<ライブレポート>Paleduskが豪華ゲストと共に沸騰させた狂乱のO-EAST「長い長い第一章のピリオド」
2024年2月に約4年ぶりの新作EP『PALEHELL』をリリースしたPaleduskが、同作を提げたツアー【LOVE YOUR PALEHELL】のファイナルシリーズを7月~8月にかけて開催。ここでは過去最大規模のワンマンとなった7月26日の東京・Spotify O-EAST公演の模様をレポートする。
ヒップホップ、メタル、ハードコアなど、Paleduskの音楽DNAを構成する多彩なジャンルの音楽が流れる中、会場が暗転。サイレンが鳴り響くと、おなじみの登場曲であるエミネムの「Lose Yourself」でメンバーが姿を現す。パンパンに埋め尽くされたフロアは今か今かとエネルギーが解き放たれる寸前の緊張感と熱気が漂っている。
1曲目「NO!」でその溜め込まれた力が爆発する。KAITO(Vo)の咆哮、フロアは辺り一面がモッシュ。まさにカオスという言葉しか当てはまらない、素晴らしく荒々しい光景が生み出されている。凄まじい破壊力のオープニングナンバーから畳み掛けるように「BLACK ICE」でボルテージはさらに上昇。展開が非常に多い曲だが、キャッチーさも兼ね備えている名曲が生み出す一体感は格別だ。
TSUBASAとDAIDAIが奏でる重厚なリフが心地よいメタルコアチューン「Blue Rose」でフロアを揺らすと、インダストリアルな空気感からエモーショナルなラストへと駆け抜ける「TOPPA」へ。会場の空気感は1曲毎にどんどん切り替わっていく。どこか陽気な雰囲気のコーラスが印象的な「I’m ready to die for my friends」ではこの日最初のゲストVIGORMANが登場。<VIG & Paledusk異色同士が固く手繋ぐのさ>という歌詞を熱く体現するような相性抜群のパフォーマンスで盛り上げた。
「確信しました。今日一瞬で終わる。楽しすぎて。誰よりもそれを掴んで握りしめて抱きしめて帰ってください!」(KAITO)
強烈なヘヴィネスが次々と形を変えていく「AO」、「9 SMILES」と近年のPaleduskを代表する曲たちが続いたあと、『PALEHELL』収録の新曲「TRANQUILO!」で破壊的な音像を叩きつける。1分半にも満たないショートチューンだが、残すインパクトはあまりにも大きい。
フロアにツーステップの海を発生させた「LEAVE ME OUT」に続き、KAITOが「皆が聴きたくてしかたなかった2曲」という紹介をする。まず始まったのはポップなキャッチーさが心地よく疾走する「BBB」。本日2人目のゲスト、Suchが登場。Suchの透き通るような声質と重厚なサウンドが混ざり合い、盛り上がりはさらにレベルアップしていく。Suchも積極的にフロアを煽っていたのも印象的だった。そのまま流れるように始まった「SUPER PALE HORSE」では盟友aviel kaei(CVLTE)がステージに。KAITOとじゃれ合いつつ、クールな歌唱を届けた。
「O-EASTまで来たぜワンマンで!千何百人居ますここに。もちろんゲストの力を借りてですが、、嬉しいです!ありがとうございます」とKAITOが感謝を伝えると、フランクな語り口でこれまでのツアー、そしてペリフェリーのオープニングアクトで出演したことなど、このO-EASTでの思い出を話した。「ここに立たせて貰っていることは当たり前じゃないと、しっかり自覚しております。初めて来てくれた人、ようこそ。昔から来てくれている人、よくここまで一緒に来てくれた!本当にありがとうございます。初めて来てくれた人は、自分の意志で今日来てくれたわけだから、優劣をつけるわけではないけど、今日は昔から来てくれている人のために演らせてください。初めての人も今後そうなっていくのは解っているし。ここはPaleduskの庭です。好きに遊んでくれてかまいません」
「茶割」というワードチョイスとサックスの音色が耳に残る「SLAY!!」でステージは再開。先程のMCに感化されたのか、ダイバーの数もどんどん増えている。ここでゲストにHideyoshiが堂々と登場。前述のコラボにおいても同様だが、人気曲のフィーチャリングが生で再現される光景はやはり激アツだ。そこから狂気的な楽曲構成の「WIND BACK」、ヒップホップ的なイントロからどんどんカオティックに変貌していく「HAPPY TALK」と怒涛の展開が続く。「HAPPY TALK」の音源ではエンディングに短いブレイクダウンが入るが、今日は違った。なんと、同ブレイクダウンの元ネタである初期曲「Savior」に突入したのだ。TSUBASAによるクリーンヴォーカルも登場するレアなパフォーマンスに会場のノリもよりオールドスクールになっていく。そして、ダメ押しのように「Our ways」が投下される。ステージダイブも大量発生し、一気に2015年~2017年の空気感にO-EASTは変貌。当時から応援しているファンにとっては特に感慨深いブロックだっただろう。
