広島「住み続けたい街ランキング2024年」駅1位は買い物や教育環境の整った「広大附属学校前」
リクルートは、広島県に住んでいる人を対象にWEB調査を行い、「SUUMO住み続けたい街ランキング2024 広島県版(SUUMO住民実感調査)」を発表した。今住んでいる街(駅・自治体)について、住み続けたいかどうかを聞いたところ、駅では広島電鉄の「広大附属学校前」で前回2位からランクアップ、自治体では「安芸郡府中町」が前回に引きつづき、それぞれ第1位に。 住んでいる人に愛されているのはどんな街なのか、詳細を覗いてみよう。
「住み続けたい駅」には、買い物の利便性がよい街が多くラインクイン
SUUMO住み続けたい街(駅)ランキング2024 広島県版 TOP20(リクルート調べ)
ランキング上位の駅を見てみると、一番の共通点として挙げられるのは買い物利便性の高さだろう。1位となった「広大附属学校前」と10位「皆実町六丁目」は大規模ショッピングモール「ゆめタウン広島」の徒歩圏、5位「天神川」や9位の「矢賀」は、同じく「イオンモール広島府中」の最寄駅だ。3位の「宇品三丁目」や6位の「宇品二丁目」、11位の「宇品五丁目」、4位の「佐伯区役所前」も、幹線道路沿いの商業施設が充実したエリアにある。さらに、2位の「十日市町」や、7位「白島」・8位「新白島」は、紙屋町や八丁堀といった市内中心部に出かけやすい立地だ。多くの人にとって、買い物しやすい環境は「住み続けたい」という評価に大きな影響を与えるポイントのようだ。
その他、教育施設や病院、公園やスポーツ施設など、暮らしやすさにつながる施設が充実していること、利便性の割に落ち着いた雰囲気の住宅街であること、子育てに関する環境や行政支援の充実なども、「住み続けたい」駅の共通点となっている。
広島市南区にある大規模ショッピングモール「ゆめタウン広島」(撮影/古石真由弥)
「住み続けたい駅」の常連、広島電鉄宇品線沿線の魅力
TOP20まで広げてみると、広島電鉄宇品線の駅が多いことに気づく。
紙屋町・八丁堀という広島の最中心部を離れ、南へ下って宇品の広島港へとつながるこのルート沿線は、商業ビルやオフィスビルが多い国道2号線以北のエリアとは少し趣が異なる。電車通りや大きな幹線道路沿いには商業施設などが並ぶ一方で、少し街区の中に入れば、住宅地と呼べる落ち着いた雰囲気の街並みが広がる。
また、沿線には日赤病院や県立広島病院など、複数の大型病院もあり、広島大学の東千田キャンパスや、広大附属の小学校、中高一貫校をはじめ、学校関係も充実している。千田や宇品方面には大きな公園などもそろい、日々の暮らしを充実したものにしてくれそうだ。
加えて、バス便エリアも少なくない旧市内の中州エリアにありながら、中心部へとつながる鉄道路線を利用できること自体も、大きなメリットといえるだろう。
広島電鉄宇品線沿線「皆実町2丁目」付近の様子(撮影/古石真由弥)
「ひろしまスタジアムパーク」全面開業。新サッカースタジアム周辺エリアにも注目
もう一つ注目したいのが、広島の最中心部である紙屋町に近接し、広島城周辺や中央公園、旧広島市民球場跡地、原爆ドームに至るまでの広範なエリアで続く再開発だ。
2023年3月には旧広島市民球場跡地に「ひろしまゲートパーク」が誕生。2024年2月には中央公園に新サッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」が開業した。8月にはスタジアム周辺の公園や商業施設を含む「ひろしまスタジアムパーク」が全面開業を迎え、周辺の風景は大きく様変わりしている。
ランキングでランクアップを果たして上位に食い込んできた、2位の「十日市町」、7・8位の「白島」「新白島」はスタジアムの近接エリア。17位の「横川」も、スタジアムへの動線の一端を担うという意味ではかかわりのある駅だ。
広島城三の丸エリアや県庁周辺、広島中央図書館、ファミリープール周辺にも再開発の予定があり、周辺の街も含め、今後の発展に注目の集まるエリアとなっている。
旧広島市民球場跡地に2023年3月に開業した「ひろしまゲートパーク」(撮影/古石真由弥)
住みた続けたい自治体1位~3位は前回と変化なし。安芸郡府中町が不動の1位に
SUUMO住み続けたい街(自治体)ランキング2024 広島県版 TOP20(リクルート調べ)
