w-inds.、 【w-inds. LIVE TOUR 2024-2025 “Nostalgia” The Final】オフィシャルレポート到着

 2024年7月13日の埼玉の初日を皮切りに、国内外・追加公演含め18公演というスケジュールで行った【w- inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”】を、2025年1月17日に神奈川・横浜パシフィコ横浜大ホールで無事完走させたw-inds.。このツアーは当初、埼玉・東京・神奈川・大阪(2days)・名古屋という6公演で発表されたのだが、各地でチケットが即日ソールドアウトとなったことから、9月16日の福岡からの追加公演を発表し、さらには海外公演を含む再々追加公演も行うこととなった、年を跨ぐロングツアーとなったのだ。

 “Nostalgia”と名付けられたタイトルと、“初期曲だけで構成するライブツアー”と銘打っていたことから、“あの頃のw-inds.”と“自らの青春”に逢いに集まったファン達も多かったに違いない。活動開始から25年を迎える2025年に相応しい、これまでのw-inds.のエンタテイメントと音楽への想いや精神的な成長がしっかりと伺い知れた素晴らしいツアーだったと感じた。

 慶太と涼平は、白い衣装に身を包んでステージ上段から揃って登場し、慶太が高い位置からフロアに向かって「いくぞ!」と叫ぶと、爆発音の特効が客席を煽った。大きな歓声に混ざって1曲目に用意された「Feel The Fate」のイントロが響き渡ると、客席からの歓声はさらに熱を増した。

 音楽の力は偉大だ。彼らがこの曲を歌い始めた途端、そこはこの楽曲がリリースされた2001年へと会場をタイムトリップさせたのだ。<普段は気にならないことも 無意味なものはないって 最近 少しつづわかりかけてきた 君と出逢えたことも 必然の中の偶然で 未来に 意味を持つように>。そんな歌い出しが、当時を鮮明に思い浮かばせる。変声期前後にリリースされている楽曲であることから、奥行きが深まった“今”の彼らの声で歌われる、まだ見ぬ未来を夢見る初々しくも愛しさが詰め込まれた言葉達が、“あの頃”とはまた異なる響き方で胸を打った。眠っていた胸の中の記憶を呼び起こされる感覚とでも言おうか。

 大きく手を振りかぶる振りが印象的なパフォーマンスと共に、ゆったりと踊りながら柔らかな声質で歌う2人。“2025年に流行っている振付”とは少し違うのだが、様々な音楽性にチャレンジし、それらを全てw-inds.の個性に変えてきた歴史が、そこに深みを与え、“新たな今らしさ”を生み出していた様に感じた。

 「Endless Moment」「Paradox」「四季」と、w-inds.の初期の楽曲のほとんどを手掛けていた葉山拓亮の作詞・作曲ナンバーが間髪入れずに届けられていくと、イントロが始まるごとに客席から懐かしさを含んだ歓声が上がった。メローな空気感が実に美しく描き上げられた、あたたかな郷愁感が胸を締め付ける。メロディの美しさはもちろん、しっかりと目に焼き付いている当時の彼らの姿がそこに重なることも相俟って、このツアーのタイトルである“Nostalgia”に、すっかり引きずり込まれていくのだ。結成当初のメンバー編成(結成当初は3人編成)と変わっていることから、このツアーでは4人のダンサーと共に当時のパフォーマンスにアレンジを加え“古きを重んじながらも今のw-inds.に仕上げている”ことから、見え方は確実に当初のままではなく明らかに変化しているのだが、その変化をも自らの成長に変え、ここに辿り着く為の必要不可欠な時間であったのだと、2人の歌とパフォーマンスが教えてくれていた気がした。

