テック系夫妻がつくった”リモートワーク部屋”が最強! 6畳クローゼットを260万円で書斎に大改造、オフィスグリコやドリンクバー付で快適すぎる mochikoAsTechさん

「家に快適な書斎があったら、仕事がはかどりそう」「ワークデスクとワークチェアを買ったけれど、夫婦ふたり分の書斎となると、部屋数が足りない」なんて考える方も多いのでは?
IT企業でテクニカルライターとして働いているmochikoAsTechさんは、6畳の空間を夫婦ふたりの書斎として、約260万円をかけてアップデートしました。業務用のパーテーションや最新機器、さらにはウォークインクローゼットを改造したテレカンブースまでつくったといいます。
リモートワークが続いている方や、オフィス出社といえ自宅でも作業をする方、また部屋数が少ないおうちでも、理想の書斎をつくるためのヒントをたくさん教えていただきました。

mochikoAsTechさんの書斎全貌『最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワーク環境の作り方~』より
快適な書斎づくり 第1ステップはまず窓から
彼女が書斎づくりに目覚めたのは2020年春から。
エンジニアとして働く夫と一緒に、同じ部屋で在宅ワークをしていて、この部屋には2人分のデスクとチェアを背中合わせで置いていました。

mochikoAsTechさんの書斎全貌『最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワーク環境の作り方~』より
快適に働けるかと思いきや、オンライン会議中にお互いの姿が映り込んでしまったり、書斎の窓側が寒かったりなど、地味ながらも深刻な悩みがあったそうです。
「お互いに、相手のオンライン会議が始まると音を立てないよう気を使っていたり、別の部屋に避難していました。家のいろんな場所で働いていると気が休まらない感じがして、『やっぱりたまにはオフィスに行きたいな……』と考えてしまう時期もあったんです。
とはいえ、2020年当時はコロナ禍でステイホームの真っ只中でとても出社できる状況ではない。だったらいっそ前向きにワークスペースの不満点をすべて洗い出して、一つひとつ改善していくことにしました」(mochikoAsTechさん)
一つひとつは我慢できる範囲でも、重なるとストレスになることに気づいた彼女は、まず「窓のそばが寒い」という問題に向き合います。窓を真空ガラスにリノベーションし、冷暖房効率をアップ。

『最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワーク環境の作り方~』より
「書斎づくりは、まずは窓の改善から着手しました。断熱のために真空ガラスを取り入れたんです。これで冷えに悩まされることなく、仕事に集中できるようになりました」
業務用パーテーションを導入して部屋を区切ったことで2人でも仕事に集中できるように

(撮影:小原聡太)
窓の次は、夫婦それぞれが仕事に集中できるよう、パーテーションを導入。それも業務用の、安定感があるタイプをY字に設置しました。6畳という限られた空間で、それぞれ約2畳ほどのパーソナルスペースを確保することができています。
「夫婦ふたり、それぞれ別の企業で働いているので、仕事中は一定のプライバシーが保たれるようお互いに気を使っていました。
相手がオンライン会議中は背後を通るのも気を使うし、細かなストレスがあったんですが、パーテーションを使って区切ることにより、普通に過ごしていてもカメラにはお互いの姿がまったく映らなくなったんです。パーソナルスペースが確保できたことで、仕事に集中できますし、没入感も増しました」(mochikoAsTechさん)
ぼんやりするのは二酸化炭素濃度のせい? 換気を徹底
パーテーションで快適な書斎が完成したかと思いきや、その後、また新たな問題が発生。夕方あたりから、頭痛がするようになったそうです。その要因のひとつは……?
「夕方になると頭が痛くなるという、ぼんやりとした不調があったんです。もともと6畳の部屋に大人2人、ずっとこもりきり。寒いから窓も締め切っていましたし、さらにはパーテーションで区切ったことにより、空気の循環が悪くなってしまったのです」(mochikoAsTechさん)

(撮影:小原聡太)
「困りごとが起きた時は、推測するより計測するのが大切です。まずは現状を把握しないと対策もたてられないので、すぐCO2モニターを設置しました。すると、時間の経過とともに二酸化炭素濃度が上がっていることがわかったんです」(mochikoAsTechさん)
換気の徹底をするだけでは、なかなか理想の数値にならなかったといいます。そこで、シーリングライトとサーキュレーターが一体型になった「シーリングサーキュレーター」を導入したそう。

