全回満席を記録したホラーショートフィルム集「NN4444」渋谷での追加上映が決定 現代社会の“不条理”描く4作
2週間の限定上映が全回満席という記録を成し遂げたホラーショートフィルム集「NN4444」が、ホワイトシネクイント(渋谷)にて3月22日より一週間限定で追加上映されることが決定した。
「NN4444」は映画レーベル「NOTHING NEW」製作の第一弾作品。4人の新鋭監督と注目の俳優がタッグを組み、現代社会における不条理をそれぞれの視点から描いた4作、「犬」(監督:中川奈月×主演:小川あん)、「Rat Tat Tat」(監督:佐久間啓輔×主演:錫木うり)、「洗浄」(監督:宮原拓也×出演:夏子)、「VOID」(監督:岩崎裕介×主演:野内まる)で構成されている。各作品について、映画監督の清水崇ほか著名人からのコメントも到着している(記事末に掲載)。
今年2月に下北沢K2で行われた2週間限定上映が全回満席を記録。3月15日より同劇場でも終了日未定で追加上映が行われており、監督らが登壇する上映後のアフタートークも実施されている。
ホワイトシネクイントでの上映は3月22日~3月28日まで。詳細と最新情報は公式ページにてお確かめを。
「NN4444」詳細ページ
https://nothingnew.ltd/NN4444
コメント
「NN4444」へのコメント:清水崇 (映画監督)
人の感じる世界の恐怖とは何たるか…?
4作どれも、ありきたりの表現を脱し、創り手が己の内を探り、必死に抉り引き摺り出そうとしている。混沌と、漠然と、格別な恐怖に酔いしれる至高のひととき。4 つのセンスに恐れおののき、悔しくなった。
『VOID』へのコメント:荘子it (Dos Monos)
とりあえず「ホラー」というジャンルで映画監督デビューしたかに見える岩崎裕介だが、その内実は「メタホラー」であり、観客を刺激する「怖い映像」がもはや映らないことこそが「怖い」のだと見事に示す。CMディレクターとして、人目を引く「面白い映像」の空疎さと誰よりも向き合ってきた故に、むしろそのような平面の装飾性が排された時、面を越えた「厚み」が見出されることを発見したのだろう。
だが、実はその「厚み」こそ、単なる空疎さを越えたどこまでも仄暗い深淵にほかならない。「処女作にその作家の全てが詰まっている」と言われるが、この作家の処女作から充溢する「無(=”VOID”」は、この先、どれ程の深みへと私たちを連れて行ってくれるのだろうか。
『Rat Tat Tat』へのコメント:何昕明 (脚本家 / 台湾)
『Rat Tat Tat』は、現代女性が抱く恐怖を短く力強く打ち出しています。本来は喜びに満ちた行為である拍手が周りの男性や友人たちからの歪んだ期待の表れとなり、悪意に満ちた笑顔やパーティー会場の様子で内から生まれる恐怖を体感できます。
『犬』へのコメント:児玉美月 (映画文筆家)
ほんとうは誰もがそれぞれに幸福のカタチをもっているはずなのに、決まり切った狭いゲージへと暴力的に押し込められてしまう。だから彼女は、そんな世界に対して牙を向け、吠えるのだ。『彼女はひとり』の鮮烈な幕開けから、中川奈月は女たちの紐帯を奇妙に、そして異質な仕方でスクリーンに焼き付ける。
『洗浄』へのコメント:イトウハルヒ (俳優 / モデル)
やばいものを観てしまいました。ホラーの教科書のような冒頭から始まる、静かで、どこか美しくもやっぱり恐ろしい不条理の嵐。観終わって快感すら感じた私も、彼らと同じ狂気に侵食されてしまったのかもしれません。大好きです。
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。