経済とはもともと政治のことだった?経済という言葉の語源となった「経世済民」とはどんな意味の言葉?

世を治めて民を救うことを「経世済民」と言います。
これら「経世済民」は平たく言えば政治・統治・行政全般を意味する言葉です。
現在では「経済」と略され少し違った意味合いで一般的に使われる言葉となっています。

今回はそれら「経世済民」という言葉について解説します。
併せて「経済」という言葉についても説明します。

「経世済民」とは

まずは「経世済民」について見ていきましょう。

「経世済民」の意味

「経世済民」とは世を治めて民を救うことです。
現代の言葉で言えば政治・統治・行政全般のことを指しています。

「世(よ)を經(をさめ)、民(たみ)を濟(すくふ)」というところからきており

中国で生まれた「経世済民」という言葉

「経世済民」は中国では3世紀~5世紀頃の晋代以前から存在していた言葉です。

事実、当時の「抱朴子」という書物の中に「経世済俗」という言葉があります。
しかも、この書物では現代の「経世済民」とほぼ同じ意味の言葉として登場しているのです。

つまり、中国では3世紀~5世紀頃には「経世済民」という言葉があったと言えるわけです。

エコノミーの意味に代わった経緯

ここからは「経世済民」がエコノミーとしての意味合いに変わった経緯について見ていきましょう。

経世済民が略されて「経済」

実は「経済」という言葉は「経世済民」から来ています。
「経世済民」はもともと政治を表しているため、「経済」もまた政治を指していたわけです

ちなみに昭和末期、田中角栄の影響力を逃れようとした竹下登らが結成した「創世会・経世会」も「経世済民」から来たそうです。
今では「経済」と聞くとお金にまつわること全般を指しますが、もとは政治というニュアンスの強い言葉だったと言えます。

端的に言えば「経世済民」の略語が「経済」となるのです。
ただ、近年ではもともとの政治という意味合いは薄れています。
むしろお金に関すること全般というニュアンスが強いです。
このように言葉の意味が時代によって変化しているため、その点には注意が必要です。

economyの訳語となった「経済」

日本では政治という意味を持つ「経済」が次第に変化しました。
特に幕末頃からエコノミーの訳語として使われる言葉となったとされています。

転じて、現代の「経済」の意味で広まったのだとか。
むしろもともとの世を治めて民を救うという意味で「経済」を使用することはほとんどありません。
その一方、世の中を回すこと全体を「政治経済」と表現したりもするなど、言葉自体が多様性を帯びています。

「経済」はもともと政治を表す言葉ですが、これも現代ではまた違った視点の言葉となっているわけです。

まとめ

「経済」は「経世済民」を略した言葉とされています。
これら「経世済民」は世を治めて民を救うことを言います。
特に端的に言えば政治のことを表すのが「経世済民」です。
つまり、その略語である「経済」も同じ政治を表す言葉となります。

しかし、現代ではお金にまつわること全般を「経済」と表現するなど、若干ながら意味合いも変わってきています。
そこは使用する文言によってニュアンスも異なるため、用途に注意しましょう。

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