名優・村上弘明が独立 「僕の魅力?『田舎者』である事です(笑)」「現在はシナリオを書いているんです」
仮面ライダーシリーズ、必殺仕事人シリーズ、NHK大河ドラマ「炎立つ」主演など輝かしい経歴を歩んできた、俳優・村上弘明さんが所属事務所を独立することになりました。
「きっかけとして、昨年、海外のドラマのApple TV+の『パチンコ』という作品のオーディションに受かったんです。それで1ヶ月向こうに行って撮影してきました。それが日本で撮影しているのとあまりにも違いすぎました。お金のかけ方、スタッフの人数、機材、カメラの台数とか。海外でやることも含めてそうですけど、やっぱり一番ネックになったのは英語がしゃべれないっていうことですね。僕は30年ほど前に向こうの作品に出まして、ある程度英語の勉強をしてしゃべれるようになりましたそこで通訳を介して英語を話すというのが非常にもどかしくて、やっぱり英語を勉強してみよう、と。英語の勉強をしていろんな媒体にトライしてみたいなといういろんな思いがふつふつと醸成してきました。それが辞めるきっかけになりました」
提携はしているけれど個人事務所的な感覚が大きいと言います。
「事務所のほうで取っていただく仕事はそれでやりますし、情報をいろいろ共有していきたいと思っています。そうですね、まるっきりお任せ状態でしたから。それだと自分の意志が伝わりにくい、風通しがよくないので。ガラス張りという状況が本来のやり方ではないだろうかな、と。自分に喝を入れる意味でも、まず辞めなきゃいけないな、と思いました。下準備をしてからではなくて、まず辞めてから考えよう、という事ですね」
誕生日迎えると68歳。現役へのこだわりをこう語ります。
「走れるうちですね。いまランニングはやめたんですけどウォーキングとジョギングをやってるんですね。上り坂になると走って下り坂になると歩く。平らなところは信号によりけりで走ったり歩いたりするんですけど。最後に上り坂を走るんです。これがいまできてるんで、まだまだ立ち回り、あるいは『必殺仕事人』のイントロくらいはまだできるかな、と(笑)。あといま本を一生懸命読んでるので、脚本を書けたらいいかなと思ってます。シナリオにトライしてみたい思いはありますね。1本2本は書けたらいいなと思って、いまいろんな本をインプットしています」
シナリオについての意欲も熱いようです。
「僕は岩手県の陸前高田出身なので、震災のことは非常に衝撃だったんです。それに付随する作品、映画とかテレビドラマとか出演したんですけど、やっぱり何か違うんですね。何か違うというのは、やはり他の方が監督して書いてっていうと、何かが伝わってこないというか。僕はそこで生まれ育った人間ですから、そこの雰囲気というか、やっぱりそれは言葉に表れてくる、リズムに表れてくるんです。それと警視庁のポスターをやっているので、刑事もの1本書けたらいいなと思っています」
「ご自身で思う村上さんの魅力ってどんなところですか」という問いにはこんな答えが返ってきました。
「僕の魅力は『田舎者』ですね(笑)。陸前高田の広田町という漁師町ですからね。喫茶店も何もないようなところで生まれ育ったわけです。それが高校卒業して仙台で浪人して、名画座で映画を観まくって東京に出てきて大学に入って、それのデビューが『仮面ライダー』なんです。僕にとっては東京というのは非常にワンダーランドというか、別の世界に迷い込んだという意識があるんですね。実を言うとまだそれはあるんですよ。まだ根っこの部分は田舎者という感じがあるんですね。それはいまとなっては自分の魅力なのかなと思ってます」
コロナ期はひたすら読書に励み、知識のインプットにつとめました。
「本棚には今までの何十年分の本があります。何から読もうかなと思ったときに、ドストエフスキーとトルストイだったんですね。これをまず読もう、いま読まなかったらおそらくこれは一生読まない、と。で、必死で読みました。それが僕にとってひとつ精神的な刺激だったと思いますね。『罪と罰』から『カラマーゾフの兄弟』『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』とか。あの本との出会いが自分を覚醒させるものでした。それくらい僕にとっては超ド級な出会いだったと思います。だからコロナでいろんなイベントがなくなったあの期間は僕にとってギフトだったかなと、いまはそういう感じがします」
