若者が街に増え新店も続々! 新旧の住人つなぎ、街が劇的に変わったQURUWA(くるわ)エリアがアツすぎる  愛知県岡崎市

昨年グッドデザイン金賞を受賞した「QURUWA(くるわ)戦略」って? 愛知県岡崎市

愛知県の西三河地域に位置する岡崎市は徳川家康公生誕の地であり、近年は人気YouTuber『東海オンエア』の〝聖地“としても知られる。市街地の真ん中を一級河川「乙川(おとがわ)」が流れる街で、特に岡崎城のそばを乙川が流れるエリアは「QURUWA(くるわ)」と名付けられている。このエリアの活性化(暮らしの質とエリア価値向上)のためのプロジェクト「QURUWA戦略」は、2023年にグッドデザイン金賞を受賞した。

当初は行政主導で、ハード面の整備から着手

東岡崎駅は「ひがおか」の愛称で親しまれ、2030年の完成に向けて再整備が進む。2021年から名古屋鉄道と協力して一連の動きが始まり、今年4月に駅直結の商業施設「SWING MALL」が誕生したばかりだ。

古来、日本の城郭の内外や、内側を区切った範囲は曲輪(くるわ)と呼ばれていた。岡崎市では、乙川が岡崎城のそばを流れるエリアを「QURUWA地区」として、地区の中にある公共空間のそれぞれを結ぶ約3kmの主要回遊動線を「QURUWA(くるわ)」と名付けている。これは、岡崎城跡の総曲輪(城下町も含む城郭一帯の外周を区切る範囲)の一部と動線が重なることや、動線が「Q」の字に見えることからだという。

主要回遊動線QURUWAと暮らしのイメージ。QURUWA地区の公共空間拠点を結ぶ動線は約3kmの距離で、黄色部分の動線が「Q」の字に見える。市のサイクルシェアを活用して周遊する人もいる(画像提供/岡崎市まちづくり推進課)

主要回遊動線QURUWAと暮らしのイメージ。QURUWA地区の公共空間拠点を結ぶ動線は約3kmの距離で、黄色部分の動線が「Q」の字に見える。市のサイクルシェアを活用して周遊する人もいる(画像提供/岡崎市まちづくり推進課)

その「QURUWA」にある豊富な公共空間を活用して、公民連携プロジェクトを実現し、まちの活性化を図る計画が、2023年にグッドデザイン金賞を受賞した「QURUWA戦略」だ。

地域住民や民間事業者と岡崎市が公民連携により手を取り合って進めた「QURUWA戦略」について、その象徴となっている籠田(かごだ)公園で話を伺った。

左から「Okazaki Micro Hotel ANGLE」オーナー飯田圭さん、岡崎市まちづくり推進課QURUWA戦略係・中川健太さん、「QURUWA7町・広域連合会次世代の会」事務局・「株式会社MSA」代表筒井健さん、「QURUWA7町・広域連合会 次世代の会」代表・「宝金堂」店長佐谷繁さん(写真撮影/倉畑桐子)

左から「Okazaki Micro Hotel ANGLE」オーナー飯田圭さん、岡崎市まちづくり推進課QURUWA戦略係・中川健太さん、「QURUWA7町・広域連合会次世代の会」事務局・「株式会社MSA」代表筒井健さん、「QURUWA7町・広域連合会 次世代の会」代表・「宝金堂」店長佐谷繁さん(写真撮影/倉畑桐子)

これまでのQURUWA戦略の動きを振り返ると、岡崎市の中心市街地は、かつては西三河有数の商業地域として繁栄したが、郊外の大型ショッピングセンターなどの台頭により、1990年代に衰退。2010年代には、ピーク時と比べて住民や労働者、事業者の数は3分の2に、商店は4分の1に減少していた。こうした状況に歯止めをかけるべく、公共空間の再整備を中心とする「乙川リバーフロント地区整備基本方針」が2014年に策定され、行政主導で進もうとしていた。

乙川沿いにあるペデストリアンデッキ上には、2019年、騎馬像としては日本最大級の徳川家康公の銅像が設置されている(写真撮影/本美安浩)

乙川沿いにあるペデストリアンデッキ上には、2019年、騎馬像としては日本最大級の徳川家康公の銅像が設置されている(写真撮影/本美安浩)

