チャイムが鳴り、次の何かが始まる “いびつ”な恐怖に支配される黒沢清監督作『Chime』8月 劇場上映

『Chime』

黒沢清監督が吉岡睦雄を主演に迎え、現代の“いびつ”に満ちた恐怖を描く中編作品『Chime』が8月2日より劇場上映開始。2種類の予告編、黒沢監督によるステートメントが発表されている。

本作は、メディア配信プラットフォーム「Roadstead」のオリジナル作品第一弾として「自由に作品を制作してほしい」というオーダーのもとに作られ、同プラットフォームにて限定販売された。このたび「Stranger」の配給によって、全国の劇場にて順次上映される。

黒沢監督はステートメントのなかで、本作を「とりたてたジャンル性も娯楽性も作家性も持たない、たった45分のむき出しの映画」と表現。恐怖か祝福か、何がもたらされるのか分からない“チャイム”をめぐる妄想から生まれた一作であることを明かしている。

主演の吉岡睦雄が演じるのは、料理教室の講師として働く松岡。生徒の一人が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」という奇妙な言葉を発して驚くべき行動を起こし、松岡の周囲で次々と異変が起こるようになる。

第一弾の予告編は極めて情報が制限されているが、第二弾の予告編では、主人公の松岡が神妙な面持ちでゆっくりと振り向く様が切り取られており、その視線の先にあるものが気になる映像に仕上がっている。

<第二弾予告編>

<第一弾予告編>

<黒沢清監督ステートメント全文>
チャイムが鳴り、あなたはこれまでずっと続いていた何かが終わって次の何かが始まるその時が来たことを知る。心の中に不安と期待が同時に押し寄せるが、もう引き返すことはできない。あなたはそれを受け入れるしかないのだ。またチャイムが鳴り、あなたは戸口の外に誰かが立ったことを知る。その誰かがもたらすものが恐怖なのか祝福なのかは、ドアを開けてみるまでわからない。あなたはどうするか? 何もしないでいると絶え間なくチャイムは鳴り続けるだろう。この映画は以上のような私の妄想から生まれた。とりたてたジャンル性も娯楽性も作家性も持たない、たった 45 分のむき出しの映画だ。
私は、どこにでもいる平凡な中年男である主人公がチャイムによって突き動かされ常識と非常識のあいだを行き来する様を描いてみた。彼は終始不安だ。しかし確信もしている。この非常識こそが、彼をがんじがらめに縛り付けている現代社会のモラルや正義や良心の隙間からするりと抜け出すことのできる、一種の自由でもあるのだと。

『Chime』
8月2日(金)より Stranger 他全国順次劇場上映

©Roadstead

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レイナス

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