【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

2024年10月30日、泉大智が東京キネマ倶楽部にて、〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉を開催した。

DISH//のドラマーとして活動しながら、ソロ・プロジェクトを始動した泉大智。今年2月に配信シングル「nerve impulse」をゲリラリリースするとともに活動開始を発表、3月には初のEP『INQUIRING MIND』をリリースし、9月からは、福岡LIVE HOUSE OP’sを皮切りに〈泉大智 Live House Tour 2024〉と題したツアーでライヴハウスを回ってきた。この日のライヴは、全公演即日完売を受けてその追加公演として東京キネマ俱楽部にて行われたものである。

開演時間を迎えると、ムーディーなSEとともに、バンドメンバーがステージへ。
そして泉が姿を現すと、客席からは会場を揺らすような大きな歓声が沸いた。泉はそこからステージ中央へと向かいギターを抱えると、まずはセッションからスタート。客席から鳴り響くクラップに呼応するように、泉もギターをかき鳴らし、バンドメンバーと共に徐々に会場のヴォルテージをあげていく。

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

セットリストの1曲目は、“nerve impulse”。泉はディストーションの効いたギターで音を歪ませながら、オルタナティヴ・ロックの衝動を解放していく。スリリングなサウンドでフロアの空気を自分の色に染めると、続く“Deep Meditation”では、プロディジーのようなミクスチャーの音像を全開に。普段はドラマーとしてバンドの屋台骨を作る泉だが、今宵ギター・ヴォーカルとしてステージに立つ彼から感じたのは、確かなフロントマンの風格であった。

泉はさらに、新曲としてミディアム・バラード“Today”を披露。泉の真摯に想いを伝える歌声に、泣いているファンの姿も見られ、その後のMCでは「そこ泣いてるやん!」とコミュニケーションを取る場面も。この温かな空気を作り出すことができるのは、彼の飾らない人柄によるものだろうと思った。

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

ちなみに、このツアー前にリリースされた楽曲は、EPに収録されている4曲のみ。しかし今回のセットリストはカヴァー楽曲などを挟んだりするわけではなく、このツアーで初披露する新曲がほとんどである。そういったストロング・スタイルをとったのは、「いま自分がなにを表現したいのか」を強く打ち出したかったのだろうと推察する。

ライヴはそこからUSインディー風のサウンドが特徴的な“MIRROR”、新曲の“逃避行”へと続く。ライヴはさらに短いセッションを挟み、泉によるアコースティック・ギターでの弾き語りから“wandering”を熱唱。「生きること」をテーマに書かれた歌詞が、まっすぐ胸へと届いてくる渾身の演奏だった。

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

このライヴにおいて欠かせなかったのは、中田海都(Gu.)、寺坂尚呂己(Ba.)、武亮介(Dr.)というバンド・メンバーの存在だ。泉を含め、この4人が生み出すソリッドなサウンドが、大きなグルーヴを生み出していた。MCでは、このツアー中はライヴ後毎回のように4人で宴を行っていたと話す場面も。泉が酔っ払って、あられもない姿を見せていたという裏話が披露されると、客席からは爆笑が起きていた。

ライヴはここから後半戦。“Long Time”では、ベースのリフを主体に、怪しげな世界観を提示。続く“chelsea hotel”ではBPMをぐっと下げ、会場である東京キネマ倶楽部の雰囲気にもマッチした、セクシーな雰囲気を醸し出す。さらにここで「まだまだこんなもんじゃねえだろー!」とグランジ・ロックへの大きな愛とオマージュを捧げるような楽曲“涅槃”へ。最高潮に盛り上がったフロアに、そのままタイトル通りの超絶パンク・チューン“PUNK!!!!”を叩き込むと、大勢の拳が上がり、ステージと客席との大きな一体感が生まれていた。

泉は最後に、ピュアな気持ちで作り上げたという楽曲“晩夏”を披露。スポットライトをあびながら、大切に大切に言葉をメロディーに乗せる、その姿には音楽を通して自分のメッセージを伝える、という彼の大きな信念を感じた。

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

ライヴはここで終わりだったのだが、アンコールを求める鳴り止まない拍手に、バンドメンバーと泉が再びステージへ。元々予定になかったというアンコールでは、この日1曲目に披露した“nerve impulse”を熱唱。泉は客席に降りて観客に揉まれながらギターをかき鳴らすなど、このソロ・プロジェクトを心から楽しんでいるのがその表情からも伝わってきた。歌い終えると「もう一回行ける?」と、そのままなんと連続で3回“nerve impulse”をパフォーマンス。回を重ねるごとに急速にボルテージが上がり、会場の熱量がピークに達していくのを感じた。この自由で衝動的な空気を味わえるのも、ソロならではの醍醐味なのだと思った。

こうして、〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024〉はノイズの轟音が響くなか、「あざしたー!」と泉が言い放ったままに幕を閉じた。とにかく「泉大智」というひとりのアーティストのなかに眠る、プリミティヴな衝動を存分に感じる一夜だった。まだまだ走りはじめたばかりの泉大智のソロ・プロジェクト。今後どんな音楽を我々にぶつけてくれるのか、今後も目が離せない。

【ライヴレポ】泉大智がソロ・プロジェクトでぶつけた、ロックの衝動──〈泉大智 LIVE HOUSE TOUR 2024 追加公演〉

取材&文:西田健
photo by Naoya Matsushita

「泉大智 Live House Tour 2024 追加公演」セットリスト

1 nerve impulse
2 Deep Meditation
3 Today
4 MIRROR
5 逃避行
6 wandering
7 Long Time
8 chelsea hotel
9 涅槃
10 PUNK!!!!
11 晩夏

EN1 nerve impulse
EN2 nerve impulse
EN3 nerve impulse

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