恐ろしくも魅惑あふれる実験的な映像をどのように実現したのか? 大ヒットを記録した低予算ホラーの制作裏を紐解く!
北米で異例の大ヒットを記録した、内なる最も深い恐怖が目覚めるイマジネーション・ホラー『SKINAMARINK/スキナマリンク』が、2025年2月21日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷・新宿シネマカリテ・池袋HUMAXシネマズほか全国公開となります。
「史上最も恐ろしい映画」「本能的な恐怖を思い出す」とネット上で賛否両論を呼んだホラー映画『SKINAMARINK/スキナマリンク』は、多くのメディアが2023年のベストホラームービーに挙げるなど、バイラル・センセーションを巻き起こし瞬く間に大ヒット! “血も涙もない”といった声が続出し、北米中が阿鼻叫喚と化した話題沸騰作がついに日本上陸!
人々の悪夢を再現した短編映像をYouTubeチャンネルに投稿し、新鋭の映像作家としてキャリアを重ねるカイル・エドワード・ボールは本作が衝撃の長編監督デビュー作。制作費はわずか15,000ドルにもかかわらず、692館という異例の規模で北米公開され、最終興行収入は約200万ドルという驚異の数字を叩き出した。まるで現実と悪夢の境界を彷徨うような実験的な映像と解釈を委ねるミニマリスティックな演出が、魅惑的で悍ましい映像体験へと誘う本作。暗闇に照らされた異様な光景を目の前に、身体は恐怖に縛られ、自ずと掻き立つ想像力によって観る者をさらなる阿鼻叫喚の渦に突き落とす―。超低予算ホラー映画の金字塔『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』『パラノーマル・アクティビティ』を超える、未だかつて誰も体験したことのない最恐イマジネーション・ホラーとなっています。
低予算でもメガヒットを飛ばした創意工夫とは? 最恐ホラー『SKINAMARINK/スキナマリンク』制作舞台裏に迫る
数多くの北米メディアが“2023年のベストホラームービー”と称賛したホラー映画『SKINAMARINK/スキナマリンク』を手掛けたカイル・エドワード・ボール監督。低予算ゆえの限られた時間・表現の中でいかにして本作が作られたのか。最終興行収入約200万ドルとメガヒットを記録させた新進クリエイターたちの工夫・アイデアに迫る。
本作の撮影監督を務めたジェイミー・マクレーは、インディペンデント映画・ビデオアーティストとして活躍している。彼の作品は、デジタルビデオに加えて、セルロイドの16ミリフィルムで撮影することで知られており、作品の評価は、“鎮静剤を使ったパンクロック”、“人間の魂の腐敗”といった表現が踊り、ホラー映画の撮影監督として最適な人物が担当している。
本作は監督の両親の家で撮影されたが、窓は遮光され、点滅するテレビの光が唯一の照明であったという。クルーや大規模な撮影の電気設備なしで作業したマクレーは、漆黒の空間でも高感度に撮影ができると、プロのクリエイターたちから重宝されているFX6(ソニー製)を本作でも使用。さらに必要な場所に少し色味を出すために、カメラに小さな LED パネルを取り付けて撮影に臨んだ。マクレーは「FX6は弱光でも非常に優れた性能を発揮し、実際に自然な仕上がりで、ルックに大きく貢献しています。粒状感というよりも、カメラのノイズですが、うまく機能しています」と、FX6の美点についてコメントを残している。
そして、非常に暗い映像をさらに真っ黒に見せるために新たなトリックも開発された。「カメラにSUN GUNを取り付けて、そこに青いフィルターを付けた状態で少し下向きに傾け、半赤外線装置を作りました。カメラテストの段階で作ったのですが、少し色を調整して彩度を少し下げただけで、“あ、彼らは暗闇の中にいる”という印象を与えることができました」と監督は言う。編集時にはデジタルフィルターを使って、監督の愛するビンテージのホームムービーや VHS の転送映像により似た映像に近づけるなど、不穏かつおぞましい恐怖映像を、ある種実験的な手法で作りあげていったという。
また、音声はすべてアフレコで、その効果はヒスノイズやハムノイズが幾重にも重なり、ささやくような台詞を歪ませるという不穏なものになっており、監督は「70年代から保存されていないフィルムの古くて傷だらけの再録音のような感じにしたかったので、シーンやカットによって、ヒスノイズやハムノイズを上手に使い、それによってストーリーを語れることを発見したので、音をいじるのはとても楽しかったです。」とコメントを残しており、ぜひ音の臨場感にも注目してご鑑賞いただきたい。
まばらなセリフ、印象的かつ抽象的な映像、そして刺激的なサウンドスケープで物語全体を語る本作だが、非伝統的なストーリーテリングのテクニックや、オンラインで利用できるツールやフィルターを活用したことについてマクレーは「インスタグラムでメッセージを送ってくれたり、ウェブサイトからメールをくれたりして、この映画のルックが気に入った、ずっとこういう映画に挑戦したいと思っていた、と言ってくれる人たちがいます」と観客にもよい影響を与えていると言い、「私たちが誰か1人にでも、本当に奇妙な映画を作るきっかけを与えることができれば、とてもうれしいです。個人的には、もっと奇妙で実験的なアートを作ろうとする人が出てくることを願っています」と本作を超える作品が生まれることに期待を寄せている。
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