「梁上の君子」なんだか立派そうな言葉だけど、その意味が意外すぎる!その由来も深すぎる!!
一見すると立派そうな言葉、「梁上の君子(りょうじょうのくんし)」ですが、
実はこの言葉、泥棒やねずみの事を指す言葉なんです。
実際に「梁上の君子」に良い意味はありません。
むしろ悪い意味が込められた言葉となっているのです。
今回はそれら「梁上の君子」について解説します。
特にこの言葉の意味はもちろん、由来や語源についても説明します。
「梁上の君子」とは
まずは「梁上の君子」という言葉について見てみましょう。
「梁上の君子」の意味
「梁上の君子」とは字面だけ見ると善人を指すように見えます。
それこそ「梁上」や「君子」という言葉が入っているため、特に悪い意味はないように思えます。
しかし、実は「梁上の君子」と書いて泥棒を意味するのです。
事実、これらの言葉は盗人などを指す言葉として使用されます。
転じて、ネズミのことを言うこともあるのだとか。
とにもかくにも良い意味を持たない言葉となります。
「梁上の君子」がなぜ泥棒やネズミを意味することになったのか
ではなぜ「梁上の君子」が泥棒やネズミを意味するのでしょうか。
「梁上の君子」は『後漢書』にある故事に由来する
「梁上の君子」は古代中国の「後漢書」にある故事から来ているとされています。
それは2世紀の中国でのこと。
後漢王朝の時代に公正さで知られる陳寔という人物がいました。
ある年、凶作で人々が切り詰めた暮らしをしている時、彼の家に泥棒が入って天井の棟木の上に隠れていたそうです。
それに気づいた陳寔は知らんぷりをして子供たちに説教を始めたと言われています。
その説教の内容は以下の通りです。
「人間は日頃の修練が大切だ。悪人も最初から悪人だったわけではない。悪い習慣が重なってそうなってしまうのだ。」
まさに隠れている泥棒に向けて言い放ったような口ぶりです。
事実、陳寔は説教に続けて「梁上(棟木の上)にいる君子(先生)が良い例だ」と言ったのです。
それに泥棒は驚き、棟木から降りてきて謝罪したのだとか。
つまり、陳寔は説教するためにあえて知らんぷりをしたということです。
なお、話はここで終わらずさらに続きがあるとされています。
泥棒を見つけた陳寔は「生活の苦しさから盗みに及んだ」という事情を汲み、その泥棒にものを与えて帰したそうです。
するとそれが功を奏したのか、近辺から泥棒がいなくなったのだとか。
このような話から「梁上の君子」という言葉が生まれたとされています。
ちなみに、ネズミは屋根裏などで悪さをすることが多いため、次第に「梁上の君子=ネズミ」とする表現も広まったとされています。
逸話となった人物は三国志の初期の時代に活躍した『陳寔』
陳寔は三国志の初期の時代に活躍した人物です。
貧しい家に生まれた陳寔は若い頃から勉学に親しんだそうです。
また、公平無私で寛容な政治を行ったことでも知られています。
それらのことから民からの支持も根強い人物だったそうです。
ただ、宦官の専横に反対したため、党錮の禁を受けることとなります。
後に禁が解けると何進らは人を遣って陳寔を官職に復帰させようとするが、出仕することを拒んでそのまま亡くなったのだとか。
なお、彼の葬式には参列者が約3万人集まったと言われています。
同時に喪に服した者も韓融・荀爽をはじめ100人を超えたそうな。
陳寔の子孫は凄い人物が多い?!
陳寔も優れた人物だったのですが、実は陳寔の子孫も優れた人物がとても多いとされています。
三国志の時代に文官として活躍した子と孫
陳寔の子孫は三国志時代の文官として活躍した人物が多かったとされています。
中でも彼の子である陳紀や孫である陳羣は、三国志時代に活躍した人物とされているのだとか。
中国の歴史で目立ったとは言い難いものの、三国志好きの間では意外にも知られる存在です。
西遊記で有名な「玄奘三蔵」も子孫?!
実は「西遊記」で知られている玄奘三蔵も子孫ではないかとされています。
陳寔の子孫の玄奘三蔵は唐代の訳経僧として知られた人物です。
彼は三蔵法師という尊称で広く認識されています。
人によっては映画やドラマで耳にしたことがある人も多いかもしれませんね。
ただこれは明確に根拠があることではなく、関係はないとする意見もあります。
子孫には皇帝もいる
他にも南朝陳の初代皇帝である陳霸先も子孫ではないかと考えられています。
陳霸先は額が隆起している日角竜顔として知られていたそうです。
また、手や腕を伸ばすと膝よりも長かったことで知られています。
そんな不思議な姿の初代皇帝もまた陳寔の子孫だったと考えられているわけです。
まとめ
「梁上の君子」は泥棒やネズミを表す言葉です。
これらに良い意味は含まれていません。
むしろ盗人などの悪者を指す表現です。
これらは古代中国の逸話から生まれた言葉とされています。
現代日本であまり使用する機会はないかもしれませんが、雑学としてぜひ知っておきましょう。
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