生活クラブが『国内自給 まかない亭』プロジェクトを実施!高橋メアリージュンが特別講師として出前授業を担当
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(以下生活クラブ)は、5月27日より『国内自給 まかない亭』プロジェクトの実施を発表しました。
農林水産省が発表した令和4年度における日本のカロリーベースの食料自給率はわずか38%。
食料自給率とは、 日本国内に供給された食料のうち何割が国内で生産されたものかを示す指標のことであり、国内で消費される食品の多くを輸入に頼っているのが現状。
生活クラブではこの問題を受け、より多くの人たちが日本の食料自給率について考え、「共感」できる機会をつくるため『国内自給 まかない亭』プロジェクトをスタート。
そして本日は東京家政学院中学校・高等学校の生徒の方々と一緒に『国内自給 まかない亭』の出前授業として、生活クラブの福住洋美理事より食料自給率についての授業を開催。さらに特別講師にはモデル・女優として活躍される高橋メアリージュンさんが登壇されました。
『国内自給 まかない亭』の出前授業スタート
出前授業の1時間目は、SDGsプログラムキックオフイベントとして、食料自給率について東京家政学院高等学校の新1年生に向けた公開授業が行われました。
東京家政学院中学校・高等学校ではどのようなSDGs活動を行っているのかを、鷹谷恵子先生から伺います。
1年生では、身近な衣食住をめぐる社会課題を調査・探求し、持続可能で豊かな生活を送るための施策を考察するエキスパートを目指して、新1年生の皆さんはこれから学んでいかれます。
そして2年生では、 1年生でのエキスパートな知見を生かして、経済・環境・社会に視点を広げ、 多様な社会課題の調査・解決に努めていく方針であると説明。
私が高校生の頃には食料自給率はもちろん、環境問題への関心も全くなかった学生だったので、社会課題に目を向けた授業に取り組む生徒の方々に感心してしまいました。
食料自給率についての課題
2時間目は、福住理事から日本の食料自給率の現状と、生活クラブ生協の取り組みについての授業が行われました。
生活クラブの大きな特徴として、食べ物の安心・安全の追求を挙げます。
特に添加物や農薬に関しては厳しい独自の基準に沿って食品を作っているため、扱うものはほとんどオリジナル品になっているそう。
そして生活クラブでは扱う品物を商品ではなく『消費材』と呼び、
「 売って利益を出すことが目的のものが“商品”。そうではなくて、自分たちが消費するためのもの。つまり”消費する財”として生産者と一緒に作ったもの」だからだと説明されました。
自給率の算出方法には、食糧全体の自給率を熱量で換算する「カロリーベース」。
そして金額で換算する「生産額ベース」があるとのこと。
2023年度の報告では、 カロリーベースは38%、生産額ベースは58パーセントとなっており、カロリーベースで考えると62%は海外からの輸入に頼っているのがわかります。
日本の食料自給率は先進国と比較すると最低水準という結果に。
イタリアの国土面積は日本とほぼ同じで、スイスも九州と同じくらいの面積ですが、日本よりも自給率は高くなっています。
そして農業をしている方々も年々減っており、2023年の農業従事者は推計116万人で、20年前に比べると農業人口は219万人も減少して半分以下になっています。
さらに農業従事者の平均年齢は68.4歳と、どんどん高齢化が進んでいることも自給率が低下している要因の1つであると指摘。
農業を生業とされている方が減ることで、農地も同じく減っている現状にも言及されています。
このまま自給率が低下していくことで懸念される問題として、
1つ目は、安心できるおいしい作物を作ってくれる生産者の農地がさらに減少し、ますます国産の食べ物が少なくなって手に入りにくくなってしまうという点。
続いて2つ目。農地が減ることで、長距離の食料の輸送で環境負荷が増大すること。
そして3つ目は、食料を海外からの輸入に頼ると、紛争や気候危機の影響で欲しいものが手に入らないことも考えられることです。
自給率アップへの取り組み
3時間目は、これらの課題への取り組みについて。
生活クラブでは加工品の原料も可能な限り国産を使用しています。
例として、生活クラブのホットケーキミックスの自給率は98.8%を実現。
他にも、冷凍餃子やトマトケチャップの自給率の高さを紹介しました。
そして、2つ目の取り組み「畜産の“餌”の国産化」です。
国産のラベルが貼られているお肉でも、輸入した餌を食べている場合がほとんどなのですが、生活クラブで扱う豚は日本で作ったお米を食べて育っています。
畜産農家などで国産の餌を与えることも、自給率アップに繋がる取り組みなのだと知ることができました。
そして3つ目は「国産品種への取り組み」。