(撮影:小原聡太)
「海外製のシーリングサーキュレーターを導入しました。何段階か設定でき、豪快に空気の循環をしてくれます。これで、年中快適な室内温度と二酸化炭素濃度をキープできるようになりました」(mochikoAsTechさん)
ウォークインクローゼットをオンライン会議ブースに改造

(撮影:小原聡太)
こんどこそ快適な書斎が完成、と思いきや、mochikoAsTechさんの探究は終わりません。オンラインイベントの登壇機会が多い彼女は、動画撮影に適した配信環境を求めるようになったといいます。
しかしもう部屋がない、どうしよう? そんな中でウォークインクローゼットをオンライン会議ブースに改造することを決意しました。

試行錯誤して今のかたちにアップデート(mochikoAsTechさん提供写真)
「一般的なウォークインクローゼットの広さなら、デスクを置いてちょうど快適に仕事ができるんじゃないか?とひらめいたんです。
壁面には吸音パネルを設置して、声が外に漏れ出ないようにしました。夫婦同時にオンライン会議が入っても、片方がこのスペースに入ってしまえば、お互いに声を拾ってしまう心配をせずに会議に参加できて安心感があります」(mochikoAsTechさん)

(撮影:小原聡太)
「あまりにオフィスっぽい見た目だからか、会議中に『出社されているんですか?』と聞かれることも多かったです。照明のほかに、配信用のライトを設置して、顔映りが良くなるように工夫したのもポイントです」(mochikoAsTechさん)
オフィスグリコやファミレスのドリンクバーに憧れてつくった一休みコーナーも
だんだんと出来上がっていく書斎。しかし、まだまだmochikoAsTechさんの欲は止まりません。
「会社といえば!のオフィスグリコを導入したい」「ファミレスや漫画喫茶のドリンクバーが欲しい」などの夢を叶えるため、仕事スペース以外も改善することにしました。

(撮影:小原聡太)
「オフィスグリコは個人宅では流石に契約できなかったので、同じような見た目の引き出しを購入し、小さめサイズのお菓子をたくさん入れておくことにしました。買ってくるのも食べるのも自分なんですけど、選ぶのが楽しいし、開けたときに好きなお菓子ばかりで気分転換になるんです」(mochikoAsTechさん)

(撮影:小原聡太)
ファミレス顔負けのドリンクバーにもこだわりが。紙コップのディスペンサーまで導入されています。
「お気に入りのティーバッグや、コーヒーメーカーのカプセルをたくさん用意しました。キッチンまで行けばお湯もわかせるし、マグカップもあるんですけど、『キッチンに立つ』だけでいったん仕事スイッチがオフになってしまうんですよ。
集中モードのまま仕事を一気に片付けたい私は、できるだけ書斎を出たくない。そこで、このコーナーでお茶からおやつ、ちょっとした軽食までカバーできるようにそろえたんです」(mochikoAsTechさん)

(撮影:小原聡太)
カップディスペンサーも買う前は「ここまでいる? フードコートみたいだけど?」と、悩んだそう。ただ、買ってみると、結果的に大満足だったのだとか。
「いちいち洗わなくていい紙コップは便利ですが、そのまま置いておくとホコリがたまったり、倒れたりして意外と管理が面倒だったんです。それが一気に改善されました」(mochikoAsTechさん)
ポテトチップスなどは食べすぎないように、多少割高になっても小袋タイプをそろえるのがポイントなのだとか。
窓辺には猫スペースも

(撮影:小原聡太)
2人で書斎にいると、3匹の飼い猫がやってくることも。窓辺につくった猫スペースは、彼らのお気に入りスポットなのだそう。
「飼い主が見える場所で眠れるのがうれしいようで昼間はずっとここにいますね。あとオンライン会議に映り込むと可愛い可愛いと褒められるので、猫たちも気分がいいみたいです。カメラに向かってポージングをすることもあります(笑)」