実際の事件を基にした作品もありますけど、ノンフィクションの魅力についても熱く語ります。
「ノンフィクションは大好きです。冤罪事件とか、そういったものがどこまで表現できるかわかりませんけど、描けたらいいなと思いますね。いま、非常に混沌としてますよね。何が正義で何が悪かホントにわからなくなってきた。実を言うと前からわからないんですけど。それがたぶんYouTubeとかネットによってだんだん嘘のような偏向報道が……みなさんを前にしてこんなこと言うのもあれですけど(笑)。ジョージ・オーウェルの『1984年』みたいな世界が起きているんじゃなかと思うんですね。それは自分の頭で考えて、自分で取材して自分で見て、自分の感性で感じながら。歴史ってたぶん感情で動くと思うんですよ、理屈で動くんじゃなくて。その自分の感性を大切にしていく。親からもらった感性を大切にしていこうという観点で、そういった警察ものを書いてみたいなと思ってます。
今も書いてます。実は前から書いていますがなかなか進まないんですね。でもやるとなったらやりたいとは思ってるんですけどね。時間を決めてギュッとやるんではなくて、いろんな本を読みながら、そのなかからこれをここに加味したらいいかなというのがたくさんありまして。それは古典に限らず。古典にもけっこうあるんですけど、これはいまでも変わってないなとか、これを取り入れたら面白いかなっていう、そういうものを作っていったらいいかなということで、最初の3シーンぐらいできて、途中途中でこういうの入れよう、ああいうの入れようっていうのはできてます」
熱く将来の夢を語る村上さんですが長年所属されていた場所を離れる不安はなかったのでしょうか。
「あります、不安だらけです(苦笑)。不安というのは逃げ道なんですよね。不安ということを理由に暖かい巣に埋もれていよというね。それは人としてどうなんだ、と。この歳になって親の庇護の下にいるのではなく、与えられた時間もそうないわけですから、自分でものを考えていろんなものを吸収するには、まずいまの事務所を辞めようと思ったんです。組織というのは長年あると旧態依然となって、時代から取り残される存在になるのは歴史的な部分で必然だと思うんですよね。ですからこれは自分が変わっていかなきゃいけない。そういうことだと思います」
数々のドラマ、映画をこなしてきた日本の名優が次なる「夢」である「シナリオ制作」について語りました。本サイトも村上さんが描く「世界」を見てみたいと思いました。(文@編集部 写真@菊池茂夫)
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TABLOとは アメリカが生んだ、偉大な古典ミステリーの大家レイモンド・チャンドラー作品の主人公フィリップ・マーロウの有名なセリフがあります。 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」 人が生きていく上で、「優しさ」こそ最も大切なものであることを端的に表現した言葉です。優しさとは「人を思いやる気持ち」であり「想像力を働かせること」です。弱者の立場に立つ想像力。 「人に優しく」 これは報道する側にも言えることだと思います。 現在、ヘイトニュース、ヘイト発言、フェイクニュースがネットの普及に従い、増大しており、報道関係者の間では深刻な問題となっています。そこには「人に優しく」という考えが存在していません。 なぜ、ヘイト(差別)ニュースがはびこるのか。「相手はどういう感情を抱くのか」という想像力の欠如がなせる業です。ヘイトによって、人は人に憎悪し、戦争が起き、傷ましい結果をもたらし、人類は反省し、「差別をしてはならない」ということを学んだはずです。 しかし、またもヘイトニュースがはびこる世の中になっています。人種差別だけではありません、LGBT差別、女性差別、職業差別等々、依然としてなくなっていないのだな、ということは心ある人ならネットの言論にはびこっていることに気づいているはずです。本サイトはこのヘイトに対して徹頭徹尾、対峙するものです。
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