よい子育て環境を求めて断熱等級6の家を選択。光熱費の心配ナシ、冬も半袖で過ごせるように 北摂エリア・Yさん家族【断熱新時代・住宅実例】
2025年度から断熱等級4以上が義務化される新築住宅。住宅の省エネ・脱炭素化推進のための補助金制度も拡充され、断熱性能の高いハイスペックな住まいへの関心が高まっている。また、電気・ガス価格激変緩和対策事業(激変緩和措置)が2023年1月から2024年5月までで終了したことの影響もあり、しばらく安定していた電気代は2024年に入って値上がり傾向にあることも、断熱性能の高い高性能住宅が注目される背景にあるようだ。
目に見えない快適性に配慮した高機密・高断熱仕様で、家族が快適に暮らせる環境を手に入れ、光熱費削減に成功した関西の北摂エリアで暮らすYさん家族の家づくりを紹介しよう。
(2024年6月に「酷暑乗り切り緊急支援」対策が新たに発表され、2024年8月~10月までの3カ月間、電気・ガス料金の補助を行う方針が新たに発表された)
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より良い子育て環境を求め家づくりをスタート
5歳の長女と1歳の長男を育てる4人家族のYさんは、より良い子育て環境を求めて、大阪・北摂エリアにある妻の実家近くで新居を建てた。何もわからないところから家づくりについて情報収集をするなかで、標準仕様でありながら高性能断熱サッシ+Low-Eトリプルガラス(アルゴンガス入り)を採用した断熱性能等級6の商品があることを知ったという。そのコストパフォーマンスの良さに興味を惹かれたYさんは、実家暮らしの際に悩まされていた厳しい寒さを思い出し、床暖房をつけなくても快適に過ごせる高気密・高断熱な住まいを建てることにしたそうだ。
■Yさん邸
工法木造階数・間取り2階・3LDK建物面積約106m2竣工年月2023年9月世帯構成夫30歳、妻30歳、長女5歳、長男1歳住宅性能断熱等級6、耐震等級3、劣化対策等級3、維持管理対策等級3、一次エネルギー消費量等級6UA値0.37W/m2・KC値0.32cm2/m2設計・施工会社アイ工務店(大阪府大阪市)※1:UA値…外皮平均熱貫流率。住宅の熱の出入りのしにくさを表す※2:C値…相当隙間面積。値が小さいほど隙間が少ないことを表す
(画像作成/鳥取県「とっとり健康省エネ住宅」を参照してSUUMOジャーナル編集部で作成)
※3:HEAT20…「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」のこと。住宅外皮水準のレベル別にG1~G3と設定し、提案している
「今まで住んでいた賃貸住宅は駅近でとても便利な立地でしたが、子育てするなら実家に近いエリアでのびのびと過ごせる環境がいいねって話していたんです。長女が小学校に入学する前には自分たちの家を建てたいなと考えていました」
Yさん(写真撮影/出合コウスケ)
そんな折、北摂エリアにある実家近くでよい土地が見つかり、想定より少し早く家づくりがスタート。はじめての家づくりで何もわからないなか、いくつかモデルハウス見学へ行くなどして、自分たち家族がどんな暮らしをしたいかをイメージしながら家づくりを考えたという。
標準仕様でも高性能。予算内で希望を実現
「最初に行ったモデルハウスは床暖房が入っていて、とても暖かくていいなと感じました。ところが、床暖房が入っていないのにとっても暖かいと感じたモデルハウスがあったんです。高性能断熱材を組み合わせた外壁はオリジナルのダブル断熱工法を採用していて、窓は高性能な断熱サッシにトリプルガラスを組み合わせているとのことでした。建材や工法すべてにおいて高断熱化され、高い機密性能で快適な住まいを標準仕様で実現しているという説明をお聞きし、『だったら断然こっちの方がイイね!』って夫婦で意見が一致しました」
断熱効果だけでなく紫外線のカットや防露・防音にも高い効果を発揮する高性能断熱サッシ+Low-Eトリプルガラス(アルゴンガス入り)を採用(写真撮影/出合コウスケ)
昼間は照明いらずの明るいLDK。「子どもたちは居心地がいいのか、いつも窓際で遊びたがります」(写真提供/アイ工務店)
オール電化+太陽光発電装置を搭載したY邸(写真提供/アイ工務店)
ここで家を建ててもらいたいと思える建築会社に出会えたYさんは、土地探しも含めて依頼。
「私の実家近くで条件の良い土地が見つかったと連絡をいただき、家づくりがグンと前に進みました。以前の住まいはお風呂とグリルがガスだったので、ショールームを見に行くと、ガスグリルがあるキッチンも魅力的だなと思ったのですが、『高性能な住まいにプラスして太陽光発電を搭載すれば、さらに光熱費削減効果が高まりますよ』という提案を受け、オール電化にして省エネ給湯器エコキュートを設置、太陽光発電を載せることにしました」
