南アの太陽光プロジェクトにBitCoinで参加可能。「Sun Exchange」のビジネスモデルに迫る
太陽光発電の発電量は、日照時間と日射量に大きく左右される。世界で最も日照時間が長い国の1つが南アフリカだ。日照時間は年間2,500時間超を誇る。日射量も豊富で、日本の農林水産省によると2024年1月の日射量は約321W/m2とのことだ。太陽光発電に理想的な地域として知られる同国では近年数多くの太陽光発電事業が進んでいるが、とりわけ英国発のスタートアップSun Exchange社のプラットフォームが興味深い。
Sun Exchange社は2015年に南アフリカで設立された。創業者は、英国の気候変動サイエンス分野で活動していたAbe Cambridge氏。同氏が南アフリカで始めた太陽光発電プロジェクトのプラットフォームの名称が、社名と同じく「Sun Exchange」である。
同プラットフォームは、太陽光パネルをセル単位に分割して、出資者をオンラインで募るクラウドファンディング方式。太陽光発電に投資したいユーザーは、1セルから購入できる仕組みだ。購入にはあらかじめ入金しておいた会員用のウォレット残高やBitcoinが利用できる。
発電量に応じて運用利益の一部がユーザーに還元される仕組みになっていて、ユーザーはいつでもウォレットからBitCoinで出金可能だ。パネル単位ではなくセル単位で出資が可能なため、比較的安価にプロジェクトに参加できることが魅力となっている。
日照時間の短い英国出身CEO、南アに移住して起業
設立者のAbe Cambridge氏はもともと、英国で太陽光パネル会社を設立・運営に携わっていた人物。事業の一環として南アフリカを訪問したことがSun Exchange設立のきっかけになったという。イギリスと違って(イギリスの年間日照時間は約1500時間、冬場は1日2時間を切ることも)日光がふんだんに降り注ぐ気候でありながら、建物の屋根にソーラーパネルがないことに衝撃を受けたのだ。
2014年に移住した現地で苦労したのが資金移動だったことから、手数料や手間が省けるBitcoinの活用に着目した。Bitcoinはウォレットさえ作成しておけば、ユーザー間で簡単に資金をやり取りしていける。国や通貨、金融機関などの障壁がなくなり、手数料も比較的安価に抑えられる。
Sun Exchangeの強みは、Bitcoinが使える点にもある。Bitcoinなら、国を問わず南アフリカへの送金・出金が容易となり、グローバルに出資者を募れるからだ。遠隔地であっても気軽に参加できることから、出資者は180ヵ国から集まっているという。
SDGsや脱炭素の取り組みとしても注目したい
Sun Exchangeの太陽光発電プロジェクトで創出された電気は、南アフリカの学校や病院、工場や農場などの電力に使われている。すでに82のプロジェクトが稼働中で、随時新たなプロジェクトが考案されている。
太陽光に恵まれていながら、南アフリカ共和国の電力不足は深刻で頻繁に停電が生じている。同社のプロジェクトが活性化することで、こうした電力不足の解決につながることが期待できるだろう。
また、プロジェクトへの出資者が増えれば、南アフリカの再エネ比率の向上や、世界的な規模でのCO2削減にも貢献できるかもしれない。SDGsや脱炭素に取り組みたい法人・個人にとって、Sun Exchangeが恰好のビジネスモデルの1つとして参考になりそうだ。
(文:MI001YOU)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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