岡崎市まちづくり推進課の中川さんが、再整備の始まりのころのことを話してくれた。「きっかけは、前岡崎市長の公約に乙川を活用したまちづくりの推進が掲げられていたことです。QURUWA地区は、中心市街地にありながら公園や広場などの公共空間が50%以上を占めています。そこで、これまであまり活用されてこなかった乙川周辺の公共空間を活かして、ハード面の整備をしようというのが当初の戦略の軸でした。その後、乙川をはじめとする公共空間を地域や民間事業者の方々に活用いただけるように規制緩和を行いました。ハード整備のみで終わっていたら、現在のように活用されるような状況にはなっていなかったと思います。当時はハード面を整備すればまちが良くなるだろうと、行政としてはそう考えていましたね。今思うと正直危なかったです……」

戦後、中心市街地を整備する一環で1958年につくられた籠田公園が、2019年7月に「つどい・つながり・つづく」をコンセプトにリニューアル。屋根付き休憩所や、キッチンカーが出店するなど開放的な雰囲気が魅力(写真撮影/本美安浩)

戦後、中心市街地を整備する一環で1958年につくられた籠田公園が、2019年7月に「つどい・つながり・つづく」をコンセプトにリニューアル。屋根付き休憩所や、キッチンカーが出店するなど開放的な雰囲気が魅力(写真撮影/本美安浩)

籠田公園の遊具エリアには噴水もあり、10月頃までは午前中から夕方まで子どもたちの笑い声が響く(写真撮影/本美安浩)

籠田公園の遊具エリアには噴水もあり、10月頃までは午前中から夕方まで子どもたちの笑い声が響く(写真撮影/本美安浩)

「地元と行政が対立しないように」と連合会が発足

2016年に、籠田公園から乙川へと動線がつながる中央緑道の改修工事の予定が行政側から発表された。すると、目の前の状況が変わってしまうため、沿線に住む人たちから「私たちの暮らしはどうなるのか」と、不安や反対の声が上がるように。そこで立ち上がったのが、地元で不動産業などを営む会社の3代目、筒井健さんだった。

リニューアルされた中央緑道では、朝市やマルシェ、イベントなどが開かれている(写真撮影/本美安浩)

リニューアルされた中央緑道では、朝市やマルシェ、イベントなどが開かれている(写真撮影/本美安浩)

「説明会でいきなり『こう決まりました』と言われると、角が立って“地元 対 行政“のような構図ができてしまう。先に地元住民として自治会の代表者などが間に入れば、行政との関係が和らぎますよね。そこで、まずは地域主催の検討会を開き、詳しい内容を市役所の方が説明するという形式を取りました。そして、中央緑道周辺3町の町内会主催で『中央緑道検討会』が発足。その後、籠田公園の改修工事や桜城橋の新設についても内容を知りたいという声が上がり、周辺の町内会も合わせて籠田公園と中央緑道周辺の7つの自治会による『7町・広域連合会』ができました」と筒井さん。

ちなみに、筒井さんの会社が改修工事に関係しているわけではない。それでも、本業の傍ら自治会活動に尽力する理由をこう話す。

「岡崎の市街地は、戦後の焼け野原の中、祖父の代の人たちが頑張って復興させた街です。そんな思い入れのある地元が住みやすくなるように協力したいし、3代にわたって商売を続けてこられたので、自分にできることで街や人へ恩返ししたいという思いもあります」

QURUWA地区は、江戸時代から東海道の宿場町や岡崎城の城下町を基盤に発展し、岡崎市の中心地としてにぎわった場所でもある。

「昔からの商いを続けている家も多く、この街で商売の歴史を継いでいこうという思いや、みんなで集まって何かをしようとする素地があるので、地元の人を中心に団結しやすいことが功を奏したのかもしれません」

籠田公園から中央緑道を通って直通できる、屋根付きのイベントスペースを備えて新設された「桜城橋」(写真撮影/本美安浩)

籠田公園から中央緑道を通って直通できる、屋根付きのイベントスペースを備えて新設された「桜城橋」(写真撮影/本美安浩)

