世界的には成長市場のデジタルフォトフレーム、クラファンで目標金額1900%達成製品も
携帯電話やデジカメで撮った画像を液晶ディスプレイに表示して楽しむ、デジタル写真用の写真立てであるデジタルフォトフレーム。
かつてSoftbankが携帯電話本体とセットでサービス展開していた「PhotoVision」が火付け役となり、日本でも一時期人気を博した。しかし、写真を見るためだけに専用の機械を使うという文化が定着しなかったようだ。日本の大手メーカーの製品は生産終了したものが多く、2024年のデジタルフォトフレームおすすめランキングには国内メーカーの製品は見当たらない。
ところが、そんなデジタルフォトフレームが海外ではいまだに一定の需要がある。むしろ大人気で、大きな注目を集める製品もあるようだ。現在クラウドファンディングサイトIndieGoGoでプロジェクトを実施しているワイヤレスデジタルフレーム「Pintura」もその1つ。
Pinturaのクラファンプロジェクトは終了まで20日あまりの時点で目標金額の約1900%を達成するなど、デジタルフォトフレーム人気の低い日本の消費者から見ると意外なほどの人気ぶりを見せている。
マグネット式コードレス充電で見た目もスッキリ
Pinturaは、高精細2K HDディスプレイを搭載したコードレスデジタルフォトフレームだ。コードレスのマグネット式フレームにデジタル画像を映し出し共有できる。専用の充電パネル(55センチ×55センチ、厚さ15.3ミリ、重さ3.5キロ)上にⅠ点以上のフレームを磁力で取り付けて使用する仕組み。
フレームは強力なマグネットでパネルに簡単に取り付けられるので、釘やフックなどは使わない。電源となる白いパネルは各フレームを配置するボードとしてだけでなく、メモを取ったり、イラストを描いたりするホワイトボードとしても使える。背面パネルを複数使うことで、何枚ものスクリーンに風景をパノラマで映し出すという楽しみ方も可能だ。
2K HDの高精細と1000:1の高コントラスト
ダイナミックな2K HDディスプレイに映し出された画像は、人物ポートレートでも風景写真でもまるでアート作品のように見えるだろう。2Kという高解像度で映し出される画像からは、その場にいるような臨場感を味わえるという。
フレームのサイズは、デスクに置けるサイズから店舗やイベント会場で使用するための大画面まで、好みやスペースに応じて10.1インチ、13.3インチ、15.6インチの3種類。特に、10.1インチのフレームは1000:1という高コントラストにより、深い影から明るいハイライトまで、写真の微妙なニュアンスがはっきりと映し出される(13.3インチ、15.6インチは800:1)。
5G、4G、Wi-Fiにつながるのはもちろん、専用アプリ「Pintura」での操作も可能。アップロードした画像をアプリで編集できるうえ、8GBのクラウドストレージは無料で使用でき、約3万枚以上の画像を保存できる。
公式サイトのカタログページでは「パネル1枚+フレーム4枚」で約7万7000円の「Canvas Pack」のほか「Family Pack」や「Artist Pack」などがあり、10.1インチフレームが1枚約1万円から購入できる。
世界的に成長を続けるデジタルフォトフレーム市場
同製品を販売するのは、米サンフランシスコにあるPintura社。マーケティングや科学技術などの中国系専門家のチームから成る企業とみられる。「Pintura」という企業名・商品名はスペイン語の「絵、絵を描く」という単語にインスピレーションを得たもの。「Painting」「Puzzle」「Pin」などを組み合わせたものでもあり、クリエイティビティと活力を表現しているとのこと。
前述のとおり日本ではあまり人気がないデジタルフォトフレームだが、世界的には成長市場。Business Research Insightsのレポートによると、世界のデジタルフォトフレーム市場規模は2022年に1800万米ドル、2029年までに2400万米ドルに達すると予想されているという。特にコロナ禍以降市場が成長し、パンデミック前と比べて全地域において予想を上回る需要が発生している。
デジタル写真の人気の高まりや、ディスプレイ技術の進歩などによって長年にわたり着実な成長を続けているデジタルフォトフレーム市場。Wi-Fi対応フレームやタッチスクリーンフレーム、スピーカーを内蔵したフレームや様々な画面サイズのフレームなど、さまざまな製品が消費者の多様なニーズに応えているとのことだ。
(文・根岸志乃)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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