というのも、Yさんが新居の建設地として選んだのは北摂エリアの中でも山手に位置する住宅地。日中は快適に過ごせる季節でも、朝晩はぐんと冷え込むことがある。さらに北上したエリアにある妻の実家は、もっと朝晩の冷え込みを感じやすく、特に冬の底冷えする寒さが堪えたという。さらに、Yさんが新居を建てる前に暮らしていた築30年の賃貸マンションは、竣工当時の性能水準のせいか、冬は寒いし、夏はとても暑い住まいだった。こうした経験もあって、住まいの断熱性能の高さは重要だと感じたそう。
太陽光発電パネルで売電効果をチェック(写真撮影/出合コウスケ)
冬でも半袖で過ごせる保温性能の高さ
新居は屋根、外壁、窓、床下の断熱性能を強化してあることで、室内の温度環境が左右されにくい仕様になっている。
「シングルガラスだった実家とトリプルガラスの新居では、『こんなに違うのか!』と驚くらい住み心地が違いますね。外に出ると朝晩は冷え込みを感じやすいですが、家の中ではまったく感じません。同じ北摂エリアでも私の実家は、冬の朝がとても寒かったんです。朝一番に灯油ストーブに火を入れて、モコモコのパジャマを着た上から毛布をかぶって寒さを凌ぐような感じだったんですよ。それが、この家では冬に毛布なしでぐっすり眠れますし、モコモコパジャマを着なくても寒さを感じません。夫と子どもたちは一年中、半袖一枚で過ごしているほどなんですよ」
共働きのYさん家族の毎日は慌ただしい。エアコンは主にタイマーを利用してオンオフを管理し、常に過ごしやすい温度環境に保ち、テキパキ動けるように努めているそう。
「夕方家に帰ってきたらエアコンのスイッチを入れ、寝る時には切っています。朝はスムーズに着替えができるように、エアコンをつけてから子どもたちを起こすようにしています」
室内の温度環境が一定に保たれていることで、寝起きの小さな子どもたちもぐずることなくスムーズに朝の身支度を整えることができるという、忙しい子育て世帯にはうれしい効果があったようだ。
光熱費が気になる暑い夏も心配無用の断熱効果
今年は例年以上に厳しい暑さの初夏となったが、入居してからそろそろ1年を迎えるYさんご家族の過ごし方も伺ってみた。
家全体の温度が一定に保たれているので、朝起きた時もまったく寒くないという2階の寝室(写真提供/アイ工務店)
「6月末の今の時期は湿度が高いので16畳用エアコンの除湿機能だけをつけていますが、1階はカラッとして涼しく感じます。室内の空調環境が良いと、暑さでイライラすることもなく、子どもたちもご機嫌で過ごしてくれるので、気分も安定しますね。温度を低く設定しなくてもエアコンの効きがとてもいいですし、オール電化プラス太陽光発電を採用したことで、光熱費のことをあまり気にすることなく気軽に暑さ対策ができる点でとても助かっています」
取材当日は雨が降っていたが、確かに除湿機能だけでとても快適に過ごせる環境だと感じた。エアコンの電気代は、冷房と除湿どちらの方が高くなるか一概には言えない。運転モードで差が出るわけではなく、室温と設定温度の差に大きく左右されるという。つまり、室温と設定温度の差が大きければ大きいほど消費電力が高くなり、光熱費もかさむことになるのだが、断熱性能の高いYさんの住まいでは室内の温度環境が安定しているため、急な電力負荷をかけることなく、高い省エネ効果を発揮していた。
光熱費削減と家事ラクの一石二鳥な住まい
実際に住んでからの光熱費は、1カ月で1万円弱くらいとのこと。しかし、太陽光発電の売電効果で差額はほぼ0になる月もあるとか。
「以前は電気代で1万円超、ガス代が1万円弱だったので、光熱費はかなり節約できていますね。花粉が気になるので、洗濯物は毎日、浴室乾燥機を使っています。朝8時くらいに干すと昼には乾いています。お風呂は毎日沸かしていますし、冬は高温差し湯もしています。エコキュートは夜間の電気代がお得になるとのことで、食器洗いは食洗機の予約機能を利用して自動でスイッチが入るようにしています。キッチンのIHクッキングヒーターはお手入れもラクなので、家事効率もかなり良くなりました。家事の時間が短縮された分、子どもたちと一緒に遊べる時間をたっぷり取れるようになりました」と満足そう。
高断熱な住まいで家事効率も良くなり、家族の生活習慣も随分変わったと笑顔で話してくれたYさん。断熱性能の高い高性能住宅は、家族団らんの時間ももたらしてくれるようだ。省エネ性能の高さは光熱費削減に効果的で、子育て世帯にはうれしいことづくめ。満足度の高い新居で、家族の絆もより一層深まることだろう。
●取材協力
アイ工務店
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