 デビューした当初、まだ初々しかった彼らが、これらの楽曲を、振りを大きく魅せるために、少し背伸びをしながら精一杯手を伸ばし、一生懸命に踊りながら歌っていたのを思い返すと、言葉にならないほどに感慨深い。その当時の光景が、自分でも驚くほど脳裏にハッキリと記憶として残っていることが、自分の生きてきた証としても、なんだかとても愛しく思えた。そんな感情に気付かされたのは、会場中がそんなあたたかな空気に包まれていたのを肌で感じたからだった。MCで彼ら2人も、「いつもとは違う、自分達をあたたかく見守る客席の特別な温度を感じる」という話に触れ、客席を笑わせた後、改めてこのツアーを追加公演も含め無事回れたことに感謝したのだった。ファイナルを担う16日と17日では、これまでやってこなかった楽曲を選曲していることを予告し、慶太が「僕達、一筋縄ではいかないですから!」と、重ねて客席の笑いを取ったのだが、「新たなセットリストを用意している」ことを“一筋縄ではいかない”という言葉を選んでファンに伝えた慶太のMCセンスに対してしばらく笑いが止まらなくなった涼平がいた。ゆるい会話の中で垣間見れる2人の相変わらずなやり取りと、変わらない関係性に、ファン達は優しい笑みを浮かべていた。

 そんな和やかな空気の中で届けられた「Another Days」はとても優しく心に響いた。ディスコティックな高揚感で客席を揺らした「SUPER LOVER~I need you tonight~」では、“KT”“涼平”“w-inds.”でオーディエンスとコール&レスポンスを楽しみ、続けて椅子を使った滑らかなパフォーマンスで、約束通り、追加公演の為に差し替えたという「空から降りてきた白い星」を伸びやかに歌い上げた。この流れで届けられた「Baby Maybe」「Night Flight~夜間飛行~」では、明らかにこの曲を聴けたことを喜ぶ歓喜の声が客席の方々で上がっていた。この反応こそは、この楽曲が、w-inds.の隠れた名曲の一つであることを証明していた瞬間でもあったと言っていいだろう。

 MCを挟んでオーディエンスを席に座らせる様に導き、バラードブロックとして「Dedicated to You」「ageha」「Deny」を届けた。じっくりと聴かせる為にメロディに乗せた歌声は、彼らの歌い手としての実力の成長をより見せ付けられた時間となった。

 デビューした当初から、慶太の歌唱スキルはずば抜けており、生まれ持った個性である曇りのない透き通った声質と想像を超える音域の広さはw-inds.というアーティストを唯一無二の存在に押し上げた最強の武器となっていた。その実力はメンバーである涼平も一目置くほどで、涼平はメインボーカルを担う慶太のサポートにまわり、当時はコーラスやラップに専念していたのだが、涼平の声の魅力にいち早く気付いた慶太は、かなり早い段階から“涼平くんもメインボーカル歌った方がいいよ!”と勧めていたのだ。涼平は、ダンスにしかり、歌唱にしかり、彼を知るダンサーやシンガー達が挙って「涼平くんはヤバい」と口を揃えるほどの実力の持ち主であるのに、控えめで引っ込み事案な性格故に、常に遠慮がちなのである。メンバー編成が変わったタイミングから、涼平も慶太と共にメインボーカルを務める様になったのだが、やはり最初はそんな遠慮がちな性格が邪魔をして、やはり何処かで“慶太を支える為”に歌っている印象が強かったのだが、アルバム『Beyond』(2023年3月14日にリリース)ではしっかりとメインを担う責任感と振り切った感情を感じることが出来るボーカリストへと成長していたのが伝わってきていた。『Beyond』のインタビュー時に、レコーディングの制作に全面的に関わっている慶太が、“涼平くんの歌はほぼ直すところがなかった”と、語っていたほどだったのだ。

 そんな涼平の成長は、ライヴが始まった1曲目から驚きを隠せないほど実感したのだが、このバラードブロックでは、その瞬間の感動を超えた最高の歌声であった。慶太の歌声を常に近くで聴いていたこともあるからだろうか、涼平と慶太の声の相性は素晴らしく良く、2人の声が重なる瞬間は、何者にも変えられない心地良いユニゾンやハーモニーを生み出していた。それは優しく、角のない美しい歌声であり、唯一無二であり、“その歌声こそがw-inds.”であった慶太のボーカルと並ぶ涼平の歌声は、決して慶太に劣ることのない、素晴らしい歌声に成長していたのである。その成長は、目を逸らすことなく自分達の過去と向き合う時間となった【w- inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”】があったからこそのものだったと感じた。

