共働き世帯で増加しているペアローン!借入金額が増え、返済設定期間が長くなる傾向が明らかに

共働き世帯で増加しているペアローン! 借入金額が増え、返済期間が長くなる傾向が明らかに

三井住友信託銀行の「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」(以下、ミライ研)は、全国約1万人(18歳~69歳)を対象とした「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」を2025年1月に実施した。その結果のうち、単独ローンとペアローンを比較したレポート『「高額」「長期化」しやすいペアローン』を公表した。ペアローンならではの特徴が見られるというので、詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2025年)を分析/三井住友トラスト・資産のミライ研究所

確かに、ペアローンは単独ローンよりも「高額」「長期化」している

今回、ミライ研では、住宅ローン返済中の世帯における、ペアローンに注目して分析をしている。単独ローンと比較すると、選択した金利タイプでは、「変動金利」が約6割(単独ローン62.4%/ペアローン61.4%)とあまり違いはない。

では、「借入金額」は、どうだろう? 世帯年収区分別に借入金額を見ると、単独ローンよりもペアローンのほうが多い傾向が明らかに見られ、中央値を見ると、ペアローンは単独ローンのおおむね1.3倍になっている。

借入金額

借入金額

出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所『「高額」「長期化」しやすいペアローン』より転載

さらに「返済設定期間」を見ると、単独ローンもペアローンも「返済設定期間35年」が過半数(単独ローン50.4%/ペアローン57.9%)となっているが、ペアローンでは「36年以上」のいわゆる超長期ローンが7.9%と、単独ローンの2.5%よりもかなり多くなっている。借入金額が単独ローンよりも多いことが影響しているのだろう。

返済設定期間

返済設定期間

出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所『「高額」「長期化」しやすいペアローン』より転載

では、ペアローンの場合、ペアそれぞれの負担割合はどうなっているかというと、女性よりも男性の負担が多い=「女性<男性」が49.8%と最多だが、「女性=男性」も43.9%と多いことがわかった。女性の正規雇用が増え、ローンを組む人の収入でみるとそれほど差がなくなっている社会状況を映しているのかもしれない。

ペアローンにおける借入金額の負担割合

金額の負担割合

出典:三井住友トラスト・資産のミライ研究所『「高額」「長期化」しやすいペアローン』より転載

ペアローンのメリットは?

共働き世帯でも、ペアローンではなく単独ローンにしている世帯も一定数いるが、ペアローンにするメリットについて考えてみよう。

ペアローンの第一のメリットは、それぞれの年収に対して目いっぱいまで借りられるので、単独ローンよりも世帯の借入金額を増やせること。ミライ研のレポートでも、おおむね1.3倍だった。

ペアローンの第二のメリットは、返済計画に柔軟性を持たせることができること。それぞれで住宅ローンを契約するので、借入金額や返済期間、金利タイプなどをそれぞれで選ぶことができる。上手に組み合わせることで、家庭の事情に応じた返済計画を立てることもできるだろう。

ペアローンの第三のメリットは、借りた分についてはそれぞれで「住宅ローン控除」や「団体信用生命保険(以下、団信)」の適用対象になる。例えば、夫の団信にだけ3大疾病の特約をつけるなど、団信の内容をそれぞれで変えることも可能だ。

ペアローンで注意すべき点とは?

一方で、注意すべき点もある。ペアローンは、単独で借りるよりも借入金額を増やせるとはいうものの、無理なく返済できる額を超えて借りてしまう、つまり“借り過ぎ”のリスクもある。借り過ぎると、ケガや病気、産休や育休などで収入が減少したときに返済が滞る危険性があるので、注意が必要だ。

また、ペアローンはそれぞれが団信に加入するので、例えば、夫が亡くなったら夫の借りたローンは保険で清算されるが、妻のローンはそのまま残る。万一の場合にどうなるかも、事前に確認しておきたい。

さらに、基本的に互いに相手のローンの連帯保証人になる。そのため、離婚ということになると面倒なことになる。売却して2つのローンを解消できればよいが、ペアローンが残れば、相手のローンについても返済の義務を負うことになる。ペアローンを解消してどちらかに1本化する方法もあるが、1本化するほうにそれだけの返済能力がなければ、それも難しくなる。

なお、ペアローンは、基本的に2つの住宅ローンの契約となるので、ローンに関する事務手数料や登記費用などの諸費用がそれぞれにかかってくる。

さて、配偶者(パートナー)と協力して、住宅ローンを借りたり返したりする方法としては、それぞれが住宅ローンを契約する「ペアローン」があるが、ほかにも「収入合算」などの方法もある。収入合算は、単独ローンではあるが、借りる人の年収に配偶者(パートナー)の収入を加算して住宅ローンの審査を受けることで、借入金額を増やすことができる。

どちらがよいかは、家庭それぞれの事情によるだろうが、今のような金利上昇局面では、常に金利が上がってしまった場合を想定しておく必要がある。住宅ローンの借入金額や金利タイプ、返済期間などを、長期的な観点でしっかり選びたいものだ。

●関連サイト
三井住友トラスト・資産のミライ研究所:ミライレポート
三井住友トラスト・資産のミライ研究所:『「高額」「長期化」しやすいペアローン』

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