【連載コラム】遊津場の関西アーティスト週報vol.5「これからもカミコベの舞台で聴きたいバンド・The Rusted Crown」
こんにちは。神戸在住の音楽キュレーター、遊津場(ゆつば)です。普段は邦ロック系インディーズアーティスト情報をSNS、メディア寄稿、自主イベント開催など、様々な手法で発信する活動をしています。
そして今回、OTOTOYで私のメインの活動地域である関西エリアで活躍する若手アーティストの様々なトピックを発信する機会をいただきました。 これを読めば、関西邦ロックシーンの最前線が分かります。どうぞ、ご贔屓に。
「これからもカミコベの舞台で聴きたいバンド・The Rusted Crown」
先週末は日本最大級の音楽チャリティーイベント・COMING KOBE24に行ってきました。じつはそこでずっと見てみたいと思っていたバンドを見ることができました。大阪は「寝屋川VINTAGE」から
人間関係や心情を描いた歌詞にこだわり全国のライヴハウスで活躍中の彼ら。たしかに人間の不器用さをここまで包み隠さず書ける能力に個人的に前々から注目しており、そのメッセージは生で聴いたらどのように感じるのか、ずっと機会を探っていました。特におススメなのは「Saturday」。問いかけるように内省する歌い方だけでなく、その韻の踏み方にはプロの音楽家も舌を巻くものがあります。
今年のカミコベは弱い雨が降り続く環境。そして彼らに与えられた場所はメインステージと3番目に大きいステージの導線の途中にある、案内スタッフがいないと見つけづらい場所と言って問題ないでしょう。同時間ではハルカミライや夜の本気ダンスがライヴを行っていました。ただそういった上手くいかなそうな状況でこそ輝くバンドであることは曲の世界観から感じていましたし、実際この環境の中でも「やっぱり俺らは雨や曇りが似合う」と、りゅーきち(Vo.Ba)の優しくも熱く放たれる言葉、神戸の雨空に甲高く響くごうすけ(Gt.cho)のギター、キレのあるスティックさばきで魅せるいなう(Dr)のドラムが観客の拳に繋がっていました。個人的に印象的だったのは、ライヴが始まる前にメンバー同士で握手をしていたのですが、ここまでその握手の熱や感情が届いてきたのは初めてだったかもしれません。MCでりゅーきちは「まだ泣くのは早い」と言っていたのもあり、1つずつライヴを重ねて遂に辿り着いたカミコベの舞台への思いもあったのかと思います。大阪の寝屋川は本当にバンド激戦区であり、以前もこのコラムで紹介したBlue Mashだけでなく、多くの大型フェス出演バンドを輩出しております。その多くのバンドが10代からコンテストやオーディションで結果を残している中で、彼らがそのような実績を残してきたという記憶はありません。MVも非常に再生されているわけでもありません。それでも今回、出演者発表の第1弾アーティストとして名前があったのは、このカミコベ主催のライヴハウスの神戸太陽と虎からの大きな信頼と期待を感じました。本人達も「必ずメインステージに立つ」「今日見てくれた人達の自慢になる」と力強く宣言。こちらとしても来年も必ずカミコベにいてほしいバンドだという気持ちに浸りました。
カミコベはそのメンツとは裏腹にモッシュダイブは禁止となっているため、その中で工夫を凝らすバンドもいて、カミコベでしか味わえない野外イベントの空気感があります。例えば、かずき山盛りというバンドは「神社」という曲でフロアからステージに向かってお金を投げるという珍しくも圧巻な光景があり、昨年は2万以上、今年は37,432円が集まりました。恐らくこれはしばらくカミコベ名物となるでしょう。かずき山盛りは若干飛び道具ですが、他のバンドからも普段とは違うチャリティーや震災に関する思いをMCで聞くことができます。それを聞くと普段しない人も能動的に募金等のチャリティー活動を行うでしょう。非常に意味のある時間がここにはありました。そしてThe Rusted Crownのその不器用な優しさはカミコベのようなイベントには非常にマッチしていました。今後も毎年は5月は神戸で鳴らしてほしいですね。
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