日本の鶏肉の自給率は現在66%。この66%の国産の鶏肉は日本国内で育てているものの、実は外国の種類の鶏なのだそうです。
元々、日本の鶏ですと言える国産種鶏の鶏は、66%の国産の内わずか2%程度しかいません。
生活クラブで扱う鶏肉の鶏は、3世代前まで遡っても国産であり、日本生まれの国産種鶏は日本の気候に適した体質ということもあり、必要以上にワクチンや薬を与えずに育てられている点も特徴です。
そして、国産種を国内で自給することも「自給率を上げるためには重要」だと説明してくれました。
高橋メアリージュンによる特別授業
3時間目は、特別講師として高橋メアリージュンさんがご登壇。
高橋メアリージュンさんの登場に生徒から大きな歓声が沸き起こりました。
「おしゃれに楽しく農作業」と今日のファッションポイントを紹介。鮮やかなオレンジ色がとてもお似合いです。
高橋さんは、2年前から「フードロス削減プロジェクト」として規格外野菜を対象としたマルシェの開催を行っていますが、現在はさらに農業への関心は大きくなり、農業の学校に入学し、一から学んだとか。
実際に高橋さんが畑仕事をしている様子も紹介され「撮影などで忙しい時でも、畑に行くと自然のエネルギーをもらえる。」と、農業の楽しさを伝えていました。
国内自給をビジュアル化して意識を高める
出前授業後半では、福住理事と高橋さんによるトークセッションも実施。
「国内自給率38%」をさらにわかりやすく、見える化した料理の品々を紹介。
お寿司のネタは半分以下。餃子は皮に包まれておらず、とんかつに関しては僅か一切れのみ。
この現状を見た生徒からは「えー!?」という驚愕の声が上がりました。
高橋さんも「ほぼチキンライスですよね!」と驚きを見せていました。
この現状に高橋さんは「まずは自分がやれることから始めるのが大切」だと呼びかけ、
「お買い物でも国産のものを選択ができる。”買い物というのは投票”でもあるので、投票する気持ちを持って買い物も大切にしていきたい。」
と話しました。
『国内自給 まかない亭』クイズ!
そしてここからは生徒の皆さんに国内自給率についての問題が出題。
第1問は「日本の食料自給率は『68%である』」
高橋さんが問題を読み上げてくださり、生徒の方々が○×で答えていきます。
答えは×!正解は「38%」。
この問題は生徒の方々は余裕で正解でした。もちろん私も正解しましたよ!
続く第2問「外国で生まれたヒナを日本で育てたら、その鶏肉は、国産である。」
これも先ほど教えてもらいましたね!
答えは○!少しややこしいのですが、親鶏が外国産でも、日本で育てば「国産」となります。
生活クラブでは3世代以上前から日本育ちの純国産鶏種を使用。
先ほど福住理事から教えてもらった通り、日本の風土に合った純国産鶏種は必要以上の薬を使わずに育てられます。
そして最終問題は「輸入した飼料を与えて、日本で育てた豚肉は、国産である。」
答えは、○!
国産表示の畜産物でも、飼料は外国産なことも多く、その結果飼料の国内自給率は27%となってしまっていることも改めて復習。
生活クラブでは飼料も国産を与えており、飼料の輸入コストを下げることで生産者の方々への負担を軽減させていることを改めて生徒たちに伝えていました。
ここで高橋さんから「飼料の輸入コストがかかるのに、なぜ外国産の飼料を使うのですか?」と福住理事へ質問。
「国産の飼料だけだと足りないからですね。だから外国産に頼ってしまっているんです。」
と解説し、飼料の国内自給率に対しての課題も伺えました。
そして『国内自給 まかない亭』の特別授業の最後にお2方から生徒の皆さんへメッセージを送ってくれました。
福住理事「私が大切にしていることは思いを馳せること。ものを食べるとき、買うときに、産地や生産者に思いを馳せることが大切だと感じてます。日本の原風景のために、日本の美味しいご飯を食べられること、日本の素晴らしさを感じながら生活していって欲しいと思います。」
高橋さん「こういう課題に取り組んでいくことは難しいのではないかと思っていたのですが、環境問題や気候変動なども含めて、結局自分と無関係になることはできない。だから難しく考えずに楽しく、日々のお買い物やお食事などを選んでいってほしいと思います。皆様がこれからの日本や未来を変えていってくれる、支えてくれる存在だと思うので応援しています。」
と生徒の方々へエールを送り、『国内自給 まかない亭』の特別授業を締めくくりました。
生活クラブ『国内自給 まかない亭』プロジェクト
国内自給まかない亭:https://seikatsuclub.coop/100ex/makanaitei/index.html
生活クラブ:https://seikatsuclub.coop/
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