イスラエルのAIサイバーセキュリティ企業Clarity、独自技術でフェイク動画見破る

access_time create folderデジタル・IT

各国の大統領や首相、企業組織や団体、そして一般生活者に至るまで、誰がいつ何時「なりすまし」の被害に遭うかわからない。ディープフェイクが民主主義や国際関係をも脅かしかねない状況で、アンチディープフェイク技術を開発するのがイスラエルのAIサイバーセキュリティスタートアップClarityだ。

同社の技術「AI DeepFake Firewall 」は、映像に映っている人物が本人かどうかをリアルタイムで見抜くというもの。

Image Credits:Clarity

特許申請中のこの技術により、動画および画像、音声内のAI操作を検出、暗号化されたウォーターマークでメディアを認証する。

ディープフェイク動画を見抜く「Clarity Studio」

生成AI技術の急速な進化によって、詐欺動画や捏造動画を誰でも簡単に作れるようになっている。動画に登場する人物が本物かどうかを見極めるのは、一般視聴者はもちろんジャーナリストにとって大きな課題だ。

Image Credits:Clarity

そこでClarityは「Clarity Studio」というプラットフォームを提供している。これに動画のURLを入力するかファイルをアップロードすると、その動画におけるAI操作を検証してくれるのだ。

同社サイトでは「ジャーナリストや編集者をエンパワー」し、自社メディアの正当性を確かなものにするとしている。内部のメディアソースにClarityのAPIを直接統合すれば、大量のメディアを分析、ディープフェイクを検知したらアラートを出してくれる。

大量のメディアを分析する企業向けにはサブスクリプションプランがあるが、ジャーナリスト向けの無料プランもある。大手報道機関だけでなく、フリーランスのジャーナリストもアクセスできるよう配慮されているようだ。

オンライン会議・本人確認にも導入可能

Clarity StudioはZoomやTeams、Meet、Webexといったビデオ会議プラットフォームにも統合可能だ。会議に参加している人が、果たして本物の人間か、バックグラウンドでリアルタイム検証できる仕組みになっている。

Image Credits:Clarity

セキュリティチームはこうした通話・通信チャネルに認証レイヤーを追加でき、アラートが出たら即座に対応したり詳しい捜査を進めたりできるという。セキュリティダッシュボードが包括的レポートを管理ダッシュボードに提供し、潜在的な攻撃を可視化する。‍

さらに、同社のソリューションは本人確認システムともシームレスに統合できる。APIとSDKを通じてID検証ソリューションを提供。オンラインビデオ通話ツールを使った本人確認手続きといった場面で効果を発揮する。

Image Credits:Clarity

ディープフェイクによる不正認証や不正アクセスなどが世界的に問題になっているが、こうした詐欺を金融機関が未然に防ぐことができる。

既存のワークフローに合わせてユーザーが統合先を取捨選択、Clarityのソリューションをカスタマイズできる点も魅力だ。

CEOはイスラエル国防軍サイバー防衛の8200部隊出身

Clarityは、AIおよびサイバーセキュリティの専門家3人によって2022年に設立された。CEOを務めるMichael Matias氏はイスラエル軍諜報部の8200部隊出身。イスラエルのセキュリティスタートアップとしては典型的なパターンだ。

同氏はスタンフォード大学でAIおよびサイバーセキュリティを修め、生成AIによるディープフェイクに関する論文がClarity起業につながったという。

Image Credits:Clarity

今年2月には、シードラウンドで1,600万ドルの資金を調達。この時の同社プレスリリースによると、2026年までにオンラインコンテンツの90%がAIで生成される見込みだという。ディープフェイクの脅威もその分増加するわけだ。

Image Credits:Clarity

「個人および企業・組織をディープフェイクの脅威から守る」というミッションを掲げる同社には、不正な世論操作、フェイク動画の拡散、特殊詐欺などの防止・撲滅が期待される。現在、チーム拡大のためにR&Dおよび技術部門で人材を募集中だ。

参考:Clarity
(文・澤田 真一)

  1. HOME
  2. デジタル・IT
  3. イスラエルのAIサイバーセキュリティ企業Clarity、独自技術でフェイク動画見破る
access_time create folderデジタル・IT
local_offer
Techable

Techable

ウェブサイト: https://techable.jp/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。