ハロウィンだし魚の皮を貼って半魚人ごっこをしてみた結果 →これで2,000億円企業に成長した会社があるという事実が判明
みなさま、ハロウィンの季節ですね。今年のコスプレはもうお決まりですか?
先日私は魚の皮を体に貼って半魚人になれないかと試行錯誤を繰り返していました。その時ふと思ったのです。
「魚の皮って人間の皮膚に良い影響を与えたりしないのかね?」と。
そこで調べてみると、なんと驚くべき研究論文やニュースがたくさん出てきました!
どうやら魚の皮は火傷の治療をはじめ、皮膚の再生医療に有効だそうなのです!
ティラピアの皮
ティラピアはカワスズメ科の淡水魚で、世界中で食用とされている魚です。
2017年にブラジルで、ティラピアの皮を直接患部に貼るという新たな火傷治療の臨床実験が行われて話題になりました。
その後も数々の研究がなされ、ティラピアの皮はⅠ型コラーゲンを多く含み、人間と同じ程度の水分、病気に対する抵抗力があることが分かりました。
そして引っ張り強度が高く、人間の皮膚と形態が似ており、患者の痛みを軽減して雑菌から守ってくれることから、理想的な「絆創膏」になるのだそうです。
さらにティラピアは川に大量に生息しており、かつ、皮は通常捨てられてしまうものなので、その皮を利用することで治療費の大幅な削減に繋がることからも、世界中で注目を集めています。
ティラピアの皮は火傷治療以外でも腹部ヘルニアの矯正や心臓弁の修復、角膜損傷の再生治療などに効果をあげ、さまざまな使い方が研究されているそうです。
アイスランドでも
アイスランドでも魚皮が傷の治療に使われています。
魚皮に含まれるオメガ3脂肪酸には傷の回復を早める作用があります。
また魚と人間の進化の違いにより、他の哺乳類の組織を用いた皮膚代替品よりも魚皮のほうが、病原菌やウィルスが皮膚を媒介して感染するリスクが低くなります。
この点に着目したアイスランドのKerecis(ケレシス)社は、慢性創傷の治療に用いる魚皮「Omega3 Wound」を開発し、米国食品医薬品局 (FDA) の認可を受け、細胞療法や再生医療市場において魚皮の使用を先駆的に進めています。
Kerecis社は2023年にColoplast社に13億ドルで買収され、アイスランド初のユニコーン企業になりました。
魚の皮の有効活用
日本には1962年頃に当時の食糧問題を解決するためのたんぱく質源として「カワスズメ」、「ナイルティラピア」、「ジルティラピア」の3種のティラピアが持ち込まれ、「イズミダイ」、「チカダイ」という名前で流通し食卓にのぼっていました。
食用としては定着しなかったものの、適応力・繁殖力の強いティラピアは日本の河川に定着してしまい、現在は「生態系被害が大きいもの」として環境省が発行する「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」に記載されています。
特に沖縄県の河川では問題視され、駆除活動もなされています。
駆除した後は廃棄されるだけなのであれば、また、ティラピア以外でも魚の皮は大量に廃棄されているので、こういった研究が広く知られ、日本でもより魚が無駄なく有効活用されるようになると良いですね。
※画像は全て筆者撮影
<参考>
https://www.reuters.com/article/us-health-brazil-burns-idUSKBN18L1WH/[リンク]
https://www.nikkei-science.com/?p=71734[リンク]
https://courrier.jp/news/archives/92180/[リンク]
https://x.gd/s8tEr[リンク]
https://www.kerecis.com/omega3-fishskin/[リンク]
https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/list.pdf[リンク]
(執筆者: ゆずくん)
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