「O-EASTでは何回も演ってますが、格別ですね」とKAITOが切り出すと、福岡からスタートしたこのバンドのこれまでの歩みを直前に披露した初期曲にも触れながら語っていく。「俺はこのツアー、特にこのワンマンがPaleduskの長い長い第一章のピリオドだなと思っています」と話すと、結成10周年となる2025年に初となるフルアルバムをリリースすること、O-EASTの次はZeppを目指していくことを宣言した。
「俺らみたいな、歌の8割~9割がシャウトのバンドがこのキャパでワンマンできるようになったのは何年も無かったことだと思う。皆で奇跡にしていきたいと思います。来年世の中に事件を解き放つんで、よろしくお願いします」(KAITO)
MC明けには「外から見たら地獄でも、中にいる人からしたらそうでもない」という二面性を大事にしたくて命名した新作の表題曲「PALEHELL」が演奏される。壮大でエモーショナルなメロディーで会場が一つとなったのは鳥肌ものの光景だ。ここからは怒涛のラストスパートに突入する。KAITOが学生時代から敬愛し、DAIDAIとの出会いのきっかけのバンドであるcoldrainのフロントマンMasatoをフィーチャーした「RUMBLE」も圧巻のシンガロングを生み出し、フロアはモッシュ&ダイブの海と化した。続く「Q2」では『PALEHELL』収録版と同様にKenta Koie(Crossfaith)が降臨。疾走するサウンドが爽快なのはもちろん、巨大なサークルピットの発生やステージダイブで熱量はこの日一番となる。最後はメタリックな爆走チューン「AREA PD」で場内をかき乱し、強烈な余韻を残してステージを去った。
アンコールに応じて再登場すると、和やかな雰囲気の中でゲストと共に集合写真を撮影。改めて見て豪華すぎる“Paleduskにしか集められない”面子に彼らの音楽性の幅広さを感じる。そして、オールラストに選ばれたのは、このバンドの楽曲の中でも一際エモーショナルな「LIGHTS」だ。会場はモッシュ、ダイブ、そしてシンガロングで再び一つに。「バンドやってて良かった!」と叫ぶKAITO。まさに大団円だ。背景に堂々と照らされるバンドロゴが非常に頼もしく見える。
ライブの余韻は凄まじく、終演後もフロアの熱量は全然冷める気配が無い。メンバーが去っていく中で、BGMとして流れていた某国民的男性アイドルグループのヒット曲をKAITOと共に会場全体が合唱しだしたのも本公演の熱さの証と言えるだろう。他にも、「Q2」の間奏ではステージ袖で観覧していたスタッフの子供がステージに招かれ、微笑ましく観客を煽る場面もあった。Paleduskはヘヴィながら温もりや親しみやすさを兼ね備えたバンドなのだ。そんな彼らの快進撃からますます目が離せなくなるのは間違いないだろう。それを確信できる素晴らしいステージだった。
Text:Haruki Saito
Photos:Kawado
◎公演情報
【LOVE YOUR PALEHELL FINAL SERIES】
2024年7月26日(金)東京・Spotify O-EAST
<セットリスト>
SE:Lose Yourself(エミネム)
1. NO!
2. BLACK ICE
3. Blue Rose
4. TOPPA
5. I’m ready to die for my friends w/ VIGORMAN
6. AO
7. 9 SMILES
8. TRANQUILO!
9. LEAVE ME OUT
10. BBB w/ Such
11. SUPER PALE HORSE w/ aviel kaei(CVLTE)
12. SLAY!! w/ Hideyoshi
13. WIND BACK
14. HAPPY TALK
15. Savior
16. Our ways
17. PALEHELL
18. RUMBLE w/ Masato(coldrain)
19. Q2 w/ Kenta Koie(Crossfaith)
20. AREA PD
Encore:
21. LIGHTS
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