(撮影:小原聡太)
オンライン会議のコミュニケーションにも一役買っているのだとか。
書斎にも癒やしは欠かせない
仕事に集中するための書斎でしたが、あまりに居心地が良いため、業務終了後にも籠ることがあるのだそう。
「書斎の居心地が良くて、だんだん『仕事中だけじゃなくて、子どもが寝た後に本を読むときも書斎で過ごしたい』と考えるようになりました。
夜、夫はまだ仕事をしているけど、同じ空間にいたい気分のときが結構あるんですよ。本を読むのにオフィスチェアだと『仕事』モードになってしまうからくつろげないし、ゆったりできるカウチソファを設置しました」(mochikoAsTechさん)

(撮影:小原聡太)
6畳の空間にも対応できる、コンパクトサイズのカウチソファ。その周りを囲むのは、天井いっぱいの高さの大きな本棚。1cm単位でオーダーできるサイトで購入したそう。今は毎日本に囲まれて、幸せなのだとか。
テック系夫婦ならではのポイントも
夫婦ともにIT企業勤務で、多種多様なガジェットがあふれるこの書斎をつくりあげるまでには、さまざまな試行錯誤があったそう。

(撮影:小原聡太)
「ドッキングステーション選びには苦労しました。ディスプレイやライト、カメラなど、PCに接続するものがたくさんあるんです。ドッキングステーションにはPCや機器ごとに相性があり、いざ導入してみたらディスプレイがうつらないとか、マイクを認識しないとか、スリープから復帰すると機器との接続が切れてしまうとか、さまざまな問題がありました。今の機材に落ち着くまでには、いろいろ試行錯誤しましたね」(mochikoAsTechさん)
そんなmochikoAsTechさんが「導入して大成功だった!」と推すのは、「UPS(無停電電源装置)」。
「停電リスクに備えるのも大切です。コンセントと機器の間にUPSを接続すると、停電が起きても15分程度は、そこから電源がとれるんです。UPSがあることによって、ブレーカーが落ちてもネットが即座には切れません。
実際に一回、ブレーカーが壊れてしまったことがあるんですが、書斎は無事でした。仕事で重要な話をしていた途中だったので焦りましたが、前触れなく会議から切断されるのではなく、説明のための時間が確保できたので助かりました。
UPSは業務用のイメージがありますが一般家庭でもあると便利です」(mochikoAsTechさん)
書斎づくりで快適にはたらける環境になった
大満足で、この書斎づくりの様子を技術同人誌『最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワーク環境の作り方~』『最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワーク環境の作り方~2』にしたmochikoAsTechさん。
夫はどう考えているのか、聞いてみました。
「困りごとが起きたときに、どちらかが我慢してやり過ごすのではなく、一つひとつ相談しながら解決していったことで、いまはふたりとも非常に快適に仕事ができています。書斎をつくり込むことは快適にはたらくための投資なので、窓やパーティションといった大きいものから、キーボードやマウスなどの小さいものまで、どれもやってよかったねとふたりで話しています」(mochikoAsTechさんの夫)

(撮影:小原聡太)
最後に、mochikoAsTechさんにも書斎づくりにおいて大切なことを聞いてみました。
「これから企業がオフィス出社に回帰したとしても、家で働く時間はゼロにはならないと考えています。子どもが風邪をひいたときなど、自宅で働く日もあります。
『どうせオフィスに行くのに、家の設備を整えるのはもったいない』という考えもあると思います。でも思い切って楽しみながら整えていくと、きっと思った以上に得られるものが大きいはずです」(mochikoAsTechさん)
そんなにコストはかけられない、と尻込みしてしまう人には、こんなメッセージも。
「最初のうちは金額が大きいとためらってしまうこともありましたが、仕事をするための『おうちオフィス』を整えるんだ、と考えると気持ちが切り替わりました。
自分はおうちオフィスの『総務』なんだと思ってみてください。『総務として社員に快適にはたらいてもらうために何をすべきか?』と考えることで、これは無駄使いや贅沢ではなく必要なコストなんだと捉えられると思います」
おうちオフィスは、転職しても使い続けられます。「もっと集中して働きたい」という方、書斎づくりにチャレンジしてみては?
<mochikoAsTechさんプロフィール>
テクニカルライター。元インフラエンジニア。同人誌『最高のおうちオフィスではたらく ~快適なリモートワーク環境の作り方~』シリーズが2000部を突破。
<取材・編集:小沢あや(ピース株式会社) / 撮影:小原聡太>

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