微弱なエネルギーの流れや磁力をコラージュに落とし込む。アートディレクター永戸鉄也による個展「lodestone」


Cleopatra
2022
SLA (硬化性フォトポリマー) industrial paint and acrylic paint
70 x 120 x 130 cm
©Tetsuya Nagato
 
3月9日(土)より、アートディレクター永戸鉄也の個展「lodestone」が104GALERIE(東京・中目黒)にて開催される。

 
これまでの104GALERIEでの2度にわたる個展では、コンセプト、プロジェクトベースの作品を発表してきた。前回の個展からおよそ4年ぶり、3度目の個展となる本展は、永戸の主軸とも言える純粋なコラージュを中心とした作品となる。また、新たな展開として昨年制作したデジタルコラージュ作品と、そこから作り上げた立体作品も楽しむことのできる機会となっている。
 
永戸鉄也はコラージュ作品を⻑い間探求してきた。その素材は収集してきた膨大な量と種類の印刷物。印刷物は本来持っていたコンテクストから分断され、色や質感といった情報が感覚的な記号として意識の中に取り込まれる。そして紙の分解や加工、再形成などの作業、いわば現実の世界と非現実の世界を行き来しながら繰り返される無数の動作を通じて、新たな意味やイメージを持ったコラージュ作品としてアウトプットされる。作品を通して、わたしたちは“既存のものを変容させる意識”や日々を過ごしていながら“別世界からの視点”を感じることができるのだ。
 
本展のタイトル「lodestone=天然磁石」には、作品制作において常に感じている微弱なエネルギーの流れや磁力といった重要な意味が込められている。メインとなる作品には、生と死から解放された思考の世界から生まれた磁力のシンボル6点が投影されている。本展はこれまでコラージュアートに向き合ってきた永戸鉄也の多角的なアプローチによる作品群となっているのだ。
 

Lightning
2024
mixed media collage on panel, framed
117 x 73 cm
©Tetsuya Nagato
 
紙の質感、そこに印刷された文字や色、それぞれ異なった成り立ちや意味の境界を溶かし、違うイメージが浮き上がってくる。
コラージュとは考え方や技法とも別の意味で万物を構成している法則とも捉えることができる。
手元では様々な年代、場所で生まれた印刷物が吸い寄せられる様に集まり、それらは、破かれ、切り刻み、貼り付け、剥がされ、塗り、削り、引っ掻くことが繰り返し行われていく。
変形し違う意味や形が生まれていく過程は、存在の不可思議さをなぞる行為とも感じている。
それは祈りや瞑想とも違う感覚で、身体の操作をしているのだけども意識が出たり入ったりをくりかえす中で自動的に行われている作業でもある。
磁力のイメージとは、磁極どうしが反発したり吸い付いたりする現象よりも、何かものすごく大きく無色透明でありながら集合している様。それはこの身体を通しては実際に見ること、触れることのできない1つ外側のイメージ。
― 永戸鉄也
 
【プロフィール】
1970年東京生まれ。高校卒業後に渡米。帰国後1998年よりコラージュ、写真、映像作品の制作を始める。
2003年、第6回文化庁メディア芸術祭デジタルアート優秀賞受賞。同年トーキョーワンダーウォール公募2003・ワンダーウォール賞を受賞。また、2012年、第15回文化庁メディア芸術祭 審査委員会推薦作品に選出。アートディレクターとしてパッケージザイン、映像ディレクション、広告制作等に携わりながら、個展やグループ展で継続的に作品を発表している。

 

© Tetsuya Nagato
永戸鉄也「lodestone」
会期: 2024年3月9日(土) – 2024年3月30日(土)
オープニングレセプション: 2024年3月8日(金) 19:00-21:00 どなたでも来場可能
営業時間: 11:00-17:00
休廊日: 日曜・祝日
会場: 104GALERIE. 目黒区青葉台1-20-4 FORCEビルB1F
website: www.104galerie.com

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