「住み続けたい自治体」のランキングを見てみると、今年も自動車メーカーマツダのおひざ元「安芸郡府中町」が1位に。前回同様、広島駅の再開発が進む「広島市南区」、紙屋町や八丁堀といった市内中心部を含む「広島市中区」が続き、TOP10の顔ぶれも大きくは変わっていないようだ。
注目したい点は、府中町のほかにも、広島市以外の市町が順位を上げてきていること。
4位の「安芸郡海田町」は前回7位からのランクアップとなった。府中町とともに広島市の東側に位置する自治体で、JR海田市駅から広島駅までは3駅約9分。山陽本線と呉線の2路線利用ができる駅だ。さらに近年、町役場や福祉関連施設などが建て替えられてきれいになったほか、食品スーパーなども充実。他の安芸郡3町(府中町・熊野町・坂町)とともに、6歳未満の幼児が2人以上いる世帯を対象に、3人乗りの自転車を通園用などとして無料で貸し出しする事業や、町内を流れる瀬野川沿いでのイベントなど、町独自の取り組みも見られる。
10位の「安芸郡坂町」は14位からのランクアップ。JR呉線沿線で、海岸沿いに横長に広がる自治体で人工海浜「ベイサイドビーチ坂」には2023年に物販・飲食施設もオープンしている。公園や子育て支援センターが併設された子育て支援住宅や、町外から町への転入や町内の持ち家への転居費用の助成制度、中学生以下の子どものいる世帯の三世代同居・近居の場合の住宅助成などもあり、定住促進にも力を入れている。
安芸郡海田町の町役場は2023年9月に新庁舎移転した(撮影/古石真由弥)
教育環境や子育て環境の充実でも、広島市以外の市町が上位に
この調査では同時に、住んでいる街に対し、どんな魅力があるか「魅力項目」を提示し、その評価を集計したランキングもいくつか公表されている。
「子育て環境」や「教育環境」が充実しているという魅力項目に対し評価が高かった自治体は、ともに「安芸郡府中町」が1位に。子育て中の家族がさまざまな特典を受けられる「イクフレカード」や、保育士または講座受講のシルバー会員による未就学児の一時預かり、施設が充実した児童センターの開設など、取り組みが話題になることも多い府中町。「イオンモール広島府中」があることも、子育て世代には評価が高そうだ。
そのほかにも、ランキング上位には広島市以外の市町が多く並ぶ。「廿日市市」や「東広島市」も子育て環境、教育環境ともにTOP5入りをしている。乳幼児(こども)医療費助成についても、広島市が令和7年1月より通院・入院の助成対象を中学3年生まで拡大するのに対し、廿日市市は令和6年9月、東広島市は同10月から対象を高校3年生まで拡大することを発表している。
18歳未満の子どもたちが利用できる安芸郡府中町の児童センターバンビーズ。遊戯室や小さい子ども専用の遊び場も(撮影/古石真由弥)
今後発展しそうな駅や自治体は?
今後発展しそうな駅や自治体についても集計している。
自治体5位の「東広島市」は、広島大学の移転以降、学問や産業の街として開発が進められてきた。産官学連携の試みも多いほか、吉川エリアの「マイクロンメモリジャパン」の本社・広島工場周辺では、新たな新産業団地開発が明らかになっている。また、東広島・呉道路に続き、2022年には東広島安芸バイパスも完成し、広島市内方面へのアクセスも向上。人の流れが活発化する事により新たな街の発展が期待されている。
駅2位の「的場町」は広島駅の隣接エリア。広島駅では2025年に新駅ビルの開業を控え、工事の進行でその全容が垣間見えるようにもなり、注目はさらに高まっている。広島市中心部では、そのほか紙屋町・八丁堀やその周辺エリアでも、それぞれビル数棟が絡む大規模な再開発案件が複数動いており、サッカースタジアム周辺、さらにはそごうやサンモールといった商業施設など、今後リニューアルや再開発を予定している施設も多い。4位の「八丁堀」や紙屋町が徒歩圏となる3位「十日市町」、8位「土橋」なども、街の盛り上がりに合わせて注目が集まっているといえるだろう。
大規模な再開発で街が日々変化を続ける広島。新しい街への期待が膨らむ一方で、「住み続けたい街」には、買い物などの利便性は高く、かつ昔ながらの街並みが残るエリアが多くランクインしている。街への愛着と暮らしやすさ、その両方を叶えてくれる街にこそ「住み続けたい」と感じる人が多いようだ。
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