【ライヴレポ】紫 今が魅せた「クレオパトラも見惚れちゃう」ほど圧巻の歌声──〈Mulasaki Ima LIVE 2024 "Episode 0+”〉
2024年10月24日。
今年2024年にリリースした楽曲“魔性の女A”がTikTokなどSNSでバズヒットを飛ばし、「クレオパトラも見惚れちゃう」というフレーズとともに一躍大きな話題を集めた紫 今。
この日は、8月22日に行われた初のワンマンライブ「Episode 0」の追加公演として開催されたもの。会場には若年層を中心に、通称「今民」と呼ばれるファンが集結。これからどんなアクトが繰り広げられるのか、その瞬間を「今か 今か」と待ち望んでいた。
ラウドなSEが鳴り響き、バンドメンバーと共に紫 今が姿を現す。登場するや否や、大きく発声を行うと、セットリストの1曲目“ゴールデンタイム”でライヴのスイッチを入れる。その堂々たる佇まいは、8月にはじめてのワンマンライブを行ったとは思えないほど、大物の風格を感じさせた。
挨拶を挟み、ライヴはさらに“エーミール”、4naのカヴァー“某夜 feat.紫 今”へ。跳ねるようなグルーヴで代官山ユニットに集まった今民たちを爆踊りさせていく。時折、「こんなもんじゃねえだろ代官山ー!」とフロアを沸かせる姿は、まるで数々のライヴハウスを渡り歩いたロックスターのようだった。
続いて紫 今は“Soap Flower”、“夢遊病”、“無言電話”の3曲をパフォーマンス。この3曲はどれも「別れ」をテーマにしたものであり、続けて聴くことで、ストーリーが生まれるセットリストだ。ひとつひとつの歌詞を、大切に歌い上げるようなその歌声には、胸が締め付けられ、涙が溢れてくるようだった。
作詞・作曲・編曲、すべてを自身で手がけている紫 今だが、その楽曲の味をさらに引き出しているのは、その表現力の高さだ。この日のライヴでのパフォーマンスを見ていると、音源だけでは味わうことのできない底知れぬ凄みが確かにそこにあった。
「別れ」をテーマにした3曲を歌い終えたあとは、ここで事前に告知していた新曲を初披露。「これはタオル回しする曲だからね!」と伝えていた通り、サビではグッズの紫のタオルがくるくると回っており、フェスやイベントでも大きく盛り上がりそうな、ライブには欠かせない曲になりそうな予感を感じさせた。
ライブはさらに“正面”、“Server Down”と続き、MCのコーナーへ。ここでは「弟が私の音楽に厳しすぎる件について」というテーマのエピソード・トークを披露。紫 今によれば、彼女の弟が新曲を作るたびに「今回の曲微妙だね」と痛烈な毎回ダメ出しをしてくるのが恒例という。しかし、そんな弟もTikTokには「いいね!」、「保存」、「再投稿」をしてくれるというツンデレなところがあるのだと語し、会場は笑顔に包まれた。
MCは、そこから家族の話へ。これまで様々なジャンルの楽曲を発表してきた紫 今だが、そのルーツには、ジャンベ奏者だった父親と、ゴスペルを愛する母親の影響が大きいという。ライヴはその話の流れから、ゴスペル調のパートが用意されている、“学級日誌”という壮大なバラードへ。学校生活を舞台に様々な人々の生き方を描いた楽曲を、丁寧に丁寧に歌い上げ、圧巻の歌声を響かせた。
紫 今というアーティストの魅力は、その歌声の多彩さにある。高音も低音も使い分けながらも、パワフルにもウィスパーヴォイスでも歌える、それでいて安定感が感じさせるヴォーカルはかなり稀有な存在だ。いまの音楽シーンのなかでもこれは一際輝いていくだろうと思えた。
続いて“酔い夏”を熱唱すると、ここからライヴは後半戦。続いて歌われたのは、紫 今を一躍大きな話題にした楽曲“魔性の女A”。紫 今は、ステージを一度去り、「クレオパトラも見惚れちゃう」ほどの妖艶な衣装へとチェンジ。観客は「待ってました!」とばかりに盛り上がり、大きなグルーヴを生み出していった。
ボルテージが一気に上がった客席に、紫 今はさらにベースラインが印象的な“Not Queen“、疾走感のあるロック・ナンバーの新曲、アップテンポな“フラットライン“とキラー・チューンを畳み掛ける。
そして盛り上がりが最高潮に達するなか披露されたのは、“凡人様”。サビでは、「凡人様ー!」「Hey!」のコール&レスポンスも発生。さらには盛り上がりすぎたため、「もう一回やる?」と最後のサビのブロックを増やすというファンにとっては嬉しいサービスも。観客とコミュニケーションをとりながら楽曲を作って行く様子は、紫 今のライヴの上手さを感じさせた。
ツアーのお知らせを挟み、最後に披露されたラストチューンは“ギンモクセイ”。曲間には「一緒に歌える?」と問いかけると、大きな大合唱が起きていた。これまでのライヴのなかで、「いけんのかー!」「そんなもんじゃねえだろー!」と叫んでいた彼女だが、最後に優しく今民への感謝を伝える姿には、彼女もその弟同様にツンデレ属性があるのではないかと思った。
こうして、大成功に終わった「Mulasaki Ima LIVE 2024 “Episode 0+”」。最後のMCのなかで、「いつか皆さんとドームで会えることを願っています」と夢を語っていた紫 今。彼女の旅はまだまだはじまったばかりだが、その存在は音楽シーンにおいて、ここから大きくなっていくだろう。そんな可能性を強く感じるライヴだった。
取材&文:西田健
Photo by Ryotaro Kawashima
セットリスト
紫 今〈Mulasaki Ima LIVE 2024 “Episode 0+”〉
2024年10月24日 at 代官山UNIT
M1.ゴールデンタイム
M2.エーミール
M3.某夜 (4na cover)
M4.Soap Flower
M5.夢遊病
M6.無言電話
M7.新曲
M8.正面
M9.Server Down
M10.学級日誌
M11.酔い夏
M12.魔性の女A
M13.Not Queen
M14.新曲
M15.フラットライン
M16.凡人様
M17.ギンモクセイ
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ツアー情報
【Mulasaki Ima LIVE 2025】
■3/29 (Sat) 愛知・名古屋ell FITS.ALL
(OPEN 17:30 / START 18:00)
■3/30 (Sun) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
(OPEN 17:00 / START 18:00)
■4/5 (Sat) 大阪・梅田シャングリラ
(OPEN 17:15 / START 18:00)
インフォメーション
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