『BELIEVE ⽇本バスケを諦めなかった男たち』⼤⻄雄⼀監督インタビュー 会場に響くバッシュの音と大歓声「同じ様な臨場感を体験して欲しい」

「FIBAバスケットボールワールドカップ 2023」でのバスケットボール男⼦⽇本代表の激闘を収めたドキュメンタリー映画 『BELIEVE ⽇本バスケを諦めなかった男たち』が6⽉7⽇(⾦)から4週間限定にて全国公開中です。

⽇本中が熱狂に包まれた「FIBA バスケットボールワールドカップ 2023」。男⼦⽇本代表の⼿に汗握る⽩熱した試合映像に加え、トム・ホーバス HC や代表選⼿のインタビューを新たに収録、激闘を振り返りながら知られざる思いが語られます。さらに⽇本のバスケットボール界をけん引してきた佐古賢⼀、⽥臥勇太のレジェンドへもインタビューも敢行。

ワールドカップ、そして⽇本代表を独⾃の視点で振り返ります。苦悩する練習中の姿、ロッカールームの檄、⽇本バスケにかける想い、密着カメラだからこそ捉えることができた貴重な映像の数々が大スクリーンに映し出されます。本作を手がけた⼤⻄雄⼀監督にお話しを伺いました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました!私はバスケットボール界について詳しくなかったのですが、とても胸が熱くなりました。これまでもニュースや特集などで試合映像やインタビューが出ていたと思いますが、映画にするにあたりどこを使ってどこを使わないかはかなり迷われたのではないでしょうか。

結構悩みましたね。僕は普段テレビテレビのドキュメンタリーを作っているディレクターで、劇場作品を作ることは初めてだったんです。テレビ番組というのは初めてご覧になる視聴者に向けて丁寧に分かりやすく、初見でも分かるようなものを作ることが求められているので。でも今回同じことをすると“くどく”なるだろうなと思い、すでに様々な背景を知っている方が「あの時、選手はこのプレーにどんな思いで臨んでいたのか」とか、「どんな話し合いをしていたのか」ということを伝えたいなと思いました。
なのでスタッフと僕で試合について色々なことを調べました。例えば「(ベネズエラ戦では)比江島さんが4Qだけで17点とった」とか、そういった内容を入れるのかを考えた時もあったのですが、そういったことはもう皆さんご存知だと思うし、なんでその結果に繋がったのかというところを重視した内容にしようと考えました。

――なるほど、尺の問題もありますものね。

テレビ番組として作るならいつものやり方で進めると思うのですが、この作品を観に劇場に足を運んでくださる方は、バスケの教養がある程度ある方々だと思うので、説明っぽい部分は省いています。

――監督はもともと日本バスケットボールをよくご覧になっていたのですか?

それが、代表戦はテレビでしか見たことがなく、Bリーグも1、2試合観戦しただけでした。たまたまテレビでフィンランド戦を見ていて「今の日本バスケこんなに強いんだ…!」と感動していたところに、この映画のお話をいただいて。もちろんやらせてください!!とお受けして話がスタートしたのですが、僕は現地に行けていないので、収録した映像を全てじっくり見させていただいて。テレビ中継だと実況や解説が入りますが、いただいた生の素材だと、キュキュキュッという選手のバスケットシューズの音と、会場の歓声がものすごくて。これが現場の温度というか、現場にいたら感じられる音なんだなと。

――映画でもすごく音が際立っていましたよね!

同じ様に臨場感を体験してほしいなと思いました。スポーツドキュメンタリーって、実況をそのまま使うものが多いと思うんですけど、そうするとテレビ番組で流れていた映像をもう1回見るだけのイメージになっちゃう。会場にいたらどういう雰囲気だったのかというのを追体験してほしいという気持ちがメインだったんですよね。試合映像にインタビューを入れつつ90分ほどの長さに集約していくためにはメリハリをつけることと、どの試合をピックアップするということも大切でした。