皆で汗をかく「夏祭り」で、公園のこけら落とし

2019年には、籠田公園がリニューアルした。
「その前年に、籠田公園の活用を議論するワークショップの中で『籠田公園の改修が完了したら、盆踊りをやらないか』という話が持ち上がったんです。新しい籠田公園のこけら落としとして、地域のみんなで盆踊りを踊って関係性を深める、かつての夏祭りを復活させようと。それからあちこちに声をかけて協力者を募り、2019年の夏、櫓(やぐら)の周囲に屋台が並ぶ『籠田公園夏祭り』を30年ぶりに復活させました」

若い人には新鮮で好評だという櫓が籠田公園の芝生広場に登場(写真提供/宝金堂 佐谷繁さん)

若い人には新鮮で好評だという櫓が籠田公園の芝生広場に登場(写真提供/宝金堂 佐谷繁さん)

夏祭りは大盛況。「若い世代には『櫓を初めて見た』という人もいて、新鮮だと言われました。一方、古くから住む人たちからは、祭りのにぎわいを懐かしむ声が聞かれましたね」と筒井さんは目を細める。1、2年目はおよそ500人が来場。年々、日程や出店数などの規模を拡大し、昨年は2千人以上が集まったという。

県外から岡崎市に移住し、2020年から籠田公園の側で宿「Okazaki Micro Hotel ANGLE」を営む飯田圭さんには、QURUWA戦略を民間側で進めるディレクターの1人としての顔も。移住者の目線を活かして岡崎市の魅力をSNSなどで発信しているが、夏祭りには「参加している側」として、こう話す。

飯田さんが営む「Okazaki Micro Hotel ANGLE」は、市内で最も古いカメラ店をリノベーションした6部屋の宿。籠田公園のすぐ側にあり、さまざまなイベントに参画。宿泊客も籠田公園を散策して楽しんでいるという(写真提供/Okazaki Micro Hotel ANGLE 飯田圭さん)

飯田さんが営む「Okazaki Micro Hotel ANGLE」は、市内で最も古いカメラ店をリノベーションした6部屋の宿。籠田公園のすぐ側にあり、さまざまなイベントに参画。宿泊客も籠田公園を散策して楽しんでいるという(写真提供/Okazaki Micro Hotel ANGLE 飯田圭さん)

「日々商売をしていると、なかなかオーナー同士が集まる機会がないので、夏祭りで相手の顔が見えて、仲が深まるのが嬉しいですね。気張らず、ふらりと気軽に出かけられて。いざという時に同じ地域で商売をする人たちと顔見知りだということは、大きな意味があると思います」

夏祭りを毎年楽しみにしているという中川さんも、「みんな一緒に汗をかくというのが、絆を深めますよね」と続ける。

今年の夏祭りは、籠田公園や桜城橋をはじめとするQURUWA地区の3エリアで、3週末にわたり同時開催し、同じ盆踊りを各地区の雰囲気で楽しむという趣向だ。

「新住民が多いエリアや飲食店が集まるエリアなど、コミュニティによってカラーがあるので、違いを楽しんでもらったり、街をあちこち回ってもらったりできれば。祭りは地域ごとのコミュニケーションの場であり、次の世代に継承するべきものですから」と先出の筒井さん。

年々、規模を拡大して開催する夏祭りは、地域のコミュニティを育むことが目的(写真提供/宝金堂 佐谷繁さん)

年々、規模を拡大して開催する夏祭りは、地域のコミュニティを育むことが目的(写真提供/宝金堂 佐谷繁さん)

週末を中心にイベントが開かれ、出店数は5年連続で増加

その後も、公共空間の活用などをテーマに、住民参加型で街づくりを考えるフォーラムやシンポジウム、ワークショップなどを開催。乙川の河川空間活用の社会実験「おとがワ!ンダーランド」や、図書館交流プラザ「りぶら」周辺にある公共空間のウッドデッキに、アウトドアテーブルや椅子、ストーブ、本などを用意した「アウトドアリビングな風景をつくろう」などのイベントも実施してきた。近年は中央緑道にある特徴的な地形「河岸段丘」を使って、「”ありうべき街”を妄想する」をテーマに、岐阜市や豊橋市といった近隣都市の民間事業者とも連携を図っている「丘の途中のマーケット」(主催:studio36一級建築士事務所)が年2回開催されている。「週末のQURUWA地区は、どこかで何か大小のイベントをしている状態」だといい、街のあちこちでにぎわいが感じられる。

