映画だと思う。ただ……面白いより心配が勝つ内容だった。
ご新規お断り路線でMCUに未来はあるのか?
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』のあらすじは以下の通り。
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かつてアベンジャーズを分裂させるきっかけを作り、超人達を批判してきたサディアス・E・“サンダーボルト”・ロスは、アメリカ合衆国大統領へと上り詰め、各国との歩み寄りを国民に強調していた。
フラッグ・スマッシャーズとの戦いを通して、“キャプテン・アメリカ”を正式に襲名したファルコンことサム・ウィルソンは、同じく“ファルコン”を襲名したホアキン・トレスと共にアメリカ軍と協力し、治安維持に務めていた。そんな中、ロスがホワイトハウスで開く、インド洋に出現したある島にて採掘された、世界を揺るがす“ある資源”を扱う国際会議でテロ事件が発生。それをきっかけに生まれた各国の対立が、世界大戦の危機にまで発展してしまうが、全ては“ある人物”によって仕組まれた陰謀だった。サムは、キャプテン・アメリカとして新たな陰謀の背後にある脅威に立ち向かう!
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まずこの映画は、これまでのMCU作品を履修していることと、ディズニープラス独占配信であるドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を観ていることが大前提。映画の方は直接関係ない話も多いので、すべてを観なくても良さそうだがそれでも20本以上は追いかける必要があり、ドラマも観ないといけないとなると、視聴するハードルが高すぎる!
さらに今回の映画は、MCU作品2作目の『インクレディブル・ハルク』(2008年)に登場したキャラクターも再登場したりと、結構頑張って追いかけている筆者でも「お前誰やねん!」とツッコミたくなってしまった。さら~っと観た、数年前に観た、という人では忘れていることもあると思う。
また、これは仕方がないことなのだが、久しぶりにガッツリ登場するサディアス・ロスは、演じていた俳優のウィリアム・ハート氏が2022年に亡くなってしまったため、ハリソン・フォード氏に変更になっている。ハリソン・フォード氏は初登場のため「あっ、この人ね」と観ていてひとつ確認が必要だった。正直ロスをあそこまで登場させなくてもこの話は作れたのではないかと思うが……今後の何か布石かもしれないので、それは置いておこう。
今後もファンタスティック4やスパイダーマンの新作、さらに『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』の公開が発表されているが、このような感じで“完全新規お断り”というような構成の映画を作っていくのかと思うと、非常に未来が心配になる。
フェーズ1の頃のように、単独作品から入ってもらい、アベンジャーズシリーズへ誘導。他のキャラクター作品を観ていなくても楽しめる映画として作ってさらに他作品に興味を持ってもらう、というようなファンを作る構図が無いと、どんどん脱落していくファンが出るばかりではないかと……今回のキャプテン・アメリカを観て感じた。
いろいろ言ってきたが、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は最高に面白いし、強い日本も出てくるので、ぜひ(過去作品を履修してから)視聴をオススメしたい。
(Written by 大井川鉄朗)