なぜここにアートが!? 渋谷の橋脚に突如出現した巨大アートを演出するアーティスト公募プラットフォーム「TYPELESS」とは
渋谷駅前ハチ公広場と渋谷マークシティを繋ぐ横断歩道エリア一帯の橋脚に、突如巨大なアートが出現した。目を引く色とりどりのアートが、なぜここに掲示されているのか、担当者に話を聞いてみた。
アーティスト公募プラットフォーム「TYPELESS」とは?
TYPELESSは、アーティストが挑戦できる環境をつくること、再開発中から公共空間を豊かにすること、「人の心を楽しませ、人が歩きたくなる街」を実現することを目指し、2023年11月に始動した。
そんなTYPELESSが注目したのは、100年に1度の大規模再開発が進んでいる渋谷。このプロジェクトを担う渋谷駅前エリアマネジメント事務局 吉田七海統さんは、TYPELESSに込めた想いをこう語った。
「芸術発信拠点が多く存在する渋谷は、さまざまなカルチャーをミックスすることで生まれた作品や、多様な価値観を許容する土壌があります。TYPELESSという言葉には、型にとらわれず、固定観念から脱却・再構築していくイメージを込めています。マジョリティやマイノリティという括りではなく、アーティスト一人ひとりが持つ情熱や違和感、問題意識から生まれる作品を発信してもらい、作品に出会った人にとって、新しい好奇心が広がる機会となるようなアートを、渋谷駅前エリアマネジメントは皆様に提供します」
そんな想いに共感したアーティストやキュレーターたちが公募に参加。選考を経てアーティスト4名が今回のプロジェクトに選出された。
TYPELESS 第1弾 渋谷パブリックアートプロジェクト「YOU FEEL」
第1弾として選ばれたのは、アーティスト支援やアートプロジェクト企画を手がけているEmbedded Blue。 彼らがマネジメントしているアーティストの中から、街を飾るという視点、スタイルや過去の作品という点を考慮し、4名のアーティストを選出した。
プロジェクトタイトル「YOU FEEL」には街とアーティストが共創するアートプロジェクトとして、公共空間というメディアを通じて、社会とアートとの繋がりを眺めるという意味が含まれている。
選出された4名のアーティストを作品とともに紹介する。
KAZUSA MATSUYAMA
<クレジット:Ryota Hashimoto>
1992年生まれ東京出身。表情の歪みや抽象的な描写によって、表面的な喜怒哀楽だけではなく本質に潜む美しさを追求する「Anonymous Portraits」(匿名性のある肖像画)シリーズを描く。
三澤亮介
<クレジット:Ryota Hashimoto>
1992年生まれ。メディアパラドックスという独自の手法を提唱し、アナログ-デジタル、写真/画像データ-絵画を制作の中で横断する。
新埜 康平
<クレジット:Ryota Hashimoto>
東京生まれ。ストリートカルチャーや映画の影響を受け、仮名の人物や情景、日々の生活に根差した等身大のイメージをモチーフに制作。余白やタギング(文字)の画面構成等、様々な絵画的要素を取り入れ、日本画×ストリートをテーマに制作。
尾潟 糧天
<クレジット:Ryota Hashimoto>
1994年生まれ。北海道の自然豊かな環境で育った経験にヒントを見出し、主に海をモチーフにした作品を制作している。絵画作品を軸としつつ、自然とテクノロジーをクロスさせたデジタル作品や身体的なパフォーマンス作品など、様々なメディアを横断しながらパラレルに自然を描き出している。
橋脚8本に掲示している作品はすべて新作。小さい柱は3メートル、大きい柱は5.6メートルとそこに描かれるアートはまさに巨大アートである。
渋谷で実施されている、「矢印・サイン」をアート化する「シブヤ・アロープロジェクト」とも連携し、有事の際の一時避難場所(渋谷駅からは代々木公園)の方向を示す「矢印サイン」もあり、まちづくりの一環としてアートが存在していることがわかる。
次は渋谷のどこにどんなアートが出現するのか!?
渋谷の街でいよいよ動き出した、アーティスト公募企画TYPELESS。今回の橋脚のアートを皮切りに渋谷駅前エリアの複数でプロジェクトを予定している。
多様な文化や価値観を持った人々が交錯する渋谷で、どこに、どんな作品が出現するのか。様々なアーティストが手掛けるアートを見るのが待ち遠しい。
また、都市型アートプロジェクトのエキシビジョンEXHIBITION「YOU FEEL SHIBUYA」の開催も決定。4月1日から7日の1週間、elephant STUDIO(東京都渋谷区渋谷2-7-4)で開催される。橋脚に掲出されたアートの原画が見えるほか、今回参画しているアーティスト4名の新作も見ることができるので、興味のある方はぜひ足を運んでみてほしい。
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。