中央緑道や籠田公園を活用し、周辺店舗の協力で開催される「丘の途中のマーケット」(写真提供/studio36一級建築士事務所)

中央緑道や籠田公園を活用し、周辺店舗の協力で開催される「丘の途中のマーケット」(写真提供/studio36一級建築士事務所)

また、昨年からは「QURUWAアワード」として、年間で特徴のあったプロジェクトを表彰する取り組みも行われている。事前にノミネートされた、QURUWA戦略関係のプロジェクトに住民が投票し、優秀な取り組みを表彰。昨年度は11のノミネートの中から、高校生の視点を活かして「QURUWAティーンズフェス2023」を開催した「高校生まちづくりプロジェクト」などのほか、岡崎市役所職員が関わった取り組みが2つの賞を受賞。QURUWA地区でのまちづくりを企画し、実行する人たちのモチベーションアップにひと役買っている。

岡崎市の中川さんによると、近年の変化は、数字にも表れているという。
「7町を含むQURUWA地区のデータがあります。これらの取り組みが始まった11年前の平成25(2013)年のエリア内の住民は8825人でしたが、現在は9354人まで増加。さらに出店数としては、5年連続で年間平均10店舗が増え、去年だけで28店舗も増加しています」

確かに、籠田公園から周囲を見渡しただけでも、カフェやバナナジューススタンド、たこ焼き店、古着店、雑貨店などが目に入る。

籠田公園と隣接するコーヒースタンド「Coffee.TO.______」(岡崎市籠田町6、営業時間10時~17時、木・金曜定休)はスペシャルティコーヒーが名物。オープンな空間で、ペットと一緒の来店もOK(写真撮影/本美安浩)

籠田公園と隣接するコーヒースタンド「Coffee.TO.______」(岡崎市籠田町6、営業時間10時~17時、木・金曜定休)はスペシャルティコーヒーが名物。オープンな空間で、ペットと一緒の来店もOK(写真撮影/本美安浩)

2022年に、籠田公園とウッドデッキで繋がるコーヒースタンド「Coffee.TO.______」をオープンした伊藤菜依子さんも、「親子連れの姿が多く見られ、この数年で周囲にお店が増えた印象です。うちのお店はお子さんも歓迎ですが、『小さい子がいると飲食店に入りにくい』と考えてしまう親御さんが、周囲のお店でテイクアウトして、籠田公園で子どもを遊ばせながらくつろいでいることが多いですね」と話す。

アイスコーヒーをテイクアウトして、持ち込んだお菓子と一緒につまむ親子や、仕事の打ち合わせをする人の姿もあった(写真撮影/本美安浩)

アイスコーヒーをテイクアウトして、持ち込んだお菓子と一緒につまむ親子や、仕事の打ち合わせをする人の姿もあった(写真撮影/本美安浩)

「以前と比べて、街を行き交う人の数が目に見えて増えましたね。籠田公園も、リニューアル以前は遊ぶ子どもが少なく、あまりひと気がありませんでした」と振り返るのは、「QURUWA7町・広域連合会」の活動を次の世代に継承する「次世代の会」代表で、地域に根付いた時計・宝飾店「宝金堂」の5代目である佐谷繁さん。

「今は、籠田公園に来れば誰かに会うことができるので、何かを始める時の起点がここという感じ。最近は、昔からの顔馴染みや新しく知り合った人など、ここで知人と会う機会が増えました。『街が変わったね!』と声をかけられたり、『若い人が増えたね!』と言われたりして嬉しく思います。商店主同士が外に出てきて、話し声が聞こえてくることも増えました」

江戸時代も、籠田公園付近は「岡崎城籠田総門」と呼ばれ、総曲輪の東側に設けられた起点だったそうだ。

「ここに行けば誰かに会える」という籠田公園。周囲にはカフェなどが点在し、屋根の下で打ち合わせや休憩をする人も多い(写真撮影/本美安浩)

「ここに行けば誰かに会える」という籠田公園。周囲にはカフェなどが点在し、屋根の下で打ち合わせや休憩をする人も多い(写真撮影/本美安浩)