 そして、世の中の音楽の流行りの傾向や、国ごとのトップチャートの違いや、音楽の仕組みなど、とにかく真摯に追求し、いち早くその感覚をw-inds.に持ち込み、変化させ、成長させてきたプロデューサー的な立場も担ってきた慶太と、その挑戦の全ての良き理解者として、共に挑戦することを厭わず寄り添い支え、その挑戦を乗り越えてきた涼平は、25周年を迎えようとするw-inds.を本当に愛しく、大切に想い、そこに敬意を持って向き合っていることが、痛いほどに伝わってきた。様々な葛藤と向き合い、試行錯誤しながら辿り着いた、今のw-inds.は最強だ。
後半戦のブロックで届けられた「try your emotion」「変わりゆく空」「Love is message」では、一緒に歌うオーディエンスの歌声が聴こえてきた。

 <始まりの朝 僕らが見つけたもの いつか思い出に変わるまで 抱きしめて 離さないよ>、そう歌われる「変わりゆく空」の歌詞を、今の彼らが歌うことで、あの頃の“僕ら”に、“大丈夫。ちゃんと素敵な思い出に変えられているよ”と、そっと微笑みかける様なあたたかさが宿った気がした。この先もきっと、彼らがw-inds.の歴史を重ねていく度に、1曲1曲に説得力と奥行きが増していくのだろう。

 そして、追加公演での入れ替えナンバーとして届けられた「Winter Story」を歌い終えてからのMCでは、改めて24年続けて来れたことへの感謝を語り合いながらも、台本のないグダグダ気味の2人の会話から構成されているMCについて、“みんなが甘やかすから、こんなグダグダなw-inds.が出来上がっちゃったんですからね(笑)!”と笑わせた。

 その後に届けられた<どんな涙も意味があるから 出逢いのように別れ受け止めたい 無くした君も まだ見ぬ人も 未来のどこかで 行き交っていく on My Own Road><廻り道でも 迷ってもいい 其処に咲く花を見つけるから 旅立ちはそう いつも孤独さ 雨なら打たれて 風に吹かれ さあ行こう>と、彼らが歩む道を予言していたかのように背中を押してきた「Long Road」も、歌詞の意味に自らの経験を重ねて歌えていることが、今の彼らの歌声から伝わってきたのだった。もちろん、忘れることなくデビュー曲の「Forever Memories」も届けられ、アンコールでは2021年にリリースされた、慶太が全てを手がけた最近の楽曲「Strip」も届けられた。ただ昔を懐かしむだけの時間ではなく、ちゃんと過去の自分達も一緒に未来へ連れて行きながら、“もっともっとw-inds.を進化させていくから”という彼らの熱いメッセージを感じた締めくくりであった。

 彼らは3月14日の名古屋を皮切りに、福岡、神奈川、宮城、大阪、東京とまわるファンクラブ・ツアー【w-inds. FAN CLUB LIVE 2025″Nostalgia:Echoes”】の幕を開ける。3月14日といえば、彼らが「Forever Memories」でw-inds.としてデビューした日。25年目のデビュー日から、一番近くで、ずっと支え続け、共に歩んでくれたファン達の為のツアーをスタートさせるとは。なかなか、いや、かなりなツンデレならぬデレデレである(笑)。それだけ愛が深いということ。それだけ感謝が深いということであろう。ここでは【w- inds. LIVE TOUR 2024 “Nostalgia”】で披露出来なかった過去曲達を届けてくれることになる。

 また、このツアー中に16枚目のオリジナルアルバム『wanderlust』をリリース(3月26日)することも発表していることから、ここでいち早くお披露目になる楽曲も期待出来るのではないだろうか。

 いつもの帰路(みち)も 眠れぬ夜も すべてが明日へと繋がっていくーーーー。
そんなことを教えてくれたw-inds.。そして、そんな彼らを共に支えたファン達。そんな両者の幸せそうな笑顔が重なり合うあたたかい空間が、ずっとこの先も続いていきますように。

Text by 武市尚子
Photo by KIPPEI OGATA

◎公演情報
【w-inds. LIVE TOUR 2024-2025 “Nostalgia” The Final】
2025年1月17日(金)神奈川・横浜パシフィコ横浜大ホール

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