虎ノ門のポータルプレイスで心身アップグレード(辛酸なめ子)

年々拡大を続ける虎ノ門ヒルズエリア。2023年10月に「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」が開業しました。12月には地上45階のギャラリー「TOKYO NODE」で「蜷川実花展 : Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」が始まり、1月16日からは4階や2階の飲食フロアが開業。このあと2月末にはベイクルーズの新業態「SELECT by BAYCREW’S」のオープンも控えています。一気に全部開業ではなく、こうやって徐々に施設ができていくのも、何度も訪れる楽しみがあります。

4階や2階の飲食フロアの内覧会に加えて、地下2階「T-MARKET」(10月から順次開業)の説明会が開催されるというので伺いました。

日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅から直結の「T-MARKET」は、海外の素敵なアーケード街を思わせるエリアで、飲食や雑貨など27店舗がひしめいています。空間デザインは、世界で活躍するインテリアデザイナー、片山正通氏。レクチャー会でカリスマ感あふれるお姿をはじめて拝見しました。

片山正通氏によると、この空間デザインの依頼が来たのは2020年4月、コロナ禍が始まって、街から人の姿がいなくなった頃でした。状況が見えない中、パワフルな空間を作りたいということで、「フードを中心とした虎ノ門のポータルプレイス」を提案したそうです。「デザインを感じないよう、もしかしたらデザイナーがいないんじゃないかと思わせる曖昧なデザイン」を目指したとか。レジェンドの余裕が漂っています。たしかに駅からシームレスに、素敵なエリアに吸い込まれていく感覚が新鮮です。

「T-MARKET」は、クラフトビール醸造所併設のブルワリーレストラン「dam brewery restaurant」やイスラエル家庭料理店「Ta-im TORANOMON」、 チーズとワインのお店「LAMMAS」、和生菓子店「赤坂おぎ乃 和甘」、パン屋「BEAVER BREAD BROTHERS」、雑貨屋「BASIC AND ACCENT」などが並んでいて、他の商業施設ではなかなか見ないようなラインアップ。いわゆるフードコートよりも高級感があるので、このおしゃれな空間の雑踏の中ならひとりごはんもそんなに淋しくありません。そして地下1階には、信濃屋系列の複合型フードマーケット「cask」がオープン。食材やデリが売られていて、近隣のオフィスの人は助かりそうです。

2階や4階の飲食店で、印象的だったところを挙げさせていただきます。

まず2階には「日常茶飯事」というお米が主役の和食店が。「お米のお供セット」というごはんに合うおかずセットが780円だそうです。小食な人はこれで十分かもしれません。

2階の「THE GRILL TORANOMON」は、114席の大型オールデイダイニングで洋食やグリルを楽しめます。内装がかなり凝っていておしゃれでお金がかかっていて、都会人の気分に浸れます。これだけの設備で何年で元が取れるのかとか庶民的なことを考えてしまいました。

4階で話題のお店が「鮨 おにかい×2」。チラッと店内を拝見したらブルーの内装が印象的でした。しかも大きな窓からは東京タワーが見えます。これは勝負デートにおすすめかもしれません。隣の「創作串揚げ つだ」も窓から東京タワーが見えそうで、揚げ物との相乗効果で気分が上がりそうです。

カウンターフレンチ「BRASSERIE by plein」は、カレーやブイヤベースなどがわりと手頃な価格で食べられます。虎ノ門で働くキャリアウーマンが、仕事のプレゼンのあと、自分を慰労するために立ち寄ったりしそうです。

このお店のおすすめのメニューが「泡キャビア」990円。スパークリングワインとキャピアと本マグロがのったタルトのセットがなんと990円!(プラス席料440円と税)おひとり様1個限りオーダーできるそうです。見本を見ましたが、かなりの高級感でこれで1000円前後とは。物価高の時代、希望を感じさせる一杯です。お店の方が「ほぼ原価です」とおっしゃっていたので、これだけで満足せず、大人として他の料理も一緒にオーダーしたいです。

「CAFE&BAR CROISEE」は、DJブースもあり、時間によって食堂だったりバーだったりいろいろな使い方ができるお店。気軽に入れて、窓からの未来感あふれる眺めも素敵です。もしこの周辺で働いていたら通いたいです。窓の外の道からのエネルギーを感じるのでパワースポットかもしれません。

新しくオープンしたフロアをざっと見学して参りましたが、行く前は、きっとヒルズ系だし庶民には手が届かない店ばかりだとあきらめモードでした。麻布台ヒルズのカフェでランチが普通に3000円したショックも記憶に新しく……。で、も虎ノ門ヒルズ ステーションタワーのお店を見てみたら、1000円台のランチも多くて、地下のお店もコスパが高そうで、希望がわいてきました。麻布台ヒルズは富裕層の街という位置づけかもしれませんが、虎ノ門ヒルズは都会で働く若い世代がターゲットなのでしょう。有能なビジネスマンやビジネスウーマンが集まるスポットだと思うと、行くだけでも鋭気やモチベーションをわけてもらえそうです。

(イラスト・文:辛酸なめ子)

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