QURUWAの暮らしが変わった時、街が変わった

中川さんは言う。「地域の人が自治会の連合体を組成してQURUWA戦略を一緒に推進していただけるようになって、顔の見えるつながりができました。11年前にこのまちづくりが始まった当初は、『行政側がハード面を整備すれば街が変わる』と思っていましたが、それは大きな間違いで、大事なのは責任をもってまちをよくしようとする人であり、ソフト面だと気付かされました。QURUWA地区周辺で生活や生業を営む皆さんが動いて、人々の暮らしが変わり始めたときに、街も変わり始めたのだと感じています」

昨年のグッドデザイン金賞も、「QURUWA7町・広域連合会」の発足といった、住民の自発的な取り組みが評価されたのだろうと考えているそうだ。

ちなみに、受賞時のデザインのポイントとなったのは、
1. 人中心のウォーカブルなまちをベースとした新しいライフスタイルづくり
2. 質の高い公共空間の再整備と周辺の空き店舗活用を連動させた大きなリノベ×小さなリノベの仕掛け
3. 自治会によるフラットな場づくりから生まれるネイバーフッドコミュニティ
とのことだ。

「QURUWA7町・広域連合会」のように、行政と民間、住民が垣根を越えて話し合う場を持てている自治会は全国的に見ても珍しいと、まちづくりの専門家からも評価されているという(写真提供/岡崎市まちづくり推進課)

「QURUWA7町・広域連合会」のように、行政と民間、住民が垣根を越えて話し合う場を持てている自治会は全国的に見ても珍しいと、まちづくりの専門家からも評価されているという(写真提供/岡崎市まちづくり推進課)

今後の課題は「集客」だという。
佐谷さんは「商店街ではどこも集客に苦心しています。昔からのお店が、新たなお客さんをどう掴むのか。籠田公園ができて子育て世代が訪れるようになり、新しい消費者行動が行われているのだから、各店がそれをキャッチして動けば、全体が底上げされるんじゃないかな。今、若い店主の皆さんと、今後について話し合っているところです」と話す。自身の時計店でも、スマートウォッチの付け替え用ベルトを充実させるなど、新規の顧客を掴むために工夫しているそうだ。

飯田さんは「宿の役割は街の雰囲気を伝えること」と考え、「暮らし感光」をテーマに、岡崎市内の老舗を見学するツアーなどを組んでいる。「外と中を繋げながら、新しく来た人を、QURUWA地区で活動する皆さんにも紹介できたら」

中川さんは「出店者は増えているものの、どのお店も月曜から木曜までは来客が少ないという問題点があります。そこで、例えばIT系やスタートアップなどの企業を誘致するのはどうかと考えているところです」という。

「岡崎は都市部とは違って空間的な余白があるので、そういった余白を積極的におもしろく活用するような新しい考えの企業であれば、QURUWA地区にしかないお店やサービスを楽しんでくれるのではないかなと。それには、例えばコーヒー派もワイン派もクラフトビール派も、多様な楽しみ方をできるようなお店のバリエーションが必要になるでしょうね。QURUWAのビジョンは『これからの100年を暮らすウォーカブルなまち~新しい住み方、働き方、遊び方を楽しむ~』です。イベントは未来の日常をつくるきっかけです。重要な視点は、人々の日常を豊かにすることですから」

東岡崎駅と籠田公園を繋ぐ康生通には古着屋やセレクトショップが並び、若者に人気(写真撮影/本美安浩)

東岡崎駅と籠田公園を繋ぐ康生通には古着屋やセレクトショップが並び、若者に人気(写真撮影/本美安浩)

コミュニティの一体感を醸成するための行事が今、改めて「祭り」や「盆踊り」とは、自分の世代では思いつかないかも……。確かに、踊っても眺めても楽しく、老若男女が誰でも参加できるイベントだ。多世代の声が集まるのは自治会の連合会の長所だと思う。

今回取材に応じてくれた4人の皆さんは「ほぼ毎日のように顔を合わせている」という仲だそう。まだまだ新しいものが生まれそうなQURUWAエリアに、今後も注目したい。

街歩きが楽しいQURUWA地区。「Micro Hotel ANGLE」1階の「écumer ハナレ」のガレットはおいしくて可愛かった(写真撮影/倉畑桐子)

街歩きが楽しいQURUWA地区。「Micro Hotel ANGLE」1階の「écumer ハナレ」のガレットはおいしくて可愛かった(写真撮影/倉畑桐子)

●取材協力
岡崎市まちづくり推進課「QURUWA戦略」

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