――私はスポーツ経験が無いので特に思うのですが、何がどうなっているの?!というほどのすごいプレーの連続でしたね。

僕は陸上で中距離をやっていたのですが、こういったら怒られるかもしれないけれど、陸上って速く走ることだけを考えればいいんですよね。それが難しくもあるのですが。でも、バスケの選手って、ダッシュして、その間に状況を判断して、パスするかシュートするか…という選択をずっとやり続けているのがすごすぎるんですよね。インタビューをしていると、「練習量がハンパなかった」とみんなおっしゃっていましたけど、愚直なまでに練習し続ける、走り続ける彼らのその取り組み方と、ワールドカップへの想いを入れ込みたいなと思いました。

――監督がインタビューをされていると思うのですが、お話の引き出し方がすごく素敵ですよね。

ありがとうございます。ドキュメンタリーのディレクターを普段からやっているので、意識はしていないのですが、話しやすい空気感を作るのが上手だと言っていただくことがあります。インタビューに立ち会ってくれた広報さんに「吉井(裕鷹)さんがあんなに自分の想いを語っているのを初めて聞きました」と言われて。僕はインタビューをする前に自信も無かったので、広報さんに「他のインタビューと比べてどうでしたか」という話はいつもお伺いするようにしていました。そこで「この話初めてですよ」とか、「今までも言っていたことだけど、あそこまでディティールを細かく聞いたことは無かったです」という感想が聞けたら、これは新しい情報なんだなと。

バスケファンの方でしたら、今までにもたくさんインタビューを読んだり見たりしていると思うのですが、それのちょっと角度の違うことだったり、同じことでもう少し深く語ってくれているところが(この映画には)あるので。ワールドカップの結果はもちろん知っている上で楽しんでいただきたいということを意識していました。

――皆さんとても素敵な言葉で語られていますよね。

取材の前には入念に準備して、こういう方向で質問すればいいかなとイメージトレーニングをして、ここは聞きたいというシーンは映像を抜き出して持っていきました。選手のチーム事情によっては、忙しくて取材時間が15分しかないということもあったので。何を聞くか、どの試合について聞くかを精査することが大切でしたね。ジョシュ(・ホーキンソン)さんなんかは、ほぼほぼ全ての試合に出ているので、どのプレーをピックアップしようかな、とか。あとは試合に出ていない選手も、12人のメンバーの一員として下支えしてるからの勝利だったと思うんですよ。ベンチから声を枯らして全力で応援するし、相手チームの情報を伝えるという重要な役割ばかりで。練習の時には、試合に先発で出ない選手が相手チーム役をやるので、フォーメーションや戦法を頭に叩き込んでいて。すごいですよね。試合に出ていなくて、点を取っていなくても、どんな想いを持って試合に挑んでいるのか、その言葉を大切に使わせていただきました。

――テーマ曲の「AKATSUKI」Rude−αもすごくカッコ良かったです…!

カッコ良いですよね!バスケってアメリカのストリートカルチャーと根深いものなので、ヒップホップの曲を入れたいなと思っていた時に、編集に入ってくれている西山さんという方がRude−αさんと仲が良かったり、僕も飲み屋でお会いしたことがあったので、色々なご縁でオリジナル楽曲を作っていただきました。映画の中ではご紹介出来なかったのですが、すごくAKATSUKI JAPANの想いを汲み取った歌詞を作ってくれて、デモが来た時にはサビしか無かったのですが、それだけでもすごく感動しました。僕は映画も好きですから、音楽ってとても重要な要素だなと思っているので、素晴らしい曲を作っていただいて感謝です。

――バスケットシューズの音もそうですが、映画館ならではの響き方があると思いますので、ぜひ映画館で楽しんでいただきたいですね。今日は素敵なお話をありがとうございました!

映画『BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち』
公開日:6月7日(金)※4週間限定公開
公認・監修・制作協力:公益財団法人日本バスケットボール協会 
企画・製作:電通 東映ビデオ
配給・宣伝:東映 東映ビデオ
公式サイト: https://toei-video.mc0.jp/believe-akatsukijapan/
公式X:@believe_aktkjp

  1. HOME
  2. ガジェ通
  3. 『BELIEVE ⽇本バスケを諦めなかった男たち』⼤⻄雄⼀監督インタビュー 会場に響くバッシュの音と大歓声「同じ様な臨場感を体験